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作品から作家の本質みたいなものに触れることは出来ると思いますが、その人物研究から見えてくるのは、作品が生み出された具体的な背景。私たち読者との距離もぐっと近づいてくるというものです。「断腸亭日乗」を読めば、荷風の日々の暮らしや想いが手に取るようにわかるけれど、その描写を川本三郎さんが詳しく解説、考察していて、しかも今回は荷風が愛した街を一緒に歩いていただいたのですから、当時の情景が単なる想像にとどまらず、まるで荷風が知り合いのおじさんであったかのような親近感すら憶えます。荷風の足跡を辿って実にいろんなところへ出向き、歩き、そしてゆかりの人々に話をきいていらっしゃる川本さんにとっては、もうほとんど身内感覚ではないかと。。。「老いの荷風」って素敵なタイトルですよね。独居の寂しさやわびしさに苛まれることなく、愛した街で穏やかに晩年を過ごすなんて憧れます。
(アシスタント:小山ジャネット愛子/今週も市川レポートはブログをご覧ください)

2019年07月07日
永井荷風『断腸亭日乗』
2019年06月30日
トルーマン・カポーティ『夜の樹』
2019年06月23日
石坂洋次郎『青い山脈』
2019年06月16日
ヒュー・ロフティング『ドリトル先生航海記』

アーカイブ
歌劇『葛飾情話』(永井荷風作詞、菅原明朗作曲)/永井智子、波岡惣一郎
「老いの荷風」には、戦争中、音楽家の菅原明朗、永井智子、宅孝二らと知り合い、岡山への疎開にも深くかかわった様子が描かれています。「断腸亭日乗」昭和13年6月17日には、「永井智子より電話。「葛飾情話」の蓄音機の吹込みをなせしといふ。」という一行も。
交響曲第6番「田園」/ベートーヴェン作曲、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮)
晩年、荷風が心を許していた小林青年は、ベートーヴェンの「田園」などのレコードを持っていました。音楽好きの荷風も親しみを覚えたはずです。市川の「田園」風景を荷風も散歩したということで選びました。
作家の川本三郎さんをお迎えし、永井荷風ゆかりの地、市川市からお送りしました。
市川市文学ミュージアムのHPはこちら!
小山ジャネット愛子さんのブログで、当日の写真やレポートもぜひご覧ください!
 
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