猿まわし師の村崎太郎さんが語る“反省”ポーズ誕生秘話(2015/09/19 放送)
今週は、猿まわし師の村崎太郎さんをお迎えしました。
17才、高校2年生の時に猿回しを始め、芸歴は37年になるという村崎さん。80年代後半には、村崎太郎・次郎のコンビで披露した“反省”のポーズが一世を風靡しましたが、あのポーズが生まれたのは、村崎さんが目標としていた『笑っていいとも』に初めて出た直後に次郎が脱走したことがきっかけだったとか。
17才、高校2年生の時に猿回しを始め、芸歴は37年になるという村崎さん。80年代後半には、村崎太郎・次郎のコンビで披露した“反省”のポーズが一世を風靡しましたが、あのポーズが生まれたのは、村崎さんが目標としていた『笑っていいとも』に初めて出た直後に次郎が脱走したことがきっかけだったとか。
「200人の警察・レスキュー隊がですね、ヘリコプターもガンガン出てですね、次の日も捜索になって。ちょうど『笑っていいとも』をやってる時にタモリさんがニュースを見てて、おい今、先週出てた次郎が逃げてるぞ!と」。そして、最終的に捕まった次郎と村崎さんは警察官に取り囲まれますが、次郎はまったく反省した様子がなく、バナナを食べていたんだとか。
「で、みなさんがどうする?と。警察署長さんもこの状況をどうする?と。で、どうする?どうする?っていった時に、お前何してんだバカ、反省しろ!って。日本人って必ず、反省って言うじゃないですか。そしたら、あのポーズをポンとしたわけですね。警察官のみなさんも笑ってですね。猿も反省してるから、今回はいいってことにしましょ、っていうことで、これはオイシイと。この芸は苦境を乗り切ったぞと」
最初の頃は、厳格に芸をさせていたという村崎さんですが、ある経験を機に“反省”のようにその場で起こるミスを生かす芸に変わっていったようです。「何をするにもちゃんとしてる芸を…竹馬なら竹馬にちゃんと乗って、拍手をもらって終わり、みたいな。そうやって真剣に思ってたんですけども」「ところが、ある日、次郎が竹馬に反対に乗ってめちゃくちゃ受けてるわけですよ。で、私はもの凄い怒って、お前何やってんだ!って」
「でも、前は全然、いわゆるオヒネリが入んなかったのに、ザルを前に置いてたら、黙ってみんながもの凄い高額のお金をぽんぽんぽんぽん…ありがとうね!面白かったね!頑張ってね!みたいな。あれ?って。で、それ(愛される失敗)をそのまま生かしていくっていうことを常に教えてきて…」
海の側で育った村崎さんは子供の頃に水平線の向こうを見て、「いつか俺はあの海の向こうに行くのかな?」と思っていたそう。日本で一世を風靡した後は、海外進出にもチャレンジしていきます。
「いろんな日本の芸能がありますけど、自分がパフォーマーとして、アーティストとして向こうに行った時にどうしても言葉って障害になりますよね。ところが、猿芸の場合はあまり言葉が必要でない部分っていうのは…もちろん日本でやる場合はそこ(言葉)で受けてるんですけども、それじゃなくても受ける」
2年ほどの準備を経てアメリカに行った村崎さんは、向こうの議会でも芸を披露したんだとか。「アメリカの議会が、日本の伝統芸能者として、議会が認める承認決議っていうのがあるんですね。それ頂いて帰ってきましたけども。これ、なんか凄い価値があるみたいで…」。ちなみに、“反省”の部分は“I know you’re sorry”と言ったそうです。
「街を歩いてれば、やってくれ!やってくれ!って大変でした」と、アメリカでも大いに受けたという村崎さん。中国にも行き、上海雑伎団の舞台にも登場したそうです。
一方、国内では96年に常設の劇場をオープン。「年間に50万人、100万に来て頂きましたから。1芸能者としては成功っていうことだと思います」。しかし、結果的には劇場経営は上手くいかなかったそうです。
「ただ、ですね(笑)、野球でもそうですけど、球場経営とプレイヤーって一緒にやるのは大変で、できないわけで。」特にプレイヤーなんかやってると、数字の感覚がおかしくなってるんですね。特に私はブームを呼んだので、普通の方と桁の計算の仕方が違うんですね。そういう人が経営しちゃうとどうなるかっていうと(笑)、もの凄い売り上げてますし、人気も出てるけども、負債も大きくなりますね」
ちなみに、今の次郎さんは5代目なんだとか。「この仕事を辞めようかと思ったのは何度かありますけども、初代が亡くなった時、ですね、まず一番最初に。ホントにやるべきかどうか続けるべきかどうか、考えたのは…」
「必ずみなさん聞かれるじゃないですか。亡くなった時に。太郎さんにとって次郎さんはどういう存在だったんですか?って言われると、私の中では“戦友”っていう言葉になるんですね。同じ舞台を戦った。“相方”ではないんですね」
来週も引き続き、村崎太郎さんをお迎えします。お楽しみに!