★プロモーターの授業
今回は厳しくいくぞ!っていいながら一郎ディレクター毎回すごくチョロイじゃないか!って思ってたけど、なんだかびっくりしたというかすごかったというかお互いの音楽への粘りをきかせてもらいなんだか展開に興奮しました(笑)
ディレクターが曲をかけるかどうかの最後の決め手はプロモーターの上司だったのか…!!
女性/15歳/千葉県
前回の授業はコチラ →[2018年2月15日の授業]
山口「ふふふ(笑)。先週は、なんかこう……その……結構ね……やばいなって自分で思ったけども(苦笑)。でも、こういうものだから。プロモーターって仕事は、こういう風に苦労しながらディレクターに曲をかけてもらうっていう、これを知ってもらいたかった。そのリアルは伝えられたと思う。だから、ちょっと厳しかったけど、授業だから本気で行くよ!」
ということで、今週も引き続き、プロモーターという音楽にまつわる職業を生徒に知ってもらうために、一郎先生あらため、山口一郎ラジオディレクターのもとに、各レコード会社のプロモーターがやってきて実際にプロモーションをします。その流れで、一郎先生が聴きたくなったら、そのまま楽曲をオンエアしていきます。先週の授業での、プロモーターさんとの真剣なやり取りにびっくりしている生徒が多いようでしたが、今週も本気で向き合っていくという一郎ディレクター。さて、今週はどうなるんでしょうか。
山口「あー……ディレクターって仕事は大変だなー……本当に大変だなー……」
田中「おつかれさまです。」
山口「あ、おつかれさまです。」
田中「ご無沙汰しています。Beatinkの田中と申します。」
山口「あ!ご無沙汰しています!お久しぶりですー。」
田中「私もプロモーションしたいんですけど、よろしいですか?」
山口「もちろんです。」
田中「あの……ちゃんと選ばないとかけてもらえないという噂を……」
山口「ははは(笑) 先週ね、実はいらしてくださっていたんですよね。だけどソニーの山崎さんとの話が長すぎちゃって(笑)。」
田中「一旦帰りましたよね、とりあえず(笑)。」
山口「すみません、本当に……(苦笑)。」
田中「で、今日持ってきたのが、Starcrawler(スタークローラー)っていう新人バンドなんですけど。ちょっと伝わりづらいんですけど、その封筒を見てもらいたくて。」
山口「血が飛び散ってますよ。」
田中「そうです。それ、私ひとりで500部封筒に血糊をつけるっていう作業をやりまして。」
山口「ははは!(笑) え、自分で?(笑)」
田中「はい。100円均一でハロウィンの時期に血糊を買って、ずっとスプレーでやってました。すごい大変でした。」
山口「自分で……すごい!これ、愛がありますよね。このアーティストのためにですよね?プロモーションのためにでしょ?」
田中「そうなんです。プロモーションのために、皆さんに渡す封筒をとりあえず500部……とりあえず、これだけ言います(笑)。」
山口「これは愛情ある。」
田中「なんで血糊かっていうと、16歳から22歳のバンドで、すごい若いんですけど、パフォーマンスの時に血糊をつけたり、たまに本当に自分の血だったりもするんですけど、個性的でパワフルなパフォーマンスをするバンドなんですけど。ボーカルの女の子は18歳で、すごい若い女の子。」
山口「これはどこのバンドですか?」
田中「アメリカです。ロスの女の子と、他はみんな男の子なんですけど。彼女たち新人で、これがファーストアルバムなんですけど、新人ながらフーファイターズとかエルトン・ジョンとか、大御所の人たちからこのバンドやばいよって言われていて。その反面、若い人たちにはすごくフレッシュに聴こえるみたいで。」
山口「あー、ひっくり返っちゃってるんだ。」
田中「そう、一周して逆に新しい……みたいな。」
山口「日本でも今その現象起きてますよね。Suchmosとか。」
田中「そうだと思います。いま聴くと新しく聴こえるっていう。日本でも、ファッション誌や音専誌……幅広いメディアで取り上げられたりしていて。」
山口「はー……じゃあ、ファッションと音楽をちゃんと結びつける役割をはたしているっていうことなんですね。」
田中「だと思います。」
山口「なるほど。へー……え、聴く(笑)。すっごい聴きたい。」
■ Starcrawler - Ants (Official Video)
山口「あー、確かにね。これ、ミックスすごいね。当時の……」
田中「そうですよね、ちょっと古くさいですよね。」
山口「これはいいね。他の曲も聴きたいね。」
田中「山口さん、パンクとか大丈夫かなってちょっと思っていたんですけど……」
山口「全然。僕、パンクバンドやってましたから。」
田中「そうですか。じゃあ大丈夫ですね。」
山口「でも、これパンクっていうジャンルだけど……なんかポップですね。」
田中「ポップっぽい感じもありますし、ビジュアルも、ボーカルの子がただ可愛い、美人っていうだけじゃなくて、ちょっと個性的で魅力のある感じ。曲自体もポップで聴きやすい部分もあるので。」
山口「原曲としてはルーツのものを持ってきているけど、ミックスとかは、今のシーンにどう落とし込んでいくかっていう部分でアレンジをしているのがすごく新しいしおもしろいし……若い。」
田中「すごい若いんですよ。」
山口「だから余計おもしろい。これはみんな聴くべきだな。生徒諸君、これは聴くべきだぞ、Starcrawler。おもしろいぞ。これ……僕知らなかったわ。最近(レコーディングで)潜ってばかりでね。」
田中「これ今、結構話題でいろんなところでざわざわしています。」
山口「そうなんだ。いやー出遅れたわ。ありがとう。」
田中「よかったです。」
山口「いやーいつもいつもありがとうございます。」
田中「とりあえず、封筒を頑張って作ったっていうことだけは伝えようと思って(笑)。」
山口「この時点でかけるもん。」
山口「いやー……いいね、Starcrawler。先生、知らなかった。最近、潜ってたからね。こういう風に今リバイバルしているんだなー。……まあ、これはかけるとして。もうちょっと新しいの……十代の子達に聴かせる音楽をもうちょっと掘り下げないとな。ディレクターとしてね……どうしようかなー……何かいい曲ないかなー……」
山根「お久しぶりです!」
山口「……お前、あれやな。あの、フィギュアの……」
山根「そうですよ!練習抜けて来たんですから!」
山口「練習ってどういうことよ。レーベルはどこですか?」
山根「あ、ユニバーサルミュージックの山根です。レーベルはVirgin Musicです。」
山口「前回もプロモーターとして来てくれたよな。フィギュアもやって、レーベルもやって……」
山根「スケートの日本代表の練習を抜けて……」
山口「え?スケートの日本代表なの、あなた。」
山根「だからJAPANジャージ着てるじゃないですか(笑)。」
山口「うわ!(笑) 平昌だ!平昌スウェット着てるじゃん!なんで?」
山根「だから、練習を抜けてきたんですよ、今日。」
山口「プロモーターでありながら日本代表なの?で、今回もチョロいと思って来たの?」
山根「いや、チョロいと思ってない!チョロいと思ってないです。」
山口「フィギュアとの二足のわらじでも僕を口説き落とせるっていう気持ちで来たのか?」
山根「そんなこと思ってない、そんなこと思ってないです……とりあえずこれ、バレンタインです。」
山口「(爆笑)」
山根「ほら、たくさんチョコレートもらってると思ったから、おかきにしました。おかきお好きですよね?」
山口「おかきっていうかこれ……えびせんべいじゃないか。」
山根「そう、美味しいじゃないですか、えびせんべい。私好きなんですよ。」
山口「(箱を開けて) 何これ……やるな、お前。"いつもありがとうございます"って……意外とおじさん喜んじゃうからなー。※」
山根「そうなんですよ!喜ぶんですよ、おじさん(笑)。」
(※おかきの包みに手書きで書いてありました)
山口「ははは(笑)。よし、よし。分かった。手口は分かったぞ。」
山根「違う、違う!手口とか言わないでください!違うんですよ。山口さんに本気で相談したいことがあってきたんですよ。」
山口「何だよ。」
山根「これ、お渡ししますね。」
山口「うん。」
山根「小沢健二さんの「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」をプロモーションしにきました。楽曲の説明としては、映画『リバーズ・エッジ』の主題歌になっていて、映画のために書き下ろした曲です。話題としては、二ヶ月前に歌詞だけを発表しましたっていう。」
山口「うん。ちなみに、僕この曲もう聴いているからね。」
山根「本当ですか、ありがとうございます。そうだろうなって思っていましたよ。若干思ってました。それは、それで……」
山口「……なんかお前むかつくわー(笑)。」
山根「なんでですかー!いや、山口さん、小沢健二さんお好きなのかなと思って。」
山口「そりゃ好きですよ!世代ですもん。」
山根「そうですよね、世代ですもんね。私は正直世代じゃないので。SCHOOL OF LOCK!を聴いている人たちも世代じゃない方の方が多いと思うんです。」
山口「そうだと思う。」
山根「だけど、いまだに世代でない私でさえ、聴いたら今の音楽と違うなっては思うけど、遅れてるなって感じもしないじゃないですか。かっこいいなって思うんです。」
山口「僕らからすると神様ですから。お会いしても僕は緊張して話せないと思う。」
山根「そんなに……じゃあレジェンド的な存在なんですね。」
山口「そうだね。多分……お前からすると、羽生くんじゃないの?」
山根「ちょっと、年が近すぎる……」
山口「近すぎる?えーっと……伊藤みどりさんじゃないの?」
山根「あー……!」
山口「レジェンドでしょ?」
山根「レジェンドですね。そうか、すごいですね……」
山口「すごいでしょ。僕、小沢健二さんと同じ業界だから。あなたからすれば伊藤みどりさんですよ。」
山根「あー……確かに。すごいですわ……」
山口「でね、ここで僕はかけないっていう選択肢はないわけ。分かる?」
山根「どういうことですか?」
山口「これはある種の禁じ手だぜ。このサカナLOCKS!で小沢健二さんの曲を持ってくるのは、禁じ手だからな。」
山根「そうなんですか?」
山口「ファミコンで言ったら裏技だよ。」
山根「ちょっと、ファミコン分からない……」
山口「マジか(笑)……まあ、かけようか。聴こう、聴こう。」
■「アルペジオ(きっと魔法のトンネルの先)」ティーザー映像
山口「うん、完璧ですね。素晴らしい。小沢健二さん最高。」
山根「山口さんも最高だと思いますよ!」
山口「……そういうフォローをすると余計に傷つくんだよ!おじさんぐらいの年齢になると。」
山根「うわー大変ですねー……」
山口「(笑) ……もう帰れ!(笑) もう来るな!平昌のスウェット着て来るな!(笑)」
山根「ありがとうございました!(笑) お邪魔しましたー!」
山口「すげーな、山根……なんかもう……めちゃめちゃエネルギー吸い取られた感じするわ(笑)。……やられちゃったわー。かけちゃったわ、また……これでチョロいって噂がまた流れるな。困ったなー……でも10代のみんなには聴いてもらいたい曲だったしな……」
山上「すいません……一郎さん、一郎さん?」
山口「はい?」
山上「私……ビクターの山上と申します。」
山口「きたー!ビクターの下から10番目に偉い人(笑)。」
山上「いやー……落ちるところまで落ちましたね。一郎さん、あのー……忘れていることがないですかね?」
山口「何?」
山上「あのー……3月末に、ベストアルバム『魚図鑑』がリリースっていうことで、私もやっと何かお願いできないかなと思ってやってきたんですけども。」
山口「いや、ちょっと待って(笑)。本当に申し訳ないんですけど、今日2組ともプロモーターさんに負けちゃって、だから今日、曲をかける時間がないんですよ。」
山上「あのね、サカナLOCKS!は毎週やっているんですよ、実は。」
山口「(笑)」
山上「来週ちょうど3月1日だし、キリがいいしっていうところで、ちょっとお願いできないかなと…… "初解禁" 的なものを何か、そろそろプロモーションしたいなと。」
山口「でも、初解禁できるものあります?ないですよね?ベスト盤ですもん、だって。」
山上「あのね……「陽炎」っていう曲が……1回こっきり、かけてみるとか……」
山口「それだったら、いいアイディアがある。『魚図鑑』には、新録がもう1曲あるわけじゃないですか。そっちの方をかけるっていう手はどうですか?」
山上「あー……なるほどね。私もね、それがあるのは知っていたんですけど……」
山口「じゃあ、こうしましょうよ。それは、3月1日の放送日にどっちをかけるか決めましょう!」
山上「……それで結構でございます!」
山口「それじゃあ、解禁しましょうか。」
山上「お願い致します!」
山口「……こういう風に、初解禁っていうのもプロモーターがお願いするんです。この曲をこの番組で初解禁させてくださいって。それもプロモーターの仕事なんですね。なので、サカナLOCKS!や、SCHOOL OF LOCK!で宇宙初解禁って言っているのは、プロモーターが一生懸命、根回しして、この局じゃなくてこちらでかけますよって、この番組じゃなくてこの番組でかけますよって……いろいろやって、やっと掴んでいることなので、すごく貴重なんです。山上さんのこのプロモーションは下手だよ?(笑) だけど、こういう風に頑張ってプロモーターの人がやっているっていうのが伝わったらいいかなと思っています。」
ということで、来週 3月1日は、バンド活動10周年を総括する、サカナクション初のベストアルバム「魚図鑑」(3月28日リリース) から、新たにレコーディングされた楽曲、もしくは新曲を初オンエアします!どの楽曲がオンエアされるのかは当日のお楽しみ!