「宿題『2021年にブレイクしそうなミュージシャンを答えよ。』(前編)」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2021年1月15日(金)PM 10:00 まで




山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている人はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人は サカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。緊急事態宣言というこういう状況なので、今回はリモートでお届けしております。自宅です。加湿器がシューッていっている音が聞こえているか分かりませんが(聞こえてましたね)、家からお届けしていきます。」

今回の授業は、年末の授業で募集した『2021年にブレイクしそうなミュージシャン』に届いたものを紹介していきます。素晴らしい回答を送ってくれた生徒1名には、一郎先生の私物メガネをプレゼントします。

「生徒諸君には、ブレイクしそうなミュージシャンを教えてくださいと言いましたけど、先生は一応ミュージシャンですから。出る杭は打つっていうスタンスのミュージシャンなので、若手の有望株は金槌構えて待っています(笑)。なので、アンテナは張っています。その先生が知らないだろうなって思う2021年ブレイクしそうなミュージシャンを教えてくれという前提で始まっています。生徒諸君がその前提で送ってくれたミュージシャンの曲を聴いて、考えていきたいと思います。」


僕が2021年に流行りそうだと思っているミュージシャンは、「ラッキーオールドサン」と言う2人組です。心地よいメロディ、飾らない優しい声、寄り添うような歌詞。聴き終わりにはいつも、ジブリを見た後のようなノスタルジックな気持ちになります。
また、来年春には主題歌を務める映画も公開されるので、2021年は、より多くの人がラッキーオールドサンの曲を聴き始める一年になるだろうと思っています。

nemusugiusagi
男性/15歳/愛知県




「ギターサウンド……シンプルなコード進行の中で女性の声の温度差が違って聴こえるのが魅力ですよね。僕ら世代で言うと、パワーポップっていう言い方になるのかな……新しいパワーポップですよね。あと、結構ボーカルがドライで……ドライっていうのは、反響がない歌の距離感で、ギターサウンドがその後ろにあるっていうのは珍しいかもね。それを狙ってやっているとしたら結構面白いですね。教えてくれてありがとう。」


僕が思う2021年ブレイクしそうなアーティストは「Cody・Lee(李)」です!

「我愛你」は中国系の雰囲気のある楽曲で実際中国の人にもかなりうけが良いようで、日本国内にとどまらずワールドワイドな活躍が期待されます!

一郎先生是非聴いてみてください!

燃え尽きた文房具
男性/18歳/秋田県




「あー……結構面白いね。オリエンタルな雰囲気と懐かしいシティポップと……あとなんかね、ビジュアル系も感じるね。そのバランス感覚が結構新しいのかな?いろんな要素がいい塩梅で混ざっているから、結構いいバンドですね。あと、ボーカルの男の子の声がすごいポップスだよね。歌謡曲っていうか。その要素が楽曲全体の世界観とマッチしているようで、いい意味でミスマッチしているから、抜群のメロディができれば結構面白いかもね。距離が近く感じるのは、歌詞の世界観なのかな?……ブレイクするかっていうと、もうちょっとかかりそうな感じはするけど、面白いバンドだなと思いました。ありがとうございます。」


2021年ブレイクしそうなミュージシャン

私が紹介したいのは「plums」というバンドです!
北海道 小樽発の男女混成ロックバンドで、社会人として働きながら活動をしています。
まっすぐで特徴的な声のボーカルとその声を引き立てるコーラス、激しくも曲を邪魔しないギターがマッチしているところがこのバンドの良さだと思います!きのこ帝国の佐藤千亜紀さんがSNSで取り上げたことでも話題となりました。
ぜひサカナLOCKSで流していただきたいです!

AYUME
女性/17歳/北海道




「小樽出身のバンド!へー。小樽出身といえば、私、山口一郎と、極楽とんぼの加藤浩次さんですね(笑)。 (資料を見ながら……)北海道出身の男女3人組バンド。社会人として働きながら活動中ということですね。(楽曲を聴きながら) わー、北海道っぽいね。北海道の系譜があるんですよ。エモロックっていうか。……考え方はいいですね。バンドが持っていこうとしている世界観というか。北海道の独特の暗さっていうか、冷たさだったり切なさっていうのが系譜としてまだあるんだっていうのが嬉しいなって思いましたね。僕的にも懐かしい感じがするっていうか……アマチュア時代に自分が対バンしていたバンドの匂いがするっていうか。北海道の感じがありますね。でも、もうちょっとかな。ブレイクするかしないかっていう判断で言うと、アレンジとか楽曲の構成とかも、もう少し経験が必要かなって思うけど……この1曲しか聴いていないけど、持っているものだったり、表現したい世界観は非常に共感できますね。昔の自分たちを見るような感じ。素晴らしいと思います。紹介してくれて、ありがとうございます。」


東郷清丸(とうごうきよまる)です。
お勤めの活版印刷屋さんに自主レーベルを立ち上げ音楽活動をされている異色の音楽家で、昨年2020年にはASIAN KUNG-FU GENERATIONの主催の配信ライブにも出演するなど活躍の場を広げておられるメガネのお方です。

近年は米津玄師や星野源、あいみょんを筆頭に、藤井風や秋山黄色、Vaundy、長谷川白紙などソロアーティストが活躍していますが、手軽に音楽制作ができるようになってきた現代、わかりやすい曲があれば売れる、というのがよくみえているように思います。
わたしはコロナの影響で、この傾向はますます強まると思います。
大人数での音楽制作が難しい今、宅録という形は合理的で、なおかつソロやバンドなど様々な形態で演奏できるとなればライブもやりやすく活動しやすいはずです。

などとうだうだ言いましたが、曲がとにかくいいです。演奏もとにかくかっこいいです。ジンジャーシロップ付きの音源を出すなどカルチャーに根ざした活動をされていて面白いです。ぜひお聴きください!!!!
(おすすめの曲はL&Vです)

にゃんこ2缶
女性/18歳/静岡県




「いいね。フィッシュマンズの匂いがするね。あー……なんか分かってきたな。最近の傾向で、シティポップとか古い音楽……1970年後半から1980年代のサウンドメイキングが現代で台頭してきた理由としては、DTMの影響があるんでしょうね。バンド全体でそういうサウンドを構築するとなると、自分の周りでそういうサウンドが好きな人たちが集まらなきゃいけないっていうのがあるけど、宅レコで自分でレコーディングして自分でアレンジして、自分の感覚を全てそこに込められるので、自分の傾向を色濃く出せる。そういう意味で古き良き音楽を現代の人たちが良いと思って、自分にフィードバックして制作していくという中で生まれやすいジャンルだったのかもしれないですね。……良い時代かも、すごく。東郷清丸さんって、僕聴いたことあると思う。この曲じゃないけど。音楽好きな人たちの中で広まっていく要素がありますね。良いと思います。教えてくれてありがとうございます。」

「生徒の見解は鋭いですよね。コロナの影響でバンド活動がしにくい中で、ソロだといろんなミュージシャンの中でライブができるんじゃないか、集まりやすいんじゃないかっていうのは非常に良い見解ですね。その通りだと思います。」


私が思う、2021年にブレイクしそうなミュージシャンは、『ORESAMA』というユニットです。
ボーカルのぽんさんと、サウンドクリエイターの小島英也さんからなり、渋谷を中心に活動を続け、2014年にメジャーデビューを果たしています。
80年代Discoをエレクトロやファンクでリメイクした楽曲を発信しています。レコードの再ブーム真っ只中の今、彼らの懐かしさを感じる人、そして新しさを感じる人は多くなるのではないでしょうか?
特に私が魅力を感じるのは、ぽんさんの歌唱力と繊細な心を描いた歌詞と曲調です。ORESAMAは80年代Discoを基盤とし、明るいアップテンポな曲からムードな雰囲気の曲まで、数多くの楽曲を制作しています。ボーカルのぽんさんは、ある時は乙女心を表現した可愛らしい歌声を、ある時は自らにある劣等感を表現した力強い歌声を披露してくれます。作曲を担当している小島さんは、ORESAMA以外にも、DAOKOさんへの楽曲提供など、幅広い活動から抜群のセンスと能力を持っていることは言うまでもありません。
最近では既にある楽曲のDressup coverも行なっており、今後の活動がとても期待されるミュージシャンです。私がおすすめするのは、武田真治さんがサックスで参加された「cute cute」と新曲の「Gimmme!」です。一郎先生、ぜひ一度聴いてみてください!

カツ丼クリームチーズ
女性/15歳/神奈川県




「あー……懐かしい感じはあるねー!ふふふ。なんかね、この曲だけの話ですけど、80年代のアニソンの匂いがするね。80年代のアニソンの雰囲気があるのかな(※一郎先生は、「恋の呪文はスキトキメキトキス」などを例に挙げていました)。サウンドメイキング的な部分でいうと非常に優れていますね。今世の中でヒットする上で非常に重要なのって、どのメディアでどう扱われるのかっていうところがあると思うんですよね。それはどの時代でもそうだと思うんですけど。例えばドラマの主題歌になるとか、アニメソングになるとか、映画の主題歌になるとか……世の中で爆発的にヒットするものに対して付随してきた音楽っていうのが、大ブレイクには絶対条件になると思っていて。音楽が大好きな人たちが音楽を掘って見つけられていくことでブレイクする音楽と、大衆的に受け入れられていく音楽の差っていうのは、現代ではいい意味で、より乖離している気がしていて。ブレイクしそうなミュージシャンっていう観点でいうと、ORESAMAはメディアでフックアップされやすい。(資料を見て……)アニメの主題歌はもうやっているんですね。やってそう。ブレイクしそうだなっていう予感は、今まで聴いてきた中ではありますね。ブレイクの度合いにもよるけど。」

SCHOOL OF LOCK!


今回の授業も終了の時間になりました。

「国民的にしっかり知られていく楽曲と、音楽が好きな人たちが好きな音楽……双方でブレイクの仕方があると思うんですけど。音楽を好きな人たちが見つけてそれが大衆的になっていくっていうストーリーと、タイアップ……ドラマであったりメディアと付随していくっていう2つの構造がある中で、僕らがやっていた時代は、アマチュアバンドから始めてインディーズでやって、そこで広がっていってそれがCMで使われるようになっていったりするっていうバンドの構図だったんだけど、今のユニットやソロっていうのはもう少し多様化している気がしていて……邦楽の洋楽化って言ったらいいのかな?僕らが洋楽を聴いていたような感覚で邦楽を聴くっていう感じ?……分かるかな?僕らは、良い音楽を探そうっていう時に、洋楽の中で探していっていて。洋楽を聴いて作っている日本のミュージシャンに惹かれていくっていう感覚だったんだけど、現代は僕らが洋楽で良い音楽、みんなに知られていない音楽を探していったことを、日本のミュージシャンの中で完結していっているというか。決して大衆的ではないけど良い音楽があって、それを聴こうとする層があるっていう。それと、みんなが知っていてみんなが聴いている音楽っていう部分で音楽を探している人たち……その2層があるのかなって。このORESAMAは、音楽が好きな人たちが掘ってたどり着く音楽っていう層の中にも片足があるし、大きくブレイクしてメディアとして取り扱われそうなサウンドメイキングの能力だったりスタンスみたいなものも両方あると。そこは非常にチャンスが大きいのかなって感じはしますね。さっきの東郷清丸さんもクオリティとしてはすごく高いから、これがドラマでぽっと使われたり、どこかで上手く扱われたりするようになると結構広がっていきやすいっていうかね……そういう意味では、このORESAMAと東郷清丸さんは二極にある感じはしますね。どちらも違う意味でブレイクしそうな感じはある。……でも、もう売れているんじゃないかなって感じもしますけどね。どうなのかな?」

「生徒諸君の見解は素晴らしいですね。どんな形でブレイクしそうかとか、時代を読みながらコロナ禍っていうものも反映させながら予想したっていうのはすごいなと思います。あと、こういうのを聴いているんだーとか、こういう音楽を聴いているんだっていうのを知れたのも、先生としても楽しかったです。まだまだ宿題が届いているので、来週も紹介していきたいと思います。一体、一郎先生のメガネは誰の手に?」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2021年1月15日(金)PM 22:00 まで


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