★カルトクイズ最高だった!
サカナクションカルトクイズ、すごく楽しかったです!16問中7問正解で優勝することは出来ませんでしたが、初めて山口先生に会えてお話出来てとても嬉しかったです!サインも握手も、本当にありがたかったです!年齢を言って「13歳!?」と驚かれた時はびっくりしました!何せ部屋中に響いてましたから!(笑)未成年NF、必ず行きますね!次回のカルトクイズでは優勝できるように勉強を積み重ねてきます!本当にありがとうございました!
女性/13歳/神奈川県
山口「そうなんですね。スペースシャワーTVで放送している『NFパンチ』の、サカナクションカルトクイズが開催されました。これは第2回目でした。先日このサカナLOCKS!でも傾向と対策を研究しましたね。妄想逃避。ちゃんは予選で敗退しちゃったんですね。覚えていますよ。会場はビクターの本社だったんです。大会議室っていう超どでかい会議室があるんですよ……もう、絨毯の色がダサい!(笑) 突っ込んだ人は僕と大根仁監督だけだったっていう(笑)。そのビクターの大会議室で行われたわけです。今回は年齢制限なしで行ったんですけど、10代の参加者が多かったんですね。決勝に進んだのも2人とも10代でしたね。これ……大人のサカナファンね……大人の魚民たち、頑張ってもらわないと!勉強してほしいと思いますね。まあ、どんな結果だったかは番組を楽しみにしていてほしいと思いますね。放送日は多分、来週の金曜日。楽しみにしていてください。」
山口「今夜は、サカナクションのシングル「多分、風。」を大解剖していきたいと思います。さあ、今日はこの人と一緒にお届けしていきます。」
江島「サカナクションの江島啓一です。」
山口「あら、声がガラっとしたぞ、今。」
江島「多分、風邪。(笑)」
山口「お前風邪ひくチャンスないだろ。」
江島「え、どういうこと(笑)。風邪はいつでもやってきますよ。」
山口「さあ、「多分、風。」ですけど、この曲をアレンジ始めたのは去年の夏くらい。一度CM用にサビだけ納品して、全体のアレンジを始めたわけですね。サカナクションのツアー、SAKANAQUARIUM2015-2016 "NF Records launch tour"の幕張メッセ公演(2016年4月9日 & 4月10日)で披露するためにアレンジをして、ライブバージョンは完結したんですよね。じゃあそれをCD用にアレンジしていきましょうっていうので動き始めたのが直後の5月くらい。最初のデモが6月に出来上がったわけですね。最初は、みんなに聴いてもらっている「多分、風。」のアレンジにすごい近いの。あんまり大きな変化はしていないんですね。じゃあ、6月の時点のデモを聴いてみましょう。これはいつの?」
江島「6月14日ですね。今年の。」
♪ demo 1 「多分、叩き台。」(2016年6月14日ver.)
山口「結構(ドラムの)キックが強いんだよね。シンセ(シンセサイザー)の音色もオリジナルとは違うんです。歌が入ってもシンセは引っ込まない。ずっと押し通している感じですね。」
江島「幕張メッセからはね、サビイントロがあったんだよね。」
山口「そう。幕張ではサビイントロって言って、サビのオケのままのイントロがついたんだよね。」
江島「それをやめて、簡潔にした感じ。」
山口「BPMは遅いんだよね。このアレンジでいこうって話になっていたんだけど、なんかここでひとつ、先生は"カルチャー感"っていうのをテーマに話し始めたんだよね。当時は「渚のアップビート」っていうタイトルだったね。「多分、風。」は、衣装とかも含めて、サウンド面でもテクノポップとして日本の80年代のリバイバルを。(80年代の音楽を)現代でやったらどうなるのかなっていうのを徹底的に研究してリアレンジしましょうって話し始めたわけですよ。結局90年代まで行ったよね(笑)。80年代の後半、90年代もかぶってぐるぐると当時の日本っぽさを行き来したわけですね。で、先生が最初にこれでいきたいって思ったアレンジがあります。これはもろ80年代。お父さんやお母さんが聴いたら懐かしいなって思うようなアレンジになっています。これは何月何日?」
江島「一番最初にできたのは6月16日。」
♪ demo 2「多分、物足りない。」(2016年6月16日ver.)
山口「なんか……分かる?ちょっとこう……メロウな感じ。でもこれは今の感じなんだよね、逆に。今のUK(イギリス)とか。これを僕はシングルで行きたいと思ったんですよ。そしたら……ちょっと地味だよねって言われたんだよね(笑)。アルバムの中の1曲ならいいけど、シングルとしては弱いって。僕的には、いきなりこう来たかっていうすかし方は良いかなって思っていたんだけど、思い直したわけです。この80年代の感じは、現代の人には通じにくいかなって。ライブで盛り上がれないよなって思ったんですよね。じゃあ、ちょっと考えようと。ライブで盛り上がれる80年代の感じをフックアップしようぜって。何があるのかって言ったら、80年代後半から90年代で盛り上がったレイヴカルチャーですね。アシッドテクノって言って分からないかな?例えば……
■「Acperience 1」/ Hardfloor
……こういう感じね。このレイヴカルチャーをポップスに混ぜられないかなっていう……迷走が始まったわけです(笑)。それをちょっと聴いてみましょうか。これは何月何日?」
江島「6月26日ですね。」
♪ demo 3「多分、それ90年代。」(2016年6月26日ver.)
山口「分かる?この……チャチャン、チャン、チャン、チャン……って。これはサカナクションらしいし、ライブで盛り上がるかなって。ちょっとこう……ダサかっこいいシンセっていうか。今まではチャチャチャン、チャチャン、チャンチャンチャ、チャチャチャン……だったのが、シンセが全部食っている。つっこんでいる。ベースもシンセも同じグルーヴ。タタン、タン、タン、タン……ってスピード感が出るのね。でも、これをずーっとやっていたら、あれ?ってなってきて……このアレンジだったら、このメロディじゃなくても良くね?ってなったんですね。当時の日本の歌謡曲のメロディをこのオケに当てる必要はないなってなったんです。このメロディは、半音か1音高い方が歌いやすかったんですよ。だから、これは別の曲のメロディにするとしてキープしておこうって。キープ作戦に出たんですね。じゃあ、違うメロディをつけようって……なったんですけども……今週はここまでということにさせていただきたいんですけどもね(笑)。」
江島「ははは(笑)。」
山口「違うメロディが生まれたそのバージョンは……また来週(笑)。……江島くん、全然しゃべっていないじゃないですか、あなた。」
江島「いや……今、音を出しているので(笑)。」
山口「あなた……顔パンパンじゃない?」
江島「いつも通りだって(笑)。あの……生徒には届いてないから、顔の大きさは!」
そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。
山口「あ、そう?(笑) ……まあね、今日はここまで。来週違うメロディから、どうにかなっちゃえーって全く変わったバージョンから完成版までね。辿っていきたいと思います。今日聴いていただいた最後のテイク(バージョン)……あの辺が結構長かったんだよね。そこを行ったり来たり、シンセの細かい調整をしたり、キーを上げたり下げたり……。そしてメロディを変えるっていうっていうところに踏み切ったっていうね。来週は、皆さんが聴いたことがない……ボツになった「多分、風。」の……当時はまだ「渚のアップビート」だね。「渚のアップビート」のメロディを聴いていただきたいと思います。ということで、今回の授業はここまで。音で学ぶ、音に学ぶ、音を学ぶ"音学"の授業、サカナクションの山口一郎と、」
江島「サカナクションの江島啓一でした。」