高校の現代文の授業で読み解いた覚えのある懐かしい『名人伝』。わかりやすい文章でスラスラっと読めますが、読み終わった後に残る謎も多い作品です。主人公の紀昌が「不射之射」を体得したのかも気になるところですが、小川さんは紀昌の奥さんが気の毒でならない様子。確かに、旦那がいきなり機織台の下に潜ってきて2年経っちゃうわ、さらに虱を眺めて3年も経っちゃうわ、知らない間とはいえ睫毛を矢で射られるわ、ようやく修業を終えて旦那が帰ってきたと思ったら腑抜けのようになっているわ…。そもそも経済力皆無の夫ですから奥さん、苦労に苦労を重ねて一生を終えたのではないでしょうか。名人の道を極めるには、道端に数々の犠牲者もまた倒れていそうです。
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