サッカー解説者・松木安太郎さんの新たなる挑戦(2015/05/09 放送)
先週に引き続き、今週もサッカー解説者の松木安太郎さんをお迎えしました。
90年に現役を引退した松木さんは、まず読売クラブのユースのチームで指導者としての道を歩み始めます。しかし、日本代表にも選ばれ、リーグでキャプテンとして優勝も経験した選手がコーチになるのは、環境的にも金銭面でも新たな挑戦だったそうです。「ようするにその子供達が何を目標にやっていいかっていうチームですから、コーチの仕事としても大変だったし…」。「相当悩んだり、ホントに大丈夫なのかなと思うこともありましたしね」
「その時はユースのチームでやっぱり良い仕事をしようとしか考えてないですから。そうすると上のトップチームに行けるかも知れない。自分がなることよりも、選手たちを上に上げる仕事が俺にはあるんだと思ってたから。もちろん自分の生活もありましたけど、自分の生活を良くするには良い選手を育てるしかないじゃないですか」
そして、1993年のJリーグ発足。読売クラブからヴェルディ川崎という名前に変わったチームに、松木さんは初代監督として就任し、2年連続で年間王者に輝きます…。と言うと順風満帆のようですが、松木さんはヴェルディの監督を迷いなく引き受けたわけではなかったようです。
「なかなかやる人がいなかったんですよ…と思うんですよ、僕。本音で言うと。だってそうでしょ、ずっと負けてないチームの監督で、ずうっと外国人がやってて、まさか俺の所に来るとは思わないから。そんなのありえないでしょ、っていうのが最初ですよ」「どうしようかと思いましたよ。だって、失敗すりゃあ、いなくなんなきゃいけないんだから。その覚悟をするのに一番、自分の中じゃ葛藤がありました。未知の世界ですよ。すべてにおいて」
「いやぁ、監督はねぇ、大変ですよ。選手は一喜一憂といいますかね、勝った、負けた、優勝した…優勝してから2ヶ月試合がなければずっとチャンピオンですからね。そういう時間がありますけども、監督・コーチになると、一つの仕事、試合が終わると、もう次の仕事に向かっていかなきゃいけない、ということで。しかも、勝ち負けうんぬんでいろんな区切りを考えていかなきゃいけない、そこまでが区切りですよね」
そして、現在の日本代表監督ハリルホジッチ氏についても話してくれた松木さん。「まだわからないですよ」と言いつつも、速攻型の戦術という部分で、ハリルホジッチ監督と松木さんの考え方は一致してるんだとか。「あ、この人ホントに勝つつもりで来てるなっていう。日本のサッカーを勝たせるサッカーにしてくれるなという部分ではちょっと期待はしてるんですけどね。僕、個人的には」
2001年のヴェルディ監督を最後に現場を離れた松木さん。監督以外の立場でチームに残るという選択肢もある中、新たな道を選んだそうですが、それから半年ほどまったく声がかからない時期があったんだとか。
「よし、次に何に挑戦するんだ?って言ったって、まったく自分のやることが見つからないっていうか、ない。不安ですよ。長女が幼稚園に入る時に、面接かなんかあったんですよ。私立の幼稚園。お父さん何やってんの?って言われたら黙っちゃったっていう(笑)。何やってるか言えなかったっていう時期があるんですよ。これ、今考えると可哀想なことしたなって思うんですけどもね」
コーチ時代にもなかなか自分の思うようにいかない時期があったという松木さん。現場を離れた時の心境をこんな風に語ってくれました。「あ、また来たか(笑)みたいな、そういう自分もいましたし、ようし!じゃあ、こっからまた一歩、最初からかぁ!というね、そういう思いは自分の中にありましたよね」「選手時代の頃を考えると、若い時代を考えると、まったくないものからなんとか掴んできたっていうとこはあるから、なくてもしょうがねえよなぁと。だから、まぁ自分を信じて一歩ずつ行くしかねぇだろうって思うわけですよ」
その後、人気解説者として数々の名言を残してきた松木さん。解説という仕事について「正解なんかないです」とおっしゃっていましたが、選手や監督・コーチとして経験してきたことが、お馴染みの“松木節”、ポジティブさ全開の解説に繋がっているようです。
「自分も選手でやってて、例えばいろんな試合の解説をして頂いてる時に、ミスもあるけど、ミスじゃないところを…ポジティブな表現をして欲しいなって選手時代も思ってたんで。僕はなるべくその…選手はゴール前で外そうと思って打ってなかったりね、これはもう絶対そうですから。いろんな状況があるからたまたま外れた…その辺に目を向けてね、伝えることができたらいいな、というのはありましたね」
日本代表監督の話題になった時、恵さんに「松木さんはやらないの?」と聞かれて、「僕やらしてくれたら(笑)、あれですよ、やりますよ、やりますよ、やりますよ。いやでもね、もう相当現場から離れてるから、こんなこと言ってるけども、まぁまずねぇ…」なんておっしゃっていた松木さん。でも、最後に次なる挑戦について訊ねると、こんな風に語ってくれました。
「やっぱりもう1回、いろんなことを経験した松木安太郎が現場復帰というのも、一つ考えたいなと思いますけどもね。やれたら…まぁ、今は毎日が挑戦ですかね!」
番組では、松木さんから挑戦に関するメッセージを色紙に頂きました。「毎日が挑戦!!」。こちらの色紙を1名様にプレゼントします!このホームページ右のメッセージフォームから「松木さんの色紙希望」と書いてご応募ください。
松木安太郎さん、2週に渡ってどうもありがとうございました!