海洋冒険家の白石康次郎さんがヨットの師匠について語る(2017/05/13 放送)
今週は、海洋冒険家の白石康次郎さんをお迎えしました。
鎌倉育ちで、海を見ながらヨットで世界一周をしてみたいと思っていたという白石さん。船のエンジニアを目指して水産高校の機関科で学んでいた頃、ヨットの単独世界一周レースで日本人の多田雄幸さんが優勝したというニュースを見たそうです。
「何が一番ビックリしたかと言うとね、だいたいヨットって言ったらお金持ちを想像するでしょ?石原裕次郎さんレベルの人じゃないとね。下々の者にヨットなんかできないから。ところが、その多田雄幸さんは職業がタクシーの運転手だったんですよ。で、自分で船作って世界一周ヨットレースに出て優勝するんですよ。凄く希望が湧いてね。よし!と。この人に教わればなんとかなると思って」
多田さんの本を読んで感動した白石さんは、電話帳で番号を調べて何度も電話し、弟子にしてください!とお願いしたんだとか。でも、実際に会った多田さんは凄く変な人で、朝からお酒を飲むなど、水産高校で厳しい教育を受けていた白石さんにとっては驚くことも多かったようです。
「朝一で行くんですよ。ヨットで掃除しなきゃいけないのかなと思うわけですよ。それで、うちの師匠がつかつかと寄ってきて言った言葉が“おはようビール”。これが最初の言葉でしたね(笑)」
「それで、僕は飲めないし、いきなり師匠の脇には座れないわけですよ。階段の脇に立ってるわけ。で、うちの師匠の仲間がね…もう50代、60代の人ですよ…とにかく会話だけ聞こうと思って。海とは…なんて言うかなと思ったら、みんな50、60なんで、あそこが痛いとか、くっだらない話を延々として全然ヨット出さなかったですね」
「で、それをしばらくやってたらやっぱり良心が傷んだんだろうね。師匠が初めて、康ちゃんヨット出そうか?って言ってくれたんですよ。しかも、面倒くさそうに」
ようやくヨットを出してくれた師匠の多田雄幸さんは「オレは酒の方がいいから」と、まだ素人だった白石さんに説明もなしにいきなり操船を任せたそう。
鎌倉育ちで、海を見ながらヨットで世界一周をしてみたいと思っていたという白石さん。船のエンジニアを目指して水産高校の機関科で学んでいた頃、ヨットの単独世界一周レースで日本人の多田雄幸さんが優勝したというニュースを見たそうです。
「何が一番ビックリしたかと言うとね、だいたいヨットって言ったらお金持ちを想像するでしょ?石原裕次郎さんレベルの人じゃないとね。下々の者にヨットなんかできないから。ところが、その多田雄幸さんは職業がタクシーの運転手だったんですよ。で、自分で船作って世界一周ヨットレースに出て優勝するんですよ。凄く希望が湧いてね。よし!と。この人に教わればなんとかなると思って」
多田さんの本を読んで感動した白石さんは、電話帳で番号を調べて何度も電話し、弟子にしてください!とお願いしたんだとか。でも、実際に会った多田さんは凄く変な人で、朝からお酒を飲むなど、水産高校で厳しい教育を受けていた白石さんにとっては驚くことも多かったようです。
「朝一で行くんですよ。ヨットで掃除しなきゃいけないのかなと思うわけですよ。それで、うちの師匠がつかつかと寄ってきて言った言葉が“おはようビール”。これが最初の言葉でしたね(笑)」
「それで、僕は飲めないし、いきなり師匠の脇には座れないわけですよ。階段の脇に立ってるわけ。で、うちの師匠の仲間がね…もう50代、60代の人ですよ…とにかく会話だけ聞こうと思って。海とは…なんて言うかなと思ったら、みんな50、60なんで、あそこが痛いとか、くっだらない話を延々として全然ヨット出さなかったですね」
「で、それをしばらくやってたらやっぱり良心が傷んだんだろうね。師匠が初めて、康ちゃんヨット出そうか?って言ってくれたんですよ。しかも、面倒くさそうに」
ようやくヨットを出してくれた師匠の多田雄幸さんは「オレは酒の方がいいから」と、まだ素人だった白石さんに説明もなしにいきなり操船を任せたそう。
「僕はやり方わかんないし、一生懸命ぶつけないようにしてたんだけど、風が吹いてヨットをひっくり返しちゃったんですよ。で、うわぁ!って言った瞬間に、(多田さんが)セールをばばっとセットして舵をぎゅうっと切るわけ。で、またヨットが立ち直って、すぅーっと走るわけ。そんな人だったんです」
「参りました。僕は元々エンジニアです。理詰めで教わりました。厳しい教育を受けた。でも、それを超えるものを見せられたんですよ。だから、僕はうちの師匠から人生の楽しさ、ヨットの楽しさを教わったんですね。で、水産高校からヨットの厳しさを教わったんですよ。これ両方ないとダメなんですよ」
26才にしてヨットでの単独無寄港世界一周を達成し、当時の世界最年少記録を更新した白石さん。亡くなった師匠の船を譲り受けて大改造し、3度目の挑戦でようやく成功したんだとか。そして、176日にかけて無事帰ってきた時の心境を白石さんはこう語ってくれました。
「2回失敗してるでしょ。だから帰った時は、やった!っていうのはなかったかな。とにかく今までは、おねがいします…あと、すいません…しか言えなかったの。で、初めて成功して帰った時、ありがとう、って初めてみんなにお礼が言えたんですよ。それがなにより嬉しかったのを覚えてます」
これまでに3度の世界一周に成功している白石さん。怖さや不安はないそうですが、「ただ、しょっちゅうやめたいと思ってますね(笑)。早くヴァンデ・グローブ(単独無寄港無補給世界一周ヨットレース)を完走してやめたいです」とおっしゃっていました。ちなみに、ヴァンデ・グローブに出るには4億円の船を手に入れないといけないそうで、白石さんでも出場できるまでに30年かかったとか。
また、白石さんは挑戦についてこんなことを話してくれました。
「挑戦すればいいんですよ。俺、子供たちに、勝て!なんて一回も言ったことないですよ。戦えって言ってるんですよ。負けるんだったら戦って負けろって。マザー・テレサもおんなじこと言ってて、神様は成功を望んではないです、と。あなたの挑戦を望んでるんですよ、と」
「で、唯一僕が怒るのは挑戦しない人を怒るだけで、失敗した人を怒ったことはないです。成功だけ欲しい。1位だけ欲しい。優勝だけ欲しい。そんなのないですし、そんなことが決まってたら挑戦にはならないですよね」
「あと、もう1つ。みなさんね、合わなかったらやめちゃいな(笑)。やり続けろなんて言ったことないもん。やめちゃいなって。僕も人に頼まれてヨットやってないから、これだけのことをやってるけど、やめたくなったらやめちゃいます。逆に、いつでもやめられるから頑張れるんですよ」
明日5月14日(日)の午後5時からBS日テレで放送される番組『Challenge Stories Next』も白石さんがゲスト!神奈川県逗子市を訪れて、白石さんと中学生との交流を紹介します。こちらもぜひご覧になってください。
来週も引き続き、白石康次郎さんをお迎えします。お楽しみに!