恋の絶頂ともいえる婚約期間中の二人が、死によって引き裂かれてしまうという悲しいストーリィ。「あらすじだけたどるとお涙ちょうだい的な話に思えますが、あえて少し引いた視線で状況を追い、しかも婚約者が死ぬ場面は空白になっていて、どこまでも品のある作品です」と小川さん。確かに悲しい話ではあるのですが、清らかさで満ちている、といった印象です。それにしてもこの話の主人公といい、夏目漱石の『こころ』の先生といい、川端康成の『雪国』の男といい、どうして仕事をせずに懐と心に余裕をもちながら暮らしていけるのでしょうか?このタイプの登場人物が出てくるといつも、「どうなってるの?」と盛り上がる小川さんと私でした。
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