音楽にまつわる職業『プロモーター』(前編)

SCHOOL OF LOCK!


SCHOOL OF LOCK!


山口プロモーターというお仕事を生徒の皆さんはご存知でしょうか。ラジオで様々な曲が毎日かかりますよね。例えば、サカナクションの「多分、風。」。これは、ラジオのスタッフがCDを購入してかけているわけではないんです。実は、レコード会社のスタッフがラジオ局などに出入りして、「サカナクションの新曲です。オンエアよろしくお願いします!」と、CDをディレクターに渡しているんですね。こうやって、非常にアナログな形でディレクターがCD聴いて、それを気に入ったディレクターが曲をオンエアしているんです。これは各レコード会社ごとにプロモーターがいます。だからavexのスタッフが「俺、めちゃくちゃサカナクション好きなんです!サカナクションの新譜あがりました!よろしくっす!」とかは言わないわけですね。いくらサカナクションが好きでも、自社のミュージシャンの曲を持っていくわけです。「今、弊社ではこのミュージシャンを推しております。是非聴いてください!」と持っていくんですね。」

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「そんなミュージシャンとラジオ局のハブとなるレコード会社のプロモーターが、どんな風にプロモーションを行っているのか。生徒の皆さんに聴いてもらうため……そして、僕自身が体験するために、今回はこのサカナLOCKS!に様々なレコード会社のスタッフがプロモーションにやって参ります。レコード会社の垣根を越えて、ビクターじゃない人もたくさん来ます。その中で、気に入ったアーティストの曲を“ラジオディレクターのように” 本当にオンエアしていきたいと思いますよ。……『SCHOOL OF LOCK!』は全国放送です。しかも10代から絶大なる人気を誇る、ものすごくプロモーション能力が高い番組でございます。ここで、バチッと曲が流れたら、プロモーターとしてはあるひとつの成果になるのではないかと思うので、是非、本気でプロモーションしてもらえたらと思います。生徒のみんなも、そのプロモーションの技を体感しながら、どんな曲なのかを想像しながら、僕がオンエアするかしないのかを確認しながら聴いてもらえたらと思います。なので今夜は、山口ラジオディレクターです(笑)。さあ、まずはどちらのレコード会社の方がいらっしゃるんでしょうか……。」

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樗木「こんにちはー。山口さん、今お時間よろしいですか?」

山口「あ、今ちょうどご飯を食べ終わったところなので大丈夫ですよ。」

樗木「あ、本当ですか?ありがとうございます。私Universal Internationalの樗木と申します。洋楽を担当しています。よろしくお願いします。」

山口「ユニバーサル……初めまして。よろしくお願いします。」

樗木「今日ご紹介したいアーティストは、Twitterフォロワー数世界No.1のアーティスト……Katy Perry(ケイティ・ペリー)です。」

山口「あ!先週Katy Perryについて触れましたよ。Twitterのフォロワー数について。」

樗木「はい!お伺いしました。世界No.1ということで、テイラー・スウィフトやジャスティン・ビーバーも超えるNo.1ですから。正真正銘の世界トップアーティストでございます。」

山口「はー……正真正銘のね。」

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樗木「そこで、今日ご紹介したいのは、6月9日に4枚目の『Witness』というアルバムをリリースするんですけれども……この“ Witness”という意味は、目撃するとか、出来事を証明するというような意味なんですけど、このアルバムのテーマが革命や進化と言われておりまして……ファンとの交流や仲間との交流、共感を得るという意味も込めて作られたと聞いております。」

山口「なるほど……Katy Perryのターゲットとしている年齢層はどの辺なんですか?

樗木「ちょっと、若干高めというか……20代後半の女性なので、SCHOOL OF LOCK!の生徒さんだと、ちょっとお姉さまの方たちが好きだと思われます。」

山口「じゃあ、まだあまり生徒たちが触れたことがない……」

樗木「そうですね。パワフルなアーティストなので、ぜひ今日は刺激を受けていただきたいなと……」

山口「確かにな……生徒たちが普段聴いている曲とは違うジャンルの世界トップアーティストの曲だもんな……聴いて勉強になると思うな……」

樗木「はい。今回、「Bon Appetit」という、フランス語で“どうぞ召し上がれ”という意味なんですけど、この歌は、私をどうぞ召し上がれという……Katyならではの遊び心満載の曲になっておりまして……」

山口「いや……学生に下ネタはなー……」

樗木「わー(笑)。ちょっと刺激的かもしれないんですけど……、ぜひ一度聴いていただきたいんです!というのも、歌詞に食べ物関連のワードが入っているんですけど、その中に“コウベから空輸しているの”っていう、日本を連想させる歌詞も入っておりまして……コウベってあの神戸……」

山口「神戸牛の神戸?」

樗木「なのかな?って……ちょっと1度聴いてみてください(笑)。」

山口「ほー(笑)。その部分がね。はー……先週から……タイムリーだしね……」

樗木「そうなんです!この流れで、ここはぐっと……」

山口「……分かりました!かけさせていただきます!」

樗木「本当ですか!ありがとうございます!」

山口「じゃあ、聴いてみましょう。」

■ Katy Perry - Bon Appetit (Official) ft. Migos




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山口「なるほどー……。」

樗木「いかがでしたか?」

山口「やっぱりね、Twitterフォロワー数世界1位の歌姫だけあって、レコーディングにもお金がかかっているね。音のパンチがすごいよね。だから、普段SCHOOL OF LOCK!やサカナLOCKS!でかかる曲とは質がちょっと違うので、ちょっと生徒たちがびっくりするかもしれない。

樗木「本当ですか。」

山口「素晴らしいプロモーションありがとうございました。」

樗木「こちらこそ、ありがとうございました。」

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ひとり目のプロモーションを受けてみて、一郎先生の感想は……

山口「やっぱりね、基準として生徒たちにとってどうなのかっていう基準になるね、プロモーションを受けるとき。……あとね、ひとつ分かったのは、番組ってディレクターが作ってるんだね(笑)。こういう雰囲気の曲をかけていこうよとか、こういうコーナー、こういう番組にしていこうっていうのは曲で決めていくんですね。もちろん、構成作家さんが作っていくんですけど、音楽番組はやっぱり曲のセレクトですもんね。」

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松岡「……おつかれさまですー。」

山口「あ、おつかれさまです。」

松岡「今、お時間よろしいでしょうか?」

山口「はい、ごはんを食べ終わったところなので大丈夫ですよ。」

松岡Warner Music Japanの松岡と申します。」

山口「あ、ワーナー。お世話になります。」

松岡「プロモーションさせていただきたく参りました。みんな大好き……WANIMA5月17日……ちょっと前になってしまうんですが、シングルをリリースしまして。今までPIZZA OF DEATH RECORDSという所から、インディーシーンでずっと活躍していたWANIMAがこの度、ワーナーと強力タッグということで。」

山口「え!……強力タッグね。あー……ワーナーそういうことする(笑)。」

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松岡「で……5月17日にリリースした『Gotta Go!』という……シングルではあるんですが、中に入っている曲が「CHARM」「ララバイ」「これだけは」という3曲入りになっていて。この「CHARM」っていう曲が、“お守り”っていう意味になっていて、聴いている人たちの応援歌という意味もあるんですけど、聴いてくれた人たちが、誰かに贈るっていう意味も込めて、お守りのように持ってもらいたいと作られた曲なんです。」

山口「はー……なるほどね。うちの生徒たちもWANIMA大好きだと思う。ターゲットとして最高だと思うね。……だけどねー。」

松岡「ええ……(苦笑)。」

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山口「サカナLOCKS!でかけなくても、SCHOOL OF LOCK!本体でかかると思うし。」

松岡「そこはですね……山口さんにかけていただくというところが……」

山口「いやいや、もうWANIMAは売れてますからね……僕のそんな……」

松岡「いや、山口さんのお力添えもあった上で、やっぱりこの曲がかかると……もっとこう……山口さん自身の株も上がるような気がします……!」

山口僕の……株も……?WANIMAに便乗して……僕の株が上がる……?

松岡「はい(笑)」

山口「それはな……かけちゃおう!聴いちゃおう!」

■ WANIMA「CHARM」(OFFICIAL MUSIC VIDEO)




山口「ほー……WANIMA。」

松岡「あ、ここは大事でして…… “カナダ”と同じ発音です。」

山口「WANIMA……はい、すみません。」

松岡DVDも、6月28日に出るので……」

山口「分かりました。DVDも楽しみにしています。ありがとうございました!」

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ふたり目のプロモーションを終えて……

山口「……こういう風に戦っていくわけだ。やっぱりプロモーターの方も必死だもんね。だって、WANIMAってさ、みんな知っているから、プロモーションしなくてもかけてもらえるじゃないですか、もう。だけど、こういう場で戦うとなると、情報をバーっと投げてきて、最終的には山口さんの株を上げるって言ったからね(笑)。WANIMAファンを取り込めよってことでしょ?(笑) 必死なんだよね、お仕事だから。」

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植村山口たん、ちょっとお時間よろしいでしょうか?」

山口「今、山口たんって言った?(笑)」

植村「あ……すみません……(笑)。」

山口「大丈夫ですよ。今ごはん食べたところだから。」

植村「ありがとうございます。ビクターエンターテイメント、新入社員の植村と申します。」

山口「あ、ビクター?あの噂のビクターね!」

植村6月28日に新しくビクターからデビューするバンド、集団行動なんですけど……」

山口「バンド?」

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植村「はい。元相対性理論真部脩一さんが作られたバンドでして……」

山口「はい、はい、はい。」

植村「この、女の子の齋藤里菜ちゃんがボーカルをやっています。でも、彼女は今まで音楽経験がなくて、元・相対性理論の真部脩一さんが作詞作曲を手掛けていらっしゃって。私も中学生のときに相対性理論が大好きでよく聴いていたんですけど、歌詞の感じは、語呂がいい感じとか、ちょっとSF的な不思議な歌詞は引き継がれていると言いますか……集団行動にも引き継がれておりまして、メロディーがもっとポップでキャッチーになったと言いますか……広く浸透しやすいような曲になっています。」

山口「ボーカルの方は元々歌を歌われるわけではなかったんですね。」

植村「はい。ボーカルの齋藤里菜ちゃんは運動部に所属していて、音楽には関係がなかった感じです。」

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山口「それがどうして歌うことになったんですかね?

植村「真部脩一さんが、元々ミスiDとの関係がありまして、そこで齋藤里菜ちゃんがファイナリストに残っていた所、真部脩一さんの目に留まったと言いますか……」

山口「ふーん……」

植村「………。」

山口「なるほどー……」

植村「どうでしょうか?」

山口「……僕は相対性理論がすごく好きで、すぐ聴きたい。持って帰ってすぐ聴きたいくらいなんだけど……」

植村「お願いします!」

山口「だけどね……ビクターってだけでちょっとね。あと、一個へこんでいるのがね……サカナクションと、このサンプル盤とか資料の作り方の質が違うの、これ。これはどういう部分で違うの?デビューのときは作るの?……僕らのときは作っていた? (マネージャーが首を傾げている様子を見て)……なんかなー……差がね。格差が……。」

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山口「でもしょうがないね。僕、すごく好きだから。あと、生徒たちにも聴かせたいからね。」


M ホーミング・ユー / 集団行動


山口「これ……頑張らなきゃね。どんなシチュエーションでどんな人に聴いてもらうかで結構評価が変わるし、広がり方が変わると思いますよ。」

植村「頑張ります……いいアドバイスが……!」

山口「上司か、俺は(笑)。」

植村「ありがとうございます!」

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そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

山口「やっぱり、普段プロモーションを受けたことがないから、新鮮だし、紙資料とかサンプル盤のデザインを見ると気合が入っているんだな、このメーカーは、このミュージシャンには……って分かるのね。紙資料が気合を入っていないとそれなりなんだって思うし、プロモーターがすらすらしゃべれないと、ディレクターとしてはあんまりかける気にならないですね。いろいろ勉強になりましたけど、来週もレコード会社のプロモーターさんに、山口ディレクターが曲のプロモーションを受けたいと思います。今回は全部かけちゃったけど(笑)。まだ僕もディレクター素人だからね。だけど来週はきっちり詰めていくよ。かけるかどうか危うい感じでいくよ!」

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放送後記

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