コード (w/副担任:岡崎英美)

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山口「はい、授業をはじめますから、席に着いてください。……今日はね、また新しい副担任が来てくれました。自己紹介をお願いします。」

 
岡崎「はい、生徒の皆さん初めまして。音学の講師 "副担任" サカナクションのキーボードをしています、岡崎英美です。」

 
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"音で学ぶ、音を学ぶ、音に学ぶ" 音学の授業、サカナLOCKS! 今回の授業は、サカナクションから副担任として、岡崎先生が来てくれました!山口先生と岡崎先生がこういった場で話すのは、初めてのことなのだとか。

 
山口「すごいですね、なんか変な感じがする(笑)。江島先生、草刈先生に続いて、サカナクションから3人目の副担任として、本日はよろしくお願い致します。」

 
岡崎「よろしくお願いします。」

 
山口「今日は、副担任の岡崎先生と一緒に、こちらの授業をお届けします。」

 

 
今回は『分かったフリのアーティスト用語』でも質問が届いていた「コード」についての授業を、岡崎先生を迎えてお届けしたいと思います。そもそも、皆さんは「コード」って、何のことだか分かりますか?

 
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山口「岡崎先生、コードっていうのは、一体どういうものなんですか。」

 
岡崎「和音ですね。メロディーはひとつの旋律しか出ないけど、それを重ねて作られるハーモニーが、コードです。」

 
山口「よく、ABCDのアルファベットで言われるじゃないですか。Aって言うコードは、和音としてどういうものですか?」

 
岡崎「まず、メジャーとマイナーっていうのがあります。Aマイナーと、Aメジャー。簡単に言うと、マイナーは、ポロンと弾くと、悲しい感じや切ない感じがして、メジャーは明るい感じ……」

 
山口「なるほど。音階で言うと?」

 
岡崎「音階で言うと、"ラ・ド・ミ"っていう和音です。」

 
山口「Bは?」

 
岡崎「Bは、またメジャーとマイナーがあるんですけど、"シ・レ・ファ"っていう音です。」

 
山口「コードによって、音階があるわけですね?」

 
岡崎「そうです。基本的なものが決まっています。」

 
山口「でも、例えば、"Aマイナーセブンス"とか、"Aセブンス"って呼ばれるものがあるじゃないですか。この、"セブンス" って何なんですか?」

 
岡崎「……オシャレコードです(笑)。」

 
山口「確かに(笑)。セブンスを入れるとオシャレな音になりますけど、これがつくと何が変わるんですか?」

 
岡崎「セブンスがつくと、7度離れた音がトップ(一番高い音)にくる、という事になります。例えば、Aっていうコードであれば、"ソ"の音が足されて、"ラ・ド・ミ・ソ"になりますね。」

 
山口「はいはい。じゃあ、実際にAっていうコードを使って、コードの説明をやってみましょうか。」

 
今回の授業は、岡崎先生が、音学室にキーボードを持ち込んでくれました。Clavia(クラビア)製の、Nord Lead(ノード・リード)を使って、岡崎先生が実際に音を出しながら、コードを説明していきます。

 
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山口「まず、Aっていう音を出してもらっていいですか?」

 
<♪ジャーン "ラ・ド・ミ">

 
岡崎「これ、Aメジャーです。」

 
山口「じゃあ、このAメジャーにセブンスをプラスすると?」

 
<♪ジャーン "ラ・ド・ミ・ソ">

 
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岡崎「はい。」

 
山口「おぉ〜、オシャレですね〜。じゃあ、"Aナインス"で、9度離れた音が入ると?」

 
<♪ジャーン "ラ・ド・ミ・レ">

 
岡崎「こういう音になります。」

 
山口「僕が好きなコードですね〜(笑) よく使うコードですね。」

 
岡崎「そうですね。よく使いますね。」

 
山口「じゃあ、サカナクションの曲でやっていきたいと思うんですけど、「ネイティブダンサー」を弾いてもらっても良いですか?」

 
<♪「ネイティブダンサー」のイントロ部分を弾く>

 
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山口「これは、今、いくつのコードで出来ているんですか?」

 
岡崎「今、4つのコードで構成されています。(ゆっくりとコードを弾きながら)……ひとつ目、ふたつ目、みっつ目、よっつ目……という感じ。」

 
山口「これを流れで弾くと、あのイントロになる、と。ネイティブダンサーの一番頭の部分は4つのコードで表されているんですね。」

 
ふだん音楽を聴いているときはコードというものを意識することはあまりありませんが、このように、例えば曲のイントロ部分だけで、既に4つのコードが使われているんですね。

 
では続いて『ひとつのメロディに対して、コードのパターンを変えてみると、曲の印象はどう変わるのか。』これを実際に生徒の皆さんの耳で聴き比べてもらいたいと思います。この聴き比べを手伝ってくれるのが……

 
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山口「……実は、アシスタントに江島先生を呼んでいます(笑)」

 
江島「はい、アシスタントの江島です!」

 
山口岡崎「あははは(笑)」(突然の登場に笑う二人。)
 
山口「今日は3人揃ってやっていきたいと思っているのですが、今日はどの曲を題材にして教えてくれるんですか?」

 
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岡崎「えっと……「夜の踊り子」でやってみようと思います。」

 
山口「お!僕らの中で一番売れたあの曲ですね!(笑)……それでは、いろいろなバージョンを聴き比べていきたいのですが、まずは「夜の踊り子」の、何バージョンになりますか?」

 
岡崎「ひとつ目は……"TKさん風Version" にしてみました。」

 
山口「TKさんっぽくしてみたってことですか?(笑)」

 
岡崎「そうです……!」

 
山口「怖いもの知らずですね〜(笑) ……生徒のみんなは、"TKさん"でわかるのかな?」

 
岡崎「TKさん、小室哲哉さんですね。」

 
山口「あの感じね。」

 
岡崎「はい、あの感じで。」

 
♪ 夜の踊り子 (TKさん風Version)/サカナクション

 
山口「おお〜。なるほど(笑) TRFっぽくもあり。」

 
岡崎「コードを切り替えるタイミングなんかも変えています。」

 
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山口「それでは、次のバージョンは何ですか?」

 
岡崎「次は、"久石譲さん風Version" です(笑)」

 
山口「怖いもの知らずですね〜(笑)」

 
岡崎「好きなんです……。」

 
山口「なるほど、聞いてみましょう。」

 
♪ 夜の踊り子(久石譲さん風Version)/サカナクション
 
山口「……なんとなく分かる。」

 
岡崎「なんとなく、分かる?」

 
山口「いや、すごい分かりますよ。坂本龍一さんの匂いもありますね。共通するものがありますよね?西洋と東洋の絶妙なコードのバランス感覚。」

 
岡崎「そうですね。」

 
山口「スケール(=音階)っていうのがあるんですよね。」

 
岡崎「そうです。こういうオリエンタルなスケールは、いくつかパターンがあるけど、すごくインドっぽいやつや、日本の沖縄な感じもこれに関わってきますね。」

 
山口「それぞれの国によって、そのスケールがあるんですね。例えば、沖縄の音階は、どんなでしたっけ?」

 
岡崎「沖縄音階は………(キーボードを弾きながら)……ド、ミ、ファ、ソ、シ、ド、ですね」

 
山口「おおー。で、久石譲さんは、西洋っぽさと日本っぽさが混ざっている。」

 
岡崎「そうです。」

 
山口「全然印象が変わりますね。」

 
岡崎「変わりますよね。」

 
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山口「……結構、僕の会話に食い気味で相槌打ってきますね(笑)」

 
岡崎「えっ……(笑)」

 
山口「話、聞いているのか不安になってくるんですけど、大丈夫ですか?」

 
岡崎「聞いてます。大丈夫です。」

 
山口「じゃあ、次!次はどんなバージョンですか?」

 
岡崎「次は、"80年代 " な感じにしてみました。」

 
山口「"80's(エイティーズ)"ってやつですね。」

 
岡崎「そうです。それをちょっと聞いて欲しいです。」

 
♪ 夜の踊り子(80年代風Version)/サカナクション
 
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山口「これはポップですね〜!なるほど、ありがとうございます。この感じ、結構好きですね、僕。」

 
岡崎「好きですか?」

 
山口「はい。僕らのお父さんやお母さんが音楽を、現代的にアレンジし直すっていう流行があったんですね。」

 
岡崎「ありました。」

 
山口「エイティーズ・リバイバルって言われていましたね。最近ちょっと落ち着いてきていますけど。これはディスコ感がありますよね。」

 
岡崎「あります、あります。」

 
山口「いや〜、面白いですね。全然違いますね。」

 
山口「じゃあ、思いっきりコードを減らす事で曲の印象がどう変わるのか聞いてみたいんですけど……」

 
岡崎「はい。一番音数が少ない感じで聞いてもらいたいと思います。」

 
山口「コード転換をしない、ってことですね。その気持ち良さを聞いてみましょう。」

 
♪ 夜の踊り子(Funk Version)/サカナクション
 
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山口「コードが少ない事で、ブリッジ (間奏に聴こえる) 感がありますね。先々週の授業で、江島先生と一緒にやった"リズムを聴く"っていうことに繋がりますね。」

 
岡崎「そうです。」

 
山口「コードが多いと歌を追いかける一因になるけど、コードが少ないと聴くものがリズムになるんですね。ありがとうございます。」

 
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山口「コードによって、こんなに曲の聞こえ方が変わるっていうのは面白いですね。」

 
岡崎「和音が、音階としては12音階しかないんですけど、その組み合わせと、歌の組み合わせで、今までたくさんのバージョンがあって、こんなに変わるから、まだまだ追求する旅は終わらない感じですよね。まだ新しいのが出てきそうです。」

 
山口「岡崎先生もサカナクションのキーボードやシンセサイザーの担当ですけど、サカナクションの楽曲作りで、どういう風にコードをつけていくんですか?」

 
岡崎「メロディーが一番良く聞こえるところを探っていく。一郎君が元々、弾いたそのままになることもあるし……」

 
山口「あるね。さっきの「ネイティブダンサー」を作ったとき、覚えてます?」

 
岡崎「覚えています!」

 
山口「僕の部屋で、みんなでやったときですよね。あのとき、僕は "久石譲さんみたいな雰囲気にしたい" って言ってましたよね。」

 
岡崎「言ってました、言ってました。」

 
山口「それで生まれたのが「ネイティブダンサー」のイントロ部分ですね。」

 
岡崎「ですね。」

 
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山口「今、授業を聴いているリスナーの中にも、キーボードを目指している生徒がいると思うのですが、キーボーディストとして何か心がけていることはありますか?」

 
岡崎「まず、ギターと鍵盤が一番コード感を出せると楽器だと思うから、その引き出しがいっぱいあると、歌にベストなコードを見つけやすいと思います。」

 
山口「ジャンルの特定もできますしね。シンセサイザーで鳴らすコードや、ギターで鳴らすコード、楽器によっても変わりますよね。」

 
岡崎「はい、全然聞こえ方が違うと思うので、いろいろコピーしてみたりして、増やしていけると良いと思います。」

 
山口「ありがとうございました。」

 
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ということで「コード」についての授業は、そろそろ終了です。キーボードを持ち込んで解説してくれた岡崎先生の講義は、とても解りやすかったですね。ちなみにサカナクション先生の中で、まだ授業に出てきていない副担任は、ギターの岩寺先生だけになりました。岩寺先生には、どんな授業のタイミングで来てもらいましょうか。

 
山口「岩寺先生には何の授業で来てもらおうかな……。でも、岩寺先生は、ゲームが趣味ですからね(笑)。「2012年、最も面白かったゲーム」みたいなのがあればね。」

 
江島「関係ないじゃん、それ音楽に!」

 
山口「あれ、江島先生が会話に入ってきた(笑)。」

 
江島「あ、すいません!なんか!(笑)」

 
山口「あれ、普通に入ってきましたけど、今(笑)。びっくりしましたけど。……まあ、岩寺先生もいつか、音学の講師として来ていただきたいと思っております。」

 
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