塚地武雅さんが自閉症役への挑戦を語る(2021/12/11 放送)
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今週は、ドランクドラゴンの塚地武雅さんをお迎えしました。
現在、出演映画『梅切らぬバカ』が公開中の塚地さん。この作品では、母親と2人暮らしをしている自閉症の息子・忠(ちゅう)さんを演じています。
現在、出演映画『梅切らぬバカ』が公開中の塚地さん。この作品では、母親と2人暮らしをしている自閉症の息子・忠(ちゅう)さんを演じています。
「加賀まりこさん演じます母親と僕が演じる自閉症の息子。2人で暮らしているお家の中で、いわゆる8050問題じゃないですが、もしかしたら先に旅立つのは親の方かも知れないと思う中で、自閉症の息子を一人残してどうなるんだろう?っていう不安から(息子を)グループホームに預けるというところから話が始まる…」
映画のタイトル通り、2人が暮らす古民家の庭には伸び放題の梅の木があります。
「あそこが(お隣との)関係性とちゃんとリンクしてる、みたいな」
塚地さんは自閉症という難しい役への挑戦についてこう話してくれました。
「やっぱり難しいテーマですし、僕にできるのだろうか?みたいな不安はもう相当ありましたね」
「そもそも元がお笑い芸人…ま、今もお笑い芸人なんですけど…そう考えると、ともすればフザケてると思われてもしょうがない、みたいな部分でもあったんで、とにかく僕で大丈夫なんですか?って話は監督にもさせて頂いて。でも、そんな違和感がないというか、忠さんのこだわりを持って生きてて町中に愛される感じと塚地さんがリンクしたもので、って言って頂けたので、じゃぁやらせていただきます、って話になりまして」
「で、自閉症のドキュメンタリーみたいなのをたくさん監督から頂いて、もう片っ端から見させてもらって。あとはグループホームにもお邪魔させてもらって。自閉症の方とテーブルを交えて、会話こそままならないですが、職員の方から、こういう時はこういうことなんですよ、みたいなのを教えていただいたり、その方々の行動・言動とかを見させてもらったりとか。あとは、職場での姿みたいなのも映像でもらったりして」
「とにかくそれを見て、忠さんはどういう感じなんだろう?っていうのを自分の中で作って、1シーン1シーン誠実にというか。もう入ってないと嘘になっちゃうので、集中集中の連続でやらせてもらった感じではあるんですけど」
「あと、加賀(まりこ)さんのパートナーの方の息子さんも自閉症なもので、そのパートナーの方も現場に来てくださって。加賀さんが僕が悩んでるのもすぐ見抜いて、悩んでるわね?っていうところから、こうこうこうでこうだよ、って言って。で、うちの子なんかはこうするよ、とかっていうのも現場でも教えていただけたり」
母親が息子を抱きしめて「(生まれてきてくれて)ありがとう」と言うシーンは当初の台本にはなかったそうですが、母親を演じる加賀さんからの要望もあって入れることになったんだとか。
塚地武雅さんは1971年、大阪の阪南市生まれ。映画『梅切らぬバカ』の忠さんは劇中で50歳のお誕生日を祝われていますが、リアルの塚地さんも先月11月25日に50歳になりました。
「なるまではけっこう怖かったんですかね。うわぁ50になるんや…って。特に僕は独身ですし、家庭もないっていう寂しさも…。あれ?大丈夫なのか俺の人生?みたいなのは思ったりもしましたね。でも、諸先輩方がやっぱり生き生きと楽しそうになさってるのを見ると…」
「(出演している)『緊急取調室』っていう天海祐希さん主演のドラマは、でんでんさん、小日向文世さんとか田中哲司さんとか、年上の方々がレギュラーでいて。でも、前室とかワイワイしてるから、俺もこの大人がいるなら大丈夫だと思ったのはありますね」
塚地さんが芸人を目指したのは、大学卒業後に社会人として仕事を始めてからだったとか。
「高校卒業する時にもう(お笑いを)したかったんですよ。ただ、親に言うと、いやいや大学行ってから考えなさい、みたいな感じで。で、一浪して、なおかつ大学行かせてもらって。ずっとやりたいけど、あ、これもう言ったらアカンな…って。長男やし大学も行かせてもらって。で、芸能界に憧れるっていうことは、周りのみんなもそうで、ちゃんと就職したら忘れていくものなのかも、と思って就職したんですけど、やりたくなって」
そして、大阪出身なのに東京の事務所・人力舎に入った理由についてはこうおっしゃっていました。
「(お笑いを)始めようと思った時が24歳やったんで、当時やっぱり遅くて。世に出るためにはそれこそキャッチーなことをせんと出れないかもと思って。そう言えば、東京のお笑いを間近で見てなかったなっていうのと、相方、東京のヤツと組んだら東西融合みたいなキャッチーさはあるかもと思って。よし、東京に出てやってみよう!と思っていろいろ調べてたら、うちの人力舎の養成所のところを見つけまして」
「大阪からの人間なんで東京の吉本入るのもなんかねぇ…そうだったら大阪でよかった、ってなるから。で、人力舎どうだろう?って見てたら、シティボーイズさんとか竹中直人さんだったりとかが講師陣の名前に連なってたんですよ。で、この人たちの共通点はオッサンやのに面白い!と思ったんですよ。若い若いということを意識してたけど、年配の方やけどちょっと面白いなと思って。あ、ここやったら24で遅いと思ってる俺でもいけるかもしれん!と」
人力舎の養成所に入った塚地さんはそこで相方の鈴木拓さんと出会い、ドランクドラゴンを結成します。
「僕はツッコミやりたくて入ってきたんですが、同期に面白いなと思うボケの人がいなかったんですよ。じゃあボケを自分でやろうと思って。でも、周りにツッコめる人いるかって言ったら、自分に合うようなツッコミの人がいなくて。どうしようと思ってたら、鈴木がなんにもできないんですよ。授業とかで出される宿題とかも次の日まったくできへん。覚えてこいって言われたことも覚えてこないし、ぜんぜん違うこと言う、みたいなのが面白くて。コイツなんなんや?っていう。なんのためにコイツお笑いしたいんやろ?っていう(笑)不思議さをアイツは持ってたから。あ、コイツと組んだらなんか新しいことできるかもしれん、っていうことで声かけて組んだっていう感じですね」
来週も引き続き、ドランクドラゴンの塚地武雅さんをお迎えします。