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「こんな話・・・もう私びっくりしちゃって!」そう口火を切った小川さん。正直でお喋りすぎる夢見がちな“僕”を都合よく操るナースチェンカがどうしても許せず、遂には「あの女!」呼ばわりしていらっしゃいましたね。いつも若い男の子の味方なだけに、相当ご立腹の小川さんでした。本命がいる女性に「まぁこの際2番目でもいいか」と振り向いてもらえそうになったら、本命が現れてあっさりふられた、というシンプルなお話です。それでも失恋物語の最後にありがちな自暴自棄になるのではなく、「まぁいい経験になったわ。あの子も幸せになれますように!」とあくまで前向きな僕。いじらしいといえばいじらしい、おめでたいといえばおめでたい、実に希少価値のある主人公です。

(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!

2016年5月29日
津島佑子
『光の領分』

2016年5月22日
町田康・訳
『宇治拾遺物語』

2016年5月15日
呉明益
『歩道橋の魔術師』

2016年5月8日
椋鳩十
『片耳の大シカ』

アーカイブ
チャイコフスキー:四季より5月「白夜」/ミハイル・プレトニョフ(ピアノ)
チャイコフスキー(1840-1893)がロシアの1年をイメージして作ったピアノ曲「四季」より。チャイコフスキーとドストエフスキー(1821-1881)は、サンクトペテルブルクの同じ墓地に眠っているそうです。
ロッシーニ:セビリアの理髪師より、二重唱「ほんとうかしら」/ヘルマン・プライ(バリトン)、テレサ・ベルガンサ(ソプラノ)
主人公とナースチェンカ2人で歌う『セビリアの理髪師』の中の曲。♪R0-Ro-,s-isi-,na♪と、「白夜」に書いてある通りに歌っています。『セビリアの理髪師』はフィガロがロジーナと伯爵の恋の橋渡しをする、というストーリー。手紙の代理配達があったり内容も接点がありますし、「白夜」の中では、ナースチェンカと間借り人が見に行き、主人公とも歌ったり話したり、何度も出てきます。
サンキュー/シンプリー・レッド
夢想家の僕は一晩でふられてしまいますが、女友だちに出会えたことを喜ぶ前向きなところに希望があります。誰も友達がいなかったのだから彼の孤独を思います。♪君が見せてくれた世界に感謝してる、今はこれで終わりだけどああ心から感謝してるよ♪という曲です。
 
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