飛翔通勤、人魚、泥から出てくる過去・・・いったいどこからどこまでが現実で、どこからがファンタジーなのか。最後のほうは「まぁインドだし、そんなこともあるかもね」と読者も妙に納得してしまう摩訶不思議な作品でした。芥川賞選考会は優秀な文学作品を表彰する場でもあるのでしょうが、受賞作をしばしば読むようになった最近、「今まで誰も触れたことがない、前人未踏の新文学を発見する機関」に思えてなりません。先週取り上げたワーズワス詩集しかり、観光パンフレットやガイドブックには載っていない生々しい南インド・チェンナイの現実を味わえるとあって、コロナ禍の今、旅好きさんには特におすすめしたい一冊です。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!)
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