鴻上尚史さんが日本の同調圧力を語る(2021/04/10 放送)
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先週に引き続き、今週も作家・演出家の鴻上尚史さんをお迎えしました。
5月15日(土)から新作の舞台『アカシアの雨が降る時』が上演される鴻上さん。昨年夏には、評論家・佐藤直樹さんとの対談集『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』を発表しています。
「元々、僕は“世間”というものに対してずっと言い続けていて。日本だけの特殊なシステムで…ま、世間っていうのは自分の知ってる人たちですね。職場とか学校とか隣近所とかっていうのが世間。で、世間の反対語が“社会”って呼ばれるもので、社会っていうのは要は自分がまったく知らない人、同じ電車に乗り合わせた人とか、映画館で一緒に映画を観てる人とか、たまたま道ですれ違う人もぜんぶ社会なんですけど」
「で、その世間というものの特徴が同調圧力なんだけど、コロナの時代になって、この同調圧力が物凄く凶暴化したっていうか。いろんな意味で、自粛警察とかも含めて、現れてきたので、これはちょっとヤバいぞ…っていうのがあって」「佐藤直樹さんっていうのは元々、大学の先生だった方で、“世間学”っていう学会のリーダーなんですけど。それで、緊急で対談して、あっという間に本を出したっていう感じですね」
「人と一緒にしなきゃいけない、っていう同調圧力自体はもちろん世界中にあるんですけど、“世間”が理由である同調圧力っていうのは日本だけなんですね。で、例えば、上司が帰るまでなかなか会社から帰りにくいとか、なんだかよくわかんないけどダラダラ会議が続いていって何のためにしてんのかわかんない…とかっていうのは、世間のルールである、同じ時間を過ごすことが仲間の印っていうような同調圧力の中でも世間から生まれてくる同調圧力」
『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』の対談ではネット、SNSの問題が多く語られていますが、その中に“正義の言葉”という表現が登場します。
「アメリカなんかではSocial Justice Warriorって言ったりしますけど、社会正義戦士ってやつですね。社会の正義を語る限りは誰からも文句言われない」
「僕、日本のツイッターで去年、うわっ!ここまで来たか!と思ったのは、ストリートライブは違法です、って言って、ストリートライブをしてるやつの写真を上げてるツイッターがあって。それで、許してやれよ、ストリートライブは、とかって一言でも書こうもんなら、これは道路交通法違反です!あなたは法律違反を認めるんですか?あなたは法律違反して平気だと思うんですか?っていうことなわけで。だから、正義の言葉を語ってる限りはつっこみが来ないので、自分を主張できる」
「僕らはスマホの時代に突入してしまって、自分を何で評価するかっていうのは、やっぱり“いいね”とフォロワー数っていう。不安であればあるほどハマってしまいますよね。スマホっていうのは自意識がどんどん拡大していく装置だし、不安を煽っていく装置だから、ホントに。もちろん手放せないので、どう上手く付き合うか?っていうことがすっごい大事になりますよね」
「結局、巡り巡れば自分のためにやっぱりやってるわけで。自分のためなんだけど、自分のためとはなかなか言えないから、社会正義のためにやってるんだ、っていうふうにみんな言うわけですよね」
5月15日(土)から新作の舞台『アカシアの雨が降る時』が上演される鴻上さん。昨年夏には、評論家・佐藤直樹さんとの対談集『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』を発表しています。
「元々、僕は“世間”というものに対してずっと言い続けていて。日本だけの特殊なシステムで…ま、世間っていうのは自分の知ってる人たちですね。職場とか学校とか隣近所とかっていうのが世間。で、世間の反対語が“社会”って呼ばれるもので、社会っていうのは要は自分がまったく知らない人、同じ電車に乗り合わせた人とか、映画館で一緒に映画を観てる人とか、たまたま道ですれ違う人もぜんぶ社会なんですけど」
「で、その世間というものの特徴が同調圧力なんだけど、コロナの時代になって、この同調圧力が物凄く凶暴化したっていうか。いろんな意味で、自粛警察とかも含めて、現れてきたので、これはちょっとヤバいぞ…っていうのがあって」「佐藤直樹さんっていうのは元々、大学の先生だった方で、“世間学”っていう学会のリーダーなんですけど。それで、緊急で対談して、あっという間に本を出したっていう感じですね」
「人と一緒にしなきゃいけない、っていう同調圧力自体はもちろん世界中にあるんですけど、“世間”が理由である同調圧力っていうのは日本だけなんですね。で、例えば、上司が帰るまでなかなか会社から帰りにくいとか、なんだかよくわかんないけどダラダラ会議が続いていって何のためにしてんのかわかんない…とかっていうのは、世間のルールである、同じ時間を過ごすことが仲間の印っていうような同調圧力の中でも世間から生まれてくる同調圧力」
『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』の対談ではネット、SNSの問題が多く語られていますが、その中に“正義の言葉”という表現が登場します。
「アメリカなんかではSocial Justice Warriorって言ったりしますけど、社会正義戦士ってやつですね。社会の正義を語る限りは誰からも文句言われない」
「僕、日本のツイッターで去年、うわっ!ここまで来たか!と思ったのは、ストリートライブは違法です、って言って、ストリートライブをしてるやつの写真を上げてるツイッターがあって。それで、許してやれよ、ストリートライブは、とかって一言でも書こうもんなら、これは道路交通法違反です!あなたは法律違反を認めるんですか?あなたは法律違反して平気だと思うんですか?っていうことなわけで。だから、正義の言葉を語ってる限りはつっこみが来ないので、自分を主張できる」
「僕らはスマホの時代に突入してしまって、自分を何で評価するかっていうのは、やっぱり“いいね”とフォロワー数っていう。不安であればあるほどハマってしまいますよね。スマホっていうのは自意識がどんどん拡大していく装置だし、不安を煽っていく装置だから、ホントに。もちろん手放せないので、どう上手く付き合うか?っていうことがすっごい大事になりますよね」
「結局、巡り巡れば自分のためにやっぱりやってるわけで。自分のためなんだけど、自分のためとはなかなか言えないから、社会正義のためにやってるんだ、っていうふうにみんな言うわけですよね」
佐藤直樹さんとの『同調圧力』に続いて、今年1月にはイギリス在住のコラムニスト、ブレイディみかこさんとの対談をまとめた『何とかならない時代の幸福論』も登場。この本でも“世間”と“社会”について語られていて、日本人は世間の人は助けても社会の人は無視する傾向がある、といった話が出てきます。
「旅の恥はかき捨てっていう言い方があるけど、社会に所属してる人は無視していい、とかっていうふうに日本人が思っていて。世間がちゃんと機能してる時はそれで良かったんだけど、世間がだんだん中途半端に壊れてきているので。そうすると世間に頼ってるだけではすまなくなってくるので、そこで僕らはやっぱ新しいコミュニケーションを持たないとダメなんですよね」
そして、鴻上さんはブレイディさんが語るイギリスの教育についてこうおっしゃっていました。
「その本でいちばん感銘したのは、エンパシー(Empathy)とシンパシー(Sympathy)の違い。シンパシーっていうのは人を可哀想に思うって気持ちなんだけど、エンパシーっていうのは共感能力っていうか相手の立場に立てる能力のこと。その違いをちゃんと小学校から教えてるっていうのはすっごい素敵な教育だと思いましたね」
「僕ら、日本人は自分の嫌がることを人にするなって教えられてくるんだけど、これ実はシンパシーなんですよ。自分が嫌なことは相手も嫌に違いない、っていうふうに決めるので。それはたんにシンパシーなわけで、同情なんですね。で、(エンパシーは)自分が嫌なことなんだけど、これはひょっとしたら相手にとってはOKなことかもしれないとか、自分が嬉しいことなんだけど、これは相手にとっては嫌なことかもしれない。相手の立場に立って考える」
先週、日本の学校の校則の問題についても話してくれた鴻上さん。『何とかならない時代の幸福論』にも、生まれつき茶髪の生徒に髪を黒く染めさせる、といった校則の話題が出てきます。
「日本じゃなくて世界を見ると、いわゆるダイバーシティっていう多様性を認める方向に進んでることは間違いないと思うんですよ。それはね、誰が止めようと思っても止まらないと思う。一人一人が違うんだっていうことを認めようよ、個人の尊厳と多様性を認めようよっていう方向…これは後戻りはできないっていう潮流はあると思うんだけど、それが強くなればなるほど、局地的にっていうか部分部分で、それに対する激しい抵抗っていうのがやっぱり凄く起こってくるんだと思うんですよ」
「で、学校っていうのは、変化しなくてもとりあえず続くので。そうすると、ツーブロック?そんなもん俺の学生時代はなかったんだから禁止だよ!下着?ぜんぶ白だよ!それ全部チェックするからな!みたいな。そういう明らかにそれぞれの尊厳と多様性を認めなくてもとりあえずシステムとして残っちゃうので、それが不幸を生み続けてるっていうのがすっごいあるんだと思うんですよ」
最後に、鴻上さんはご自身にとってのチャレンジついてこう話してくれました。
「楽しいことをすること、かなぁ。要は、挑戦って苦しかっただけだったら続かないと思うんですよ。すぐ結果が出ることってあんまりないような気がするので、挑戦って持続的なことかなと思うので。そうするとやっぱり、楽しめるかどうかが凄い大事かなと。もちろん1回のチャレンジでできたらそれでいいんですけど、今までの経験で言うと、1回のチャレンジでできることはあんまりないので」
番組では、そんな鴻上さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「鴻上尚史さんの色紙希望」と書いてご応募ください!