宮本浩次さんが初のカバーアルバムに込めた思い(2020/10/31 放送)
今週は、宮本浩次(ひろじ)さんにリモートでお話を伺いました。
エレファントカシマシのボーカルとしておなじみの宮本さんは昨年、ソロ活動をスタート。今年11月18日には初のカバーアルバム『ROMANCE』をリリースします。
エレファントカシマシのボーカルとしておなじみの宮本さんは昨年、ソロ活動をスタート。今年11月18日には初のカバーアルバム『ROMANCE』をリリースします。
『ROMANCE』に収録されるのは、久保田早紀さんの「異邦人」、中島みゆきさんの「化粧」、梓みちよさんの「二人でお酒を」、岩崎宏美さんの「ロマンス」、松田聖子さんの「赤いスイートピー」、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」、松任谷由実さんの「恋人がサンタクロース」といった女性シンガーの名曲12選。宮本さんは選曲についてこう話してくれました。
「まず自分が好きな歌っていうのが一つあったのと、レコード会社のスタッフ、友人、あらゆる人から好きな歌っていうのを募って。もちろん自分の好きな歌、いろんな歌を随分たくさん…懐かしい作業でした」
元々は、沢田研二さんの曲や寺尾聰さんの「ルビーの指環」といった男性の歌も候補にあったそうですが、宮本さんがご自身で歌って“グッとくるもの”に絞っていった結果、今回の12曲になったとか。
そんな『ROMANCE』の1曲目に収録されているのは、小坂明子さんが1973年に発表した「あなた」。宮本さんがまだ子供の頃にヒットした曲です。
「女性の純なそういう憧れが歌われていて、今聞いてもホントに胸がキュンとなるというか、たぶん男性が聞いてもグッとくるシーンがいっぱいある素敵な歌です」
「小さい子供がいたりとか、そういう幸せなシーンがたくさん…でも、あなたはそこにいない…っていう部分の悲しさみたいなものも同時に歌われていて、凄くロマンチックな歌だなと思います」
また、ちあきなおみさんの「喝采」は、1972年の曲です。
「この歌も本当に印象的で、子供の頃に物凄く流行っていたのもあって。で、大人になると、またこの歌詞の重みというか、切ないどころじゃない、非常に凄い深さというのかな…それが伝わってくる」
「ちあきなおみさんの尋常ならざる表現力・歌唱力…」「もうホントに子供の頃からマネして、あれは3年前♪〜この部分なんかホントによく歌いました。マネしてね。意味もわからず」
そして「白いパラソル」は松本隆さんが作詞を手掛けた松田聖子さんの曲ですが、実は宮本さんはテレビ番組でこの曲を歌ったこともあるそうです。
「松本隆さんと番組でご一緒させていただいたことがありまして。で、松本隆さんの前で『白いパラソル』を歌うっていう。暴挙というか、ご本人の前で歌うシーンがあったんですけど。それで、可愛らしくて、女の人の凄く素敵な…ホントに聖子さんの声と相まった、凄い歌詞の素敵なシーンが頭に浮かんで、けっこう泣けちゃって私…」
今回の『ROMANCE』に収録されているのは、ほとんどが70年代と80年代の曲ですが、ラストを飾る宇多田ヒカルさんの「First Love」だけは99年の曲。宮本さんも当時よく聞いていたんだとか。
「当時、私買いましてね、そのアルバム。ものすごい一斉を風靡したじゃないですか。宇多田ヒカルさん」
「その時流行ったものはやっぱり一度は聞くようにはして…」「宇多田さんは凄い歌が上手かったからインパクトありましたよね、当時。凄かったじゃないですか。私もちろんデビューしてたんですけど、やっぱり凄い衝撃を受けて。CDも買いましたし、聞き込みましたね」
エレファントカシマシのメンバーと出会った中学時代にビートルズやローリング・ストーンズなどを知ったという宮本さん。また、RCサクセションなども聞いていたそうですが、それ以前の子供時代は、今回のアルバム『ROMANCE』でカバーしているような歌謡曲を聞いて育ったそうです。
「自分が今ソロ活動を始めて、なんとかそういうソロの思い出の歌謡曲をいつか歌いたい、っていうのはずっと思ってたんですよ」
「緊急事態宣言っていうのがあった中で時間が凄く出来て。実は『あなた』とか『恋人はサンタクロース』は、去年の12月にはレコーディングが終わってたんですけれども、その時は近々カバーアルバムを出そうっていうのは決めてたんですよ」
今年3月から予定されていた全国ツアーが新型コロナの影響で中止になってしまった宮本さん。そこで、ご自身の作業場にこもって、1日1曲、できれば2曲という目標でいろいろな曲をカバーしていたんだとか。
「そういう意味では充実していました。自分の大好きな歌をもう何曲聞いたかっていうぐらい。100曲以上聞いて、その中から30曲近く…」
「自粛ムードがあったんで、だったらと思って、自分なりにせいいっぱい歌を…。楽しかったですね。『あなた』もそうですし、『二人でお酒を』とか。懐かしくて涙がこぼれるっていうか、刷り込まれてるんですよね。その思い出というか。だから歌の世界に入り込んで…」
「物凄く浄化されるというか、自分の青春時代よりもっと前の、少年時代の自分に一瞬戻るんですよね」
「ラジオにかじりついて音楽を聞くっていうのは毎週の私の楽しみでしたね。ベストテン番組もたくさんありましたし。はい」とおっしゃっていたように、宮本さんの音楽体験においてラジオは非常に大きな存在だったようです。
「土曜日の1時からやってたんですよ。ラジオベストテン。ま、今でもやってるけど。ジョン・レノンの「Starting Over」も聞きましたし、いろんなベストテンで聖子さんの『赤いスイートピー』も聞きました。もう胸がドキドキしながらね」
また、宮本さんは子供の頃の音楽体験についてこんなこともおっしゃっていました。
「母親がなにしろ歌が好きで、お正月に川崎大師に初詣に行くんですけれども、家族で行く車の中で母親がずっとそういったいろんな歌、それこそ『二人でお酒を』も歌ってましたし、自分もその歌を自然に好きになって。ジュリー(沢田研二さん)を見てホントに憧れて…」
来週も引き続き、宮本浩次さんをお迎えします!