石川啄木の歌というと、寂しげで哀しげなものというイメージを持っていたのですが、勤め人のつらさを歌ったものや、自分より能力の劣る人を皮肉った歌など、その内容は実に多彩。最後の一首まで面白く読むことができました。ところでこの歌集の最初のブロックには『我を愛する歌』という題名がついており、啄木が“自分大好き人間”だったことがうかがえます。しかも年譜を見るかぎりかなりの「だめんず」でもあるのですが、「僕ってダメ人間です。解っているんです。でもそんな自分が愛しいんです」という姿勢で、我が番組が大好きな“文学の中のダメ男”の中でもニュータイプ。「何とも憎めませんねぇ」と小川さんと笑ってしまいました。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!)
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