タイトル 「『アダプト』リリース直前緊急企画!ビクターのスタッフも時代にアダプトしてるのか? (前編)」

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聴取期限 2022年3月25日(金)PM 10:00まで




音を学ぶ"音学"の授業、サカナLOCKS!。
コンセプト・アルバム『アダプト』が3月30日にリリースになるのを目前に控え、今回はサカナクションの所属レコード会社:ビクターのスタッフを緊急招集!このアルバムをどうプロモーションしていけばよいのか、今までのプロモーションの形のままでいいのか……そんな公開プロモーション会議を行っていきます。


山口「いよいよ3月30日に、サカナクションのコンセプトアルバム『アダプト』がリリースになります。気合が入っています。作品自体が特殊だからね。時代に適応したプロモーションをするべきではないかと、僕は常々ビクターの山上さん(サカナクションのアーティスト担当)と議論に議論を重ねてきているんです。その辺をビクターのスタッフのみんながどれくらい理解した上でプロモーションしてくれているのか、各部署の人たちに来てもらっていますので、今日は公開協議をしていきたいと思っています。今ここに、ビクターの人が4人いらっしゃっています。」

今回、一郎先生が招集したのは4名のビクタースタッフ!

・清水勇至さん(デジタルビジネス部)
・川村浩平さん(大阪エリアプロモーター)
・矢野樹里さん(フジテレビ担当プロモーター)
・櫻木みなみさん(go!go!vanillas、The Songbards アーティスト担当)



山口「まずはひとりずつご挨拶をお願いします。」

清水「はい、ビクターの清水勇至と申します。元々は、サカナクションのパッケージの販売促進をやらせていただいていましたが、今はデジタルビジネス部というところに所属しておりまして、音楽のサブスクリプションサービスのセールス部門を担当しています。」

山口「嫁が恐いんですよね?」

清水「……えーっとですね(苦笑)。あの……ちょっと、聞いてますので……」

山口「ふふふ(笑)。清水さんは昔から山上さんと含めてサカナクションの戦略を一緒にいろいろやってきたブレーンみたいな人なので、今日は来ていただきました。」


山口「じゃあ、次。」

川村「大阪エリアプロモーターの川村浩平です。関西のプロモーションを担当をしていまして、元々は星野源さんの担当をさせていただいていた時に、"アーノルド"としてUstreamで『サケノサカナ』に出させていただいていたりしたので、ファンの方にはおなじみの方もいるかもしれないですね。」

山口「……ちょっと待て。自分をアピールするな(笑)。」

川村「今日もこのTシャツを着てきました。」

山口「アーノルドTシャツね(笑)。アーノルドは、アーティスト担当っていって、ミュージシャンの戦略を立てる仕事をしていたけど、今はエリアプロモーターだよね。各地にいるんですよ。ラジオ局のプロモーションをしたりする仕事をしている、まさにプロモーターだもんね。今日は頼むよ。」

川村「一郎さん、ちょうどこの間大阪に来ていただいていろいろやっていただいたんですけど、肉まんを食べられなかったって言っていたので持ってきました。」

山口「それ、大阪の551蓬莱の肉まんだよね?」

川村「チルドを買ってきたので、家で食べてください。」

山口「ははは(笑)。」


山口「じゃあ、次の方。」

矢野「はい、ビクター入社2年目、矢野樹里と申します。今はメディアプロモーションチームで、フジテレビの担当をさせていただいております。」

山口「矢野さんは、テレビ担当の中でも、フジテレビの担当ってことだもんね。これはどういう仕事なの?」

矢野「フジテレビに、新譜が出たときに、テレビ番組でこの曲を歌わせてくださいというお話をしたり、情報番組で情報を流してもらっていろんな人に知ってもらうために動くチームになります。」

山口「テレビプロモーション担当なんだ。ミュージシャンにとっては結構肝じゃん。大事なところだよね。今日は頼むよ。」

矢野「はい、がんばります!」


山口「次!」

櫻木「go!go!vanillasやThe Songbardsのアーティスト担当をしている櫻木みなみと申します。

山口「つまり、アーティストのそばにいて、アーティストの戦略を考える……アーティストプロモーションの中心人物だね。」

櫻木「そういうことになります。」

山口「ジャケットとか着てきちゃってね。アー担ぶってんの?」

櫻木「ははは(笑)。正装しなければと思いまして。」

山口「ある意味、スパイだから!他のミュージシャンのアー担だから。そういうミュージシャンたちと比較してサカナクションはどうなのかっていうことについても聞こうかなと思います。」

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山口「今日は、あなたたち4人がサカナクションの『アダプト』についてどう考えているのか、どんな戦略を持っているのか、それぞれの部署について聞いていきたいんだけど。まず、どれくらい……どれくらい、サカナクションの『アダプト』を理解しているのかをちょっと聞いてみようかな。これは清水くんから聞こうかな。『アダプト』、これどういう作品なのかな?」

清水「その……コロナ禍で、サカナクションとしてこれまでの音楽の流れやひとつの形っていうのをぶっ壊してしまって、オンラインライブから始まって、リアルライブやって、ユーザーに先に音源を聴いてもらって、『アダプト』という形にして最終的にひとつの形にして改めて体験してもらって、サカナクションが作っていく新しい音楽の形なのかなって理解はしております。」

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山口「なるほど。新曲をただリリースするだけではなく、オンラインライブという形でまず聴いてもらって、リアルライブに来てもらった上でCDっていうものが最後に出るよと。それをどういう風に届けていくのかっていうところが今回の肝になるんじゃないかと思うんだけど……アーノルド(川村さん)、どうなの?実際、『アダプト』っていうアルバムをこういう方式でリリースすることになっているわけじゃん。自分ならどう売っていこうと思ってるの?」

川村「僕の今の仕事はすごくシンプルで、サカナクションの入り口……聴いてもらうきっかけを作るというか。オンラインがあってオフラインがあって、リアルライブがあって、それぞれやった時にメディアだったり、ネットだったりに、情報を出したり動画を上げたりして逐一伝えて、サカナクションがこういう面白いことをやっているっていうのを伝えた上で、ヒット曲をよりみんなに聴いてもらえるようにプロモーションしていくという風に思っています。」

山口「ほー。エリアとして本人稼働がなくても、サカナクションの活動を伝えていくことによっていざリリースになったらそれを広めていこう、宣伝していこうってことね。」

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山口「じゃあ、次は矢野さんに。テレビ担当なわけじゃん?僕今回結構プロモーションに困ったのよ。このプロジェクトって説明が長くなっちゃうじゃん。テレビの尺って1〜2分になっちゃうでしょ?どう伝えたら良いのかがめちゃくちゃ難しいのよ。」

矢野「そうですね……実際にこの前私も名古屋でご一緒させていただいたときに、山口さんがお話しされているところを拝見して、ディレクターさんと相談をさせていただいている中で、どれだけコンセプトを簡潔に視聴者の人に伝えるのかはすごく難しいなっていう話をしていて……その短い尺でコンセプトまでたどり着いてもらうっていうのがすぐには難しいかもしれないんですけど、いろんなきっかけを作って、ラジオだったり、ホームページだったり、山口さんのSNSにたどり着いてもらって、コンセプトを改めて深く知ってもらうようなことができたら一番良いのかなっていう風に思っています。」

山口「とりあえず、全部を知ってもらわなくても、テレビというメディアを使ってまずは入り口だけ知ってもらえれば良いと。そこから先は、私たちは知らないよと。」

矢野「そんなことはないです(笑)。」

山口「ふふふ(笑)」

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山口「櫻木さんはさ、他のミュージシャンの担当をやっているわけじゃん。そのチームのやり方は全然こことは違うわけじゃん。外から見ていてどうなわけ?」

櫻木「本当に新しいなって思っていて。自分の担当しているアーティストって基本的にバンドなんですけど、今のシングル→シングル→アルバム→ツアーっていうシステムを疑問に思う部分があるって本人たちが言っているケースも多くて。ただ、ツアーが主戦場なので、それに向けて作品を作るっていうのから脱却できない……というのが言い方として正しいのかわからないんですけど、そういうサイクルになっちゃってるんですね。そこに新しい考え方を提示するサカナクションが出てきたので、我々も引っ張られる形で、ツアーっていうことを考えずに配信をたくさんしてリリースしていこうとか、新しい考え方にシフトしているところが多いかなという感じですね。」

山口「なるほど。」

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山口「これは、清水さんに聞きたかったんだけど……デジタル担当の人に話を聞く機会ってあんまりないから詳しく聞きたいんですけど、今CDの売り上げって落ちているじゃないですか。サブスクリプションが伸びてきているわけですよね。これは完全に逆転しているの?」

清水「まだ日本においては、トータルの売上金額でいうと完全な逆転という形ではないですけど、ユーザーの流れ……コロナがあって、巣ごもり需要みたいなものが各方面でありましたけど、音楽の聴き方っていうところでいうと、サブスクリプションサービスがこの1年で強烈に会員数が伸びたっていうのがあって、ユーザーがそっちにシフトしてきているっていうのは間違いないかなと。」

山口「CDって瞬発的なセールスじゃないですか。長期的に売れるものじゃないですよね。ウィークリーとか長くてもマンスリーじゃないですか。でも、サブスクリプションって瞬発的なものもあるけど、長く聴かれる要素がありますよね。そう考えた上でもまだ逆転していないの?」

清水「そうですね、まだ逆転はしていないですね。でも、近い将来そうなるだろうとは思っていますけど。」

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山口「僕ね、皆さんに『アダプト』をプロモーションする上でひとつ心掛けてほしいことがあるんです。今回は、セールスプロモーションはしないでほしい。CDを売るためのプロモーションはやっちゃだめ。それよりかは、アーティストプロモーションをしてほしいんです。なぜかっていうと、サブスクリプションって……さっき清水さんもおっしゃったけど、ここ5年以内に必ずその環境でしか音楽を聴かなくなると思うんですよ。CDっていうのはマーチャンダイジングになるじゃん。グッズになっていくと思うんですよ。その分価値を別のところで生み出さなきゃいけないし、違うものになっていくと思うんです。簡単に音楽を聞けるようになった分、古い曲も新曲として聴いてもらえるようになったわけじゃん。っていうことは、今までは新曲をリリースするときに旧譜を買ってくれる人がいたわけでしょ?清水さん、販促時代に、新しいアルバムを出したら旧譜も売れるっていう流れはあったんですか?」

清水「ありましたね。そこを仕掛けていくのもありましたから、当然それはありましたね。」

山口「サブスクリプションでもそういう現象が起きるわけじゃないですか。そうなると、新曲をサブスクリプションで配信したときに、古い曲も新曲として同じように聴いてもらえる機会が増えているわけです。そう考えると、皆さんレコード会社で働いているわけですから、こんなこと言われなくても分かっているかもしれないんですけど!」

全員「(笑)」

山口「今すぐ売れるものじゃなくて、ずっと愛されるものを作っていかなきゃいけない時代になったんじゃないかって僕は思っているんです。なので、そういう戦略でこの『アダプト』っていうのをやっているわけだから、このアルバムがすごくいいですよとか、このアルバムを買ってくださいじゃなくて、サカナクションってすごい面白いことをやっているんですよっていうプロモーションにしていってもらった方が、結果的に5年後10年後のことを考えたらいっぱい聴かれているんじゃないかって思っているんですけど、その辺は皆さんどうお考えなんですか?」

全員「(ようすをみている)」

川村「……あ、あの、川村が言います!(笑) やっぱり、時代が変わって、検索して簡単に知れたりとか、聴けたりっていう今の楽しみ方……CDは売れなくなったけど、そういう音楽の楽しみ方に変わってきていて。自分で知ろうと思ったら気軽にいろんなことを知れる時代になっていると思うんですよ。そういうときにサカナクションってすごい良い形で。深く知ろうと思ったらその人用のコンテンツもあるという。やっぱり僕らは入口を作って、そこから好きになってもらって、長く愛されるバンドになるんじゃないかなって……思っていますけど……」

山口「ふふふ(笑)。そういうことだと思うのよ。テレビとかも、全部を語るのは難しいじゃん。あと、CDがリリースされますって出てきて、この人の曲良いな、CD買おうってならないと思うんだよね、今の時代。サブスクで聴いてみようっては思うけど、CDを買おうとはならないじゃん。だから、CDのセールスプロモーションっていうのはめちゃくちゃコアなものになってきているから、いかにこの人たちは面白いんだっていうプロモーション方法をしていくかっていうのが重要な気がするわけよ。テレビはそれがすごくやりやすいじゃん、逆に。この人こんなにすごいライブをやっているけど、実はこんな変な人なんですよとか、こんな可愛いところがあるんですよっていうのは出しやすかったりする。デジタルも、僕は自分のInstagramで自分の旧譜をかけながらその解説をやるっていうのをやっていたんですよ。これって直接的なプロモーションになるわけですよ。その後すぐにサブスクで聴こうと思ったら聴けるわけでしょ?そういったことが出来る時代になってきている。戦略的にも、我々はCDを出す前にオンラインライブをやってリアルライブをやるっていう形でシステムを変えようとしているわけだから、ここはプロモーションも変えてもらわないと!おじさんやってらんない……音楽やってらんない!……これ、2週に渡るから!その辺、どういうことをそれぞれが考えているのかを聞こうと思う。」

全員「(笑)」

山口「あなたたち、これ、全国で流れているんだからね。」

全員「(黙って頷く)」

山口「頷いても、ラジオでは見えないんだぞ!(笑) 声を出していかないと。頼むよ!今回は、"『アダプト』リリース直前緊急企画!ビクタースタッフも時代にアダプトしてるのか?"をお送りしましたが、まだまだ話し合いが必要です。次回も続きます!

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ここまでで、今回の授業は終了!
このプロモーション戦略緊急会議は来週に続きます!

山口「さいごにサカナLOCKS!からお知らせです。来週3月25日(金)24:00から、GYAO!にて、『アダプト』リリース記念に、動画版の「見える!サカナLOCKS!」の配信が決定しました!前にもGYAO!で「サカナLOCKS!外伝」をやったことがあるんですけど、今回は弾き語りをしたり、スペシャルゲストをお迎えしてやっていきたいと思っていますので、ぜひ見てください。」

「そして、『アダプト』プロジェクトの最終章となる、全国15会場28公演のホールツアー『SAKANAQUARIUM アダプト NAKED』の開催が決定しました。詳細はサカナクションのWEBサイトやSNSを見ていただけたらと思います。」

■サカナクション Official Web Site [→コチラ!]

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