兄の金メダルをきっかけに自分も五輪の舞台へ…荻原次晴さん語る!(2015/06/20 放送)
先週に引き続き、今週も、元スキー選手でスポーツキャスターの荻原次晴さんをお迎えしました。
大学時代はスキー以上にクラブDJを目指していたという次晴さんですが、双子の兄の健司さんが92年のアルベールビル・オリンピックで金メダルに輝いたことが次晴さんにも大きな影響を及ぼしたようです。「日本ではノルディック複合というマイナースポーツは知られてませんでしたし、それこそ荻原健司なんて誰も知らなかったんですが、彼らが金を獲って日本に帰ってくるともう時の人になって、テレビ番組もあらゆる番組に出まして。で、超有名人になっちゃったんですけど…(僕は兄に)顔がソックリじゃないですか」
次晴さんは、健司さんに間違われて声をかけられたり、サインを求められたり、写真を頼まれたりして凄く困ったそうです。「時には、僕、弟なんです。だからサインできません…って言うと、チェッ!とか急に顔色変えて、お前ねぇ、有名人面してんじゃねえよ!とかそういう人もすっごく多かったです。それが嫌でたまらなくて、これはどうにかしなきゃいけないと。だったら、健司が一番注目されるステージに一緒に上がるしかない。それはもうオリンピックしかないと思いました。それからですね、再び本気になったのは」
次晴さんは当時についてこんなことも話してくれました。「健司は何も言いませんでしたね。僕も健司に対しては壁を作ってました。話もしませんでした。見るのも嫌でした。あと、お袋に八つ当たりしましたね。なんで俺を双子に生んだんだよ…って。でも、そうなる自分も嫌だったんですよ。やっぱりそれだけ悔しかったですね。これ、僕だけじゃなくてみんなそうだと思うんですけど、自分の存在を認めてくれない、認められないことっていうのは、人間として最も生きててつまらないことなんだな、っていうのを感じました」
そして迎えた98年の長野オリンピックで、次晴さんは個人で6位入賞、団体では5位に入賞。しかし、オリンピック直前に調子が悪かったこともあって、本番までは毎日、オリンピックに出ることが怖くて堪らなかったそうです。
「で、いよいよ本番の日がやってきちゃいまして。もう体が震えるほど怖かったです。でも、ここで自分の人生が終わるかも知れない、っていうのをずっと思っていて。だったら、安全パイとか確実に…とかそういうことはもう捨てようと。今日、日本のみなさんの、応援団の前で死んでもいいやっていう気持ちでスタートしよう…っていう気持ちになれたのが良かったですね。で、ジャンプ2回飛んだんですけど、上手くいっちゃったんですよ」
「(長野で)健司と一緒にクロスカントリーで競ってる時にですね、たくさん応援を頂いたんですよ。健司〜!次晴〜!っていう声がいっぱい聞こえてきたんですね。夢のオリンピックで健司と一緒に競い合うことで、次晴!って名前を呼んで頂いて、“あ、俺は今日から次晴として生きていっていいのかも知れないな…”っていうのを感じてですね。で、それと同時にオリンピックに出るって大変なんだなって。昔、健司が金メダルを獲って、僕が人違いされることになって、なんで健司はオリンピックなんか出るんだ?って言ってましたけど、やっぱり健司は健司でかなり努力したからこういう世界に来れてたんだな、と」
「オリンピックに出場して振り返ってみると、その過程の中でいろんなことを勉強させてもらったなぁ、と思って。しまいには人違いされる悔しさっていうのをもう忘れてました。それよりもホントにここまで来られたきっかけを作ってくれた健司ですとか、家族だとか、仲間だとか、そういったみんなに感謝したいなっていう」
そして、次晴さんは、お兄さんと間違えた人から言われた心ない言葉に対してもこんな風に思えるようになったそうです。「あれらの言葉っていうのは、“次晴さん、あなたって本気になって頑張れば出来るはずなんですよ。なんでやんないんですか?”っていうエールだったんだな、っていう風に思えるようになったんですよ。そういう意味でオリンピックっていうのは僕にとって大きな学校というか、勉強の場でしたね」
また、次晴さんは次なる夢についてこんな風に語ってくれました。「2020年、東京オリンピック。メインキャスター!いやいや、難しいですよ。というのは、夏のオリンピックですよね。僕はこれまで冬のオリンピックのキャスターを務めさせて頂いたことは何度もあるんですが、夏はないんですよ」
最後に、東京オリンピックを目指すアスリートたちに次晴さんはこんなメッセージを送ってくれました。「健司もよく言うんですが、“その本気は本物なのか?”ってことですかね。みんな選手は本気で頑張ってる、本気本気って言うんですけど、本当に本気なのかよく考えて見ろ!っていうことでしょうかね。あと、スポーツの先輩として、ちょっと生意気ですけど言わせてもらうと、オリンピックに出たいなぁ…一番になりたいなぁ…メダル獲れたらいいなぁ…ぐらいの程度だったら絶対にオリンピックに出られないです。メダルも獲れません。オリンピックに絶対出る!!!!っていう人たちだけがあそこに出てますね」
番組では、そんな荻原次晴さんから挑戦に関するメッセージ「本気は本物か」を色紙に書いて頂きました。こちらの色紙を1名様にプレゼントします!このホームページ右のメッセージフォームから「荻原次晴さんの色紙希望」と書いてご応募ください。