「新聞小説」らしい、大人も子どもも楽しめる『悦ちゃん』。それにしても出てくる大人が皆酷い!育児放棄の父、職場放棄のばあや、身勝手な母親候補、冷たい叔母さん・・・。こんな大人に囲まれていても元気いっぱい自分の持ち味を武器にたくましく生きる悦ちゃんを、当時の読者たちも毎日応援していたのではないでしょうか。唯一良い大人として登場する鏡子さんの存在には小川さんも私もほっとさせられましたが、彼女もまた気を遣いすぎな継母の下で寂しい生活を送っている女性。しかしこの寂しさが他人の子への母性を育て、やがて悦ちゃんを幸せにするのですから、この世に無駄な苦労なんてない!と思わせてくれる、本当に明るい結末の文学遺産です。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!) |