映画『バクマン。』主題歌「新宝島」

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山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒は、マンガをしまいなさい……あ!マンガを読んでいる生徒は、マンガを今日はしまわなくてもいいぞ(笑)。Twitterを開いている生徒は、Twitterを閉じなさい。Instagramを見ている生徒はInstagramを一度閉じなさい。授業が始まりますよ。」



■ バクマン。×サカナクション
バクマン。とサカナクション先生なんて最高のコンビだ〜ーー! バクマン。大好きで全巻持ってて、ちょうど全巻読み返してるところでした!そこにこのニュースが飛び込んで来たときは震えました!!!!ちょい聴きした時もさらに震えました!!!!しかも「新宝島」!!そして「それでも君を連れていく」なんてバクマン。にピッタリすぎて泣きそうになりました。 監督も大好きな映画、「モテキ」の大根仁さんなので、曲にも映画にも期待してます…!
三色ようたろう
男/14/山梨県




「おぉー。ということでね。……サカナクション先生、『バクマン。』の音楽やります!!ははは(笑)。この間、副担任'sのみんなが発表しました。先生はもう、NF会場でグダグダになっていましたけど(笑)。そのときに発表しましたが、『バクマン。』の主題歌と劇伴。“劇伴”って分かるか? 映画の中に流れている音楽全部のことを言うぞ。その、劇伴を担当することになりました。10月3日より公開となります、映画『バクマン。』の主題歌と劇中音楽を担当することになりましたサカナクションのボーカル山口一郎です!ふふふ(笑)。主題歌のタイトルは「新宝島」。このタイトルの意味とかも、今回は詳しく話していきたいと思います。黒板書きますね。……今日はね、マンガをしまわなくていい日だな。いつも先生、授業が始まるときにマンガをしまいなさいって言ってるけど。あと、今、みんなはマンガもスマートフォンで読んでいるみたいだな。そういう時代なのかな。」

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「……お、今日はやけに達筆じゃないか?」

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「今回は、映画『バクマン。』の主題歌、「新宝島」の話をしていきたいと思います。先生が長い間……本当にサカナLOCKS!の授業でも七草狩りに行ったり、さくらんぼ狩りに行ったりとか、何かと副担任'sのみなさんがこちらにお邪魔したときがありましたけど、そのときに悩んでいた曲ですね。先生が何に悩んでいたかというと、サカナクションが好きな生徒は知っているかと思いますが、サカナクションの『sakanaction』というアルバムを出して、NHK紅白歌合戦に出て、そこから出していたシングルは、「グッドバイ/ユリイカ」、「さよならはエモーション/蓮の花」と、なかなか表にぱっと開けたような、フェスとかに行くような生徒たちが求めているような楽曲を先生は出してこなかったわけですね。その理由っていうのはいろいろあるけど、少なくとも先生がそういうモードじゃなかったし、「さよならはエモーション」を出したときに、エモーショナルな曲はこれで最後にするという話もしたくらい、先生の中のモードとしては、あまり外に向かうというよりは、自分の心の中のものを歌う……好きなことをやりたいという気持ちの方がすごく強かったわけですね。それから『バクマン。』のお話をいただいて、映画を見たときに、どんな主題歌かなと想像したら、ここでいきなり暗い曲が始まる感じじゃないなと。ふふ(笑)。ここはやっぱりシャッと開けて、次に向かって行くような音楽じゃないと、映画の作品に合わないし、大根(仁)監督はそういった部分で、音楽というのが大好きな、同じ種族の監督なので、納得してくれないなと思いましたしね。自分のエゴを貫く部分じゃないなと思ったわけですよ。かといって、作りたくないものを作るのも変な話じゃないですか。同じ種族の大根監督の映画に自分が作りたくないものを作ってリスナーを裏切るようなことなんてできるわけないと。じゃあ、自分の今のモードをなんとかして『バクマン。』の主題歌に持っていくこと……これが先生にとって一番、本当に苦しんだ部分でしたね。」

「実際に取り組んでいて思ったのは、先生は別に明るい曲を作りたくなかったわけじゃなかったんだなと。外に向かって音楽を発信するっていうときに、ちゃんとシーンに向かって作りたいんだなっていうのがあったんですね。というか、常にそうなんだなというのが分かりました。それが分かった理由は、「グッドバイ」もそうだし、「ユリイカ」もそうだし、「蓮の花」や「さよならはエモーション」もそうですけど、なんかこう……ある種、“アンチ” だったんですね。今は、フェスに対して(フェスを意識した)曲を作っている人たちがたくさんいて、それだけじゃないんだよって。自分たちはフェスっていうものの中で勝ち上がってきたし、そこですごく自分たちを成長させられた場所だけど、でも、音楽ってそこだけじゃないんだよっていうのを、何か表現したかったんだと思う。これは別にフェス批判じゃないよ。だけど、なんか「新宝島」を作っていくなかで、そういった部分を一回取っ払って、自分のストーリーの中でこの映画に合うものを作らなきゃいけないなってときに、そういったことは一切なくなって、映画に合うものを作るってモードに切り替わったときに、少し開けたんですね。」

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「なぜそういう風に「新宝島」みたいな曲が産まれたかというと、先生ね、マンガをあんまり読んでこなかったんですよ。そんなに。『コロコロコミック』とかかな。『あまいぞ!男吾』って知ってる生徒…居ないだろうな多分(笑)。あと、『つるピカハゲ丸』とかね。あはは(笑)。『かっとばせ!キヨハラくん』とか……多分、知らないだろうな。そういうのは読んでいたと。で、『バクマン。』は、『週刊少年ジャンプ』のマンガなのでね。先生、あんまり読んでこなかったし、だけど、マンガを知らずにマンガの映画の主題歌を作るなんて、そんな姑息なことはできないと。なので、ひたすらマンガの研究を始めました。ここが真面目な所なんだけど、先生の……(笑)。まず、マンガの歴史。これを勉強したときに、ひとつ出会ったマンガがありました。それは、『まんが道』という、作者は藤子不二雄さんの、漫画家を目指してからのマンガの苦労みたいな話があるんですよ。そこで、藤子不二雄のお二人が衝撃を受けた漫画家は、手塚治虫氏。その手塚治虫氏の『新宝島』というマンガがあったんですよ。これは、漫画史に残る、漫画の祖と呼ばれるものですね。酒井七馬氏と手塚治虫氏が二人で作り上げた、『新宝島』というマンガがあって、これが今のマンガの元祖となっていると言われてもおかしくないマンガなんですけど。それに辿り着いたときに、あ、つまり、これがパイオニアだったんだと。ジャパニーズカルチャーのマンガ。それの祖となる、ここから発信したマンガを作った手塚治虫さんってすごいなって思って。じゃあ、今の日本の音楽でそういった新しいパイオニアと呼ばれるものを作るとしたらどうしたらいいんだろうっていうのを考えたわけですね。その曲を今回の『バクマン。』の主題歌にするのはちょっと難しいと思ったけど、今回の主題歌とは脱線しているんだけど……なんかそういった音楽でそういった新しいことって何なのかなって考えたときに、思いついたのが、先日行なわれたNF……『NIGHT FISHING』っていうイベントだったんですね。だから、ハッと思ったときに、自分は音楽を外に向かって発信するっていうことに対して、ただ消費されるっていうことだけを考えて作っていたんだなって。じゃあ、そこで自分たちを知ってもらった人たちに、音楽以外の何をあげられているんだろうっていうことを思ったんですね。そう思ったときにせっかく音楽を届けられる立場に居るんだったら、届けた人たちに対して、ちゃんと連れていける場所を作ろうと。今まではクラブミュージックを聴いてもらいたいとかっていう、音楽の交換だったけど、今度は空間をちゃんと作ろうって、『NIGHT FISHING』の空間を作り始めたんですね。……これは完全に、主題歌作業とは別の作業だぞ(笑)。」

「先生、『NIGHT FISHING』の側を作り始めていったら、気持ち的に、どんどん外に向かって作るっていう意識が高まっていって、自分が音楽を作るというストーリーみたいなものが……「新宝島」という『バクマン。』の主題歌を作るというストーリーが自分の中で固まり始めたんですね。これやっぱりね、音楽って人間の人生なんだなと思ったんですけど。そして、その「新宝島」の歌詞をいま見直すと、まさにそのNFのことを歌っているんですね。だからつまり、「新宝島」っていうのは、『NF』です!……ははは(笑)。NFという空間のことですね。だからちゃんと、これは自分のストーリーになったわけですね。」

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「そして劇伴の話もしますけど、劇伴は本当にメンバーの4人が頑張りましたよ。先生が「新宝島」に没頭している間に、大根監督とのやり取りをしながら作っていったわけですけど。先生は、本当に序盤と最後にしかほぼ関わっていないんだけど、いちばん最初のデモを作る段階のときに、ばーっとメンバー5人でセッションをして、何十曲も作ったんですよ。そのデモを大根監督に投げて、大根監督が映画に対してそのデモをばーっと当てはめていって、ここはもっとこうしてほしいっていう作業をずっとメンバーがやっていたわけですけど。結構大変だったみたいですね。もちろん状況はちょこちょこ把握していましたけど。やっぱりね、映画の中の音を作るということは、主役は画なんですよ。画が主役だから、音が邪魔しちゃいけない。台詞を邪魔しちゃいけないんですよ。なのでリズム要らないとかね。会話のリズムと曲のリズムが合っていないとか。あとこの間、くるりの岸田(繁)さんの記事を読みましたけど、役者の声のキーによって音楽のキーが決まる……って、それはもう変態過ぎると思うけど先生は(笑)。でもよく分かる。それくらい、主役は物語なんですね。そういった部分でも先生は勉強になりましたし、いつかまた劇伴やりたいなと思いましたね。あと、ドラマの音楽とかもやってみたいね。映画ももちろんですけど、そういったチャンスもあったらいいなと思います。あと、歌詞が無いっていうのがね、もう……最高!(笑) 劇伴の話は先生がここでするよりも、副担任'sがするほうが良いと思うので、江島先生に来てもらってできたらなと思います。」

「そして今ね、『バクマン。』のサイトに行くと、映画の予告編で「新宝島」の曲の一部だけ聴く事ができますよ。ちょっとその部分だけ聴いてみましょうか。」


■ YouTube: 「バクマン。」予告


「はい、はい、はい。ちなみに、これはミックスを直し、マスタリングもまだされていない状態ですね。なので、ここから更にパキっとなってくると思いますけど。どうですかね?スカッとしているでしょ?……でもね、これ、笑いどころがいっぱいある曲なんでね。全部分にポイントがある曲なんですよ。これはもう、サカナLOCKS!でフル解禁をします……9月頃!……溜めますねー。そうか、映画との絡みもあるわけですね。なので、その辺を楽しみにしていて欲しいんですけど。そのときにまた大根監督とか、来てくれるかな?来てくれますよね。『モテキ』や『バクマン。』の監督である大根監督に来てもらって。……実はね、歌詞ができなくて大根監督とサシでご飯を食べたんですよ。そのときの話とかをできたら面白いんじゃないかなと思うのでね。是非、映画『バクマン。』、そして、サカナクションの主題歌「新宝島」をよろしくお願い致します。」

そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

「まあね、NFがやれたからこそ、「新宝島」ができたっていうことで、先生が痛感したのは、いろんなことを自分の人生を動かしていくことですね。例えば……本当に、一番手っ取り早いのは何だ?……結婚か!ははは(笑)。手っ取り早いわけじゃないな、こりゃ。相当大変なことだな(笑)。人生を動かすってそういうことですよね。もう、引越とかで、むりくり人生を動かすのはちょっともう、やめよっかな(笑)。……これはもう、先生、全然だめだな(笑)。」

■ 映画『バクマン。』公式サイトは[⇒コチラ]

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