「一作ごとに作風が変わる」と小川さんが評するカズオ・イシグロ唯一の短編集は、確かに『日の名残り』とは違う趣き。でもどんな醜いものも透明感のある美しさをまとわせる独特な表現は今作品もやはり健在でした。ところで私、オンエア中ポカーンとしてしまった一瞬が。小川さん曰く最後の短編『チェリスト』の大家を名乗る女性の才能は“嘘”とのこと。えー!チェロは弾けないけれど才能はある人っているんだなと、疑わずに読んでいたのですが。しかし言われてみれば楽器ができない天才なんて説得力がないし、そもそも大家を自分から名乗るのもおかしい・・・。カズオ・イシグロの透明感にすっかり騙されてしまいました。
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