“21人抜き”で真打ちに…落語家の春風亭一之輔さんが語る寄席の魅力(2016/03/05 放送)
今週は、落語家の春風亭一之輔さんをお迎えしました。
2012年、33才の時に“21人抜き”という大抜擢で真打に昇進した一之輔さん。ご本人は「たまたまなんです」と謙遜していて、“師匠”と呼ばれると「体が痒くなる感じですよ」なんておっしゃっていましたが、この若さで真打ちになるというのは、なかなかないことなんだそうです。
ドラマ『スクールウォーズ』の影響もあって、埼玉の名門高校でラグビー部に入った一之輔さんですが、結局1年で辞めてしまったそう。そして、土日が暇になったので、電車1本で行ける浅草の寄席に行くようになったそうです。
一之輔さんはその時の寄席体験について「楽しいっていうか、初めてだな、こんなものを観たの、っていう。衝撃というか緩い衝撃ですよね」と話してくれました。
2012年、33才の時に“21人抜き”という大抜擢で真打に昇進した一之輔さん。ご本人は「たまたまなんです」と謙遜していて、“師匠”と呼ばれると「体が痒くなる感じですよ」なんておっしゃっていましたが、この若さで真打ちになるというのは、なかなかないことなんだそうです。
ドラマ『スクールウォーズ』の影響もあって、埼玉の名門高校でラグビー部に入った一之輔さんですが、結局1年で辞めてしまったそう。そして、土日が暇になったので、電車1本で行ける浅草の寄席に行くようになったそうです。
一之輔さんはその時の寄席体験について「楽しいっていうか、初めてだな、こんなものを観たの、っていう。衝撃というか緩い衝撃ですよね」と話してくれました。
「普通、ライブとかだと、始まる前はわさわさして期待に膨らむっていう客席じゃないですか。寄席の場合、なんか緩いんですよ。始まる前、みんな弁当食ってたりして」
「ウケてもウケなくても15分ぐらい持ち時間すましてお辞儀して帰って行く落語家ってうのはなんかちょっと痺れた感じがしたんですね。カッコイイな、っていうね。逆に、なんでこれで生きていけるんだろう、この人たち、って思ったんですけど」
そんな経緯で寄席落語に興味を持った一之輔さんは、高校で落語研究会を始めます。「ウケたんですよ、これが。初めてやった時に、あ、俺、天才だなって思いましたね。向いてんな、って思ったんですよ、この芸能の形態が」
そして、大学でも落研で活動した一之輔さんは、卒業後の2001年、春風亭一門に入門。春風亭一朝さんに弟子入りします。
「大学の4年までずうっとモラトリアムだなと思って。で、じゃあ、そろそろ就職というか働かなきゃいけないから。でも、俺に出来んのも落語だけだなぁ、という感じですねぇ。で、よし落語家になろう!と思って、今まで寄席で観てきた中で、一番優しそうで(笑)落語が面白くて好きだなっていう、そういう師匠」
「迷いなかったですね。なるしかねぇだろう、というか。他の道は考えてなかったですね。なんか根拠のない自信が…なんの根拠もないんですよ。なれると思ってました」
また、一之輔さんはこんなこともおっしゃっていました。
「突き詰めてこの話を極めるとか、そんなこと考えたことないんですけど(笑)。今も考えてないとこありますね。けっこう行き当たりばったり。落語に出会ってやってみた、なんとなく向いてる気がした、大学行ってじゃあやり続けよう、楽しいな…。あ、“嫌いにならない”それが大事かも知れないですね。嫌いにならないでここまで来た感じはありますね」
前座の頃から“勉強会”を開催していて、最初は月一で20人ぐらいのお客さんからスタートしたという一之輔さん。二つ目になる時に思い切って100人入る会場に変えたところ、お客さんも50人に増えたそう。そして、「100人の会場も埋まるようになってきたから今度は180人入るところに変えよう」という感じで今までやってきたんだとか。中には、最初の20人の時からずっと観てくれているお客さんもいるそうで、年齢層は20代から80代までと幅広いそうです。
「落語ってだから間口広いっすね。若い人からすると、若干ハードル高そうに感じると思うんですけど、行っちゃうともう日本語がある程度わかれば、みんな、笑えるもの、わかりやすいものをやってますから。そう構えずに来てもらえると嬉しいっすね」
「お客さんを緊張させてから聞かせるというところが、今、主ですけど、寄席ってそういうとこなくて。わらわら集まってきて、じゃあ聞くかっていうようなね。で、いつ出てもいいし、っていう。そこが凄いですよね。いつ入ってもいいっていうのは、いわゆる寄席なんです」
一之輔さんは寄席についてこんな楽しみ方も教えてくれました。「プログラムも考えて作ってあって、全力投球の人ばかり並べるとお客さんがあっという間にくたびれるんですよ」
爆笑派ばかりが並ぶ寄席というのは成り立たないそうで、爆笑派、ほどよく力の抜けたお爺さん落語家、やる気があるのかな?という奇術師、若手…といった波があるところでだんだんと場全体のテンションが上がっていき、最後にトリの人が出てくるという流れになっているんだとか。
「寄席に通い始めると、つまんねえ、このジジイ、なんでいつも出てんだよ、とかいう人がね、いないと寂しくなってくるんですよ(笑)」「だからコース料理なんですね、寄席って。途中、サラダないと寂しいじゃないですか」「寄席に行き始めて、僕はここのコース料理の一品になりたいな、っていうそういう気持ちになったんですね」
来週も引き続き、春風亭一之輔さんをお迎えします。お楽しみに!