聴取期限 2021年10月29日(金)PM 10:00まで
音を学ぶ "音学(おんがく)" の授業、サカナLOCKS!。今回は一郎先生が10代の生徒におすすめする本、10冊を紹介&プレゼントする授業を予定していたのですが、今回の授業ラストの、一郎先生と職員の会話が……
山口「(今日の授業を振り返って)……っていうことです。どうかな、分かるかな?諏訪さん(カヲル先生)、分かった?」
職員「分かりました。」
山口「何か質問があれば……」
職員「質問は……いま話してくれたので十分だと思うんです。あともう1個分かったことは……」
山口「はい。」
職員「一郎先生おすすめの本10冊を紹介する時間は今日ないなって。」
山口「わはははは!(爆笑)」
職員「来週やろうよ(笑)。」
山口「話しすぎちゃったね(笑)。じゃあ、プレゼントする本の話は来週していこうかなと思います。自分の話ばっかりするナルシストロックバンドでごめんなさい(笑)。」
ということで、すいません!一郎先生おすすめの本10冊は来週紹介します。
プレゼントの応募方法も、来週発表しますので、よろしくお願いします。
なぜこうなっていったのか
それは今回の授業の少し前に、サカナクション先生からニューアルバム2作に渡る大型プロジェクトが発表になったからなのでした。今回はその発表を、一郎先生が詳しく話していきます。
山口「はい、授業を始めますから席についてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いてる人はサカナLOCKS!のインスタアカウント(@sakanalocks_official)をフォローしなさい。授業が始まりますよ。」
「今日は10月22日。いろんな情報解禁なってると思うんですけど、この腰の重いサカナクションから、長い間コロナ禍でずっと準備してきたことが発表になりました。サカナクションは、来年アルバムを2枚リリースいたします。これは2枚でひとつって考えてもらいたい。誤解してほしくないのは、今回、アルバムを出すっていうことが目的じゃないんですよ。どちらかというと、コロナ禍で考えてきたことをちゃんと作品にしようって思った時に、ひとつのアルバムのコンセプトだけでどうにかなる事じゃないっていうことが判明したんですね。サカナクションは、ライブができない状況の中で、いろんなことをやってきたんですね。オンラインライブだったりとか、ファンクラブ限定の作品を作ったりだとか。そういうのをいろいろやってきた中で、今までと同じやり方で、CD を出して、ライブをして、オンラインライブをやって……みたいな事やっていても、コロナ禍でやってきた事を何もいかせてないじゃないかと思ったんですよ。なのでプロジェクトを立ち上げようと。プロジェクト計画ですよ。」
「まず第1プロジェクトは、『アダプト』っていうタイトルで、"適応"っていう意味なんだけど、コロナ禍でサカナクションがどう適応をしてきたかっていうのを表現するとしたどうしたらいいのかなっていうのを考え直そうと。今まで普通は、シングルが出たら、アルバムが出るよなと。アルバムが出たらツアーだなと。ツアーの最終日をオンライン配信だな……くらいな感じじゃないですか。でもこれって、コロナ禍でライブができなくなったり、今も普通にライブができない状況ではあるじゃないですか。このやり方って、適応できてないんじゃないかなと思って。」
「我々がコロナ禍でやってきたことをちょっと工夫して、どうやったら適応できるのかなっていうのを考えた時に……まず、みんなショックに飢えてるなって思ったんですよ。僕、自分でびっくりしたんだけど、コロナ禍の自分の行動に。僕、朝起きて、Google ニュースとかYahoo!ニュースとかをばーって見るんですよ。その時に、何か大きい事件起きてないかなって思っちゃってたんですよ、毎日。ショックに飢えちゃってる自分に気付いたんだよね。それが、よりコロナ禍で増進したなと思ったの。だから、こんなにショックに飢えてる中で、シングル出すとか、アルバムだとか、ライブするっていうのって、ショックじゃないなと思ったんですよ。」
「僕は80年生まれだから、ミュージシャンの新曲をAMラジオとかで聴いていたんですよ。みんなそういう感覚がないと思うけど。例えば、LUNA SEAが新曲出しますっていうと……僕は北海道の『ベストテンほっかいどう』っていうラジオ番組を聴いていたんだけど、ラジオにかじりついて、テープで録音してたんです。こんな曲だったんだ……って聴いて、もう1回聴きたいと思ったら、(その時ラジオで録音した)カセットテープを聴いたりしていたんですよ。新曲との出会いっていうのは、今の時代とは全然違ったんですね。繰り返し聴けないっていう良さもあったし。だからそういう感覚に近いことするにはどうしたらいいのかなって思った時に、我々オンラインライブっていうのをやってたんですよ、コロナ禍に(『SAKANAQUARIUM 光ON LINE』)。ツアーができなくなった分、ただステージで演奏している姿を収録して出すんじゃなくて、"ミュージックライブビデオ"っていうのをやろうと。ライブでもミュージックビデオと変わらないクオリティで、新しい表現としてやっていこうっていうのを開発したんですね。たくさん観てもらって結果も出たし、ただライブを撮って放送するってことだけじゃない表現を見つけました。サカナクションは、タイアップでサンテFXのCM に出てますし、TOYOTAのヤリス クロスのCMの曲もやっていたし、『ルパンの娘』の映画の主題歌もやったと。でも、ずっとシングルを出していなかったんですよ。なぜかって言うと、シングルを出さず、新曲も一切表に出さない状態で、オンラインライブで初披露しようと。全部をオンラインライブで初披露。そこで初めて聴けるようにしようと。今まで、新曲って先に聴いてライブを楽しむっていうのが通説だったけど、オンラインライブで新曲を初めて聞けるっていうのって、多分みんなあんまり経験したことがない初めての体験だと思うんですよ。それって、ショックに飢えてる我々にとって新しい体験の仕方になると思ったんですね。それを実践しようと。」
「じゃあ、CDを出すタイミングはどうしたらいいのかなという問題が出てくるんです。ちょっと僕思ってたんですけど、ニューアルバム出すってなると、シングルを先に3枚とか出すじゃない。そうすると、アルバムの中のもの全部新曲なのに、シングルが先に出ていると「今回のアルバムに新曲何曲入ってますか?」って言われるの。でも、僕らからすると、アルバム全部新曲なのよ。先にシングル出してるから、先に(リスナーは)聴いているから、聴いていない曲をいっぱい聴きたいってアルバムを買ってもらうと。で、シングルを出すと、カップリング曲が出てくるでしょ。これって、シングルのための曲でしょ?何それって感じじゃない?アルバムにも入れられない……B面集みたいのはいつか出るかもしれないけど。捨て曲じゃないけど、変なポジションの曲が生まれてくるっていうことに対しても、僕はなんか変だなと思っていて。あと、サブスクリプションっていうものが出てきてなおさら思ったんだけど、シングル1枚、今はもう2000円とか、初回盤が3000円とか当たり前じゃないですか。それを例えば3枚出したら6000円。アルバム1枚、初回盤だと7000円とかでしょ?応援してくれている人たちが、シングルを3枚買って、さらにアルバム買ったら、もう1万円超えになっちゃうわけですよ。サブスクリプションで聴けるのに、フィジカルでコレクションしたいっていうためだけにそんなにお金を使ってもらうことになるわけですよ。だったらシングル3枚出さずに、カップリングもシングル3枚分で6曲、それをミニアルバムとして出したらいいんじゃないかと。コンセプトアルバムっていう言い方に今回はさせてもらうけど、『アダプト』っていうアルバムを今回のプロジェクトでリリースして、『アプライ』っていうアルバムを出すと。それぞれその作品をもって、どういうコンセプトで作品を伝えていくかっていうプロジェクトが2個あるって考えてもらえたらいいなと。」
「『アダプト』ってプロジェクトは、『アダプト』っていう作品を、まずオンラインライブで聴いてもらう。その後リアルライブのアリーナツアーがあるでしょ。アリーナツアーの最中にサブスクリプションで、新曲を出していこうと思うんですよ。その間に、ラジオだったり、取材をやったり、自分の Instagram Liveとかもそうですけど、そこで新曲について伝えていって、その先にアルバムを出すと。そこまでで、アルバムいらないやっていう人はサブスクで聴いてもらえればいいし、プロジェクトに参加したい、リアルライブで聴きたい、オンラインライブだけ観たい……って、その中で選べると思うんですよ。そういう形にしようと思う。」
「コロナ禍で本当に経済的にどんどん落ち込んでいくっていう予測もされるし、これから盛り上げていこうっていう中で、音楽の役割もすごく大事だと僕は思ってるんだけど、今、明らかに黎明期がきていて。そこにたくさんのお金を使ってもらうっていう説得力を持たなきゃいけないし、いい作品を作っていかなきゃいけないってプレッシャーを持っていろいろ考えた結果、シングルとカップリング3枚分を1枚のアルバムにして、コンセプトとしてそれを届けるために、まずオンラインライブで新曲を体験してもらって、リアルライブが観たいと思ってくれた人はリアルライブにきてもらうと。そして、リアルライブを観た上で、アルバムっていうもの聴きたいと思った人は、アルバムを購入してくれたらいいのかなと思う。オンラインライブで披露されてない曲も、何曲かアルバムに収録されるから、全部で6〜8曲ぐらいになるかな。そのプロジェクトを2回やるってこと。『アダプト』と『アプライ』で。『アプライ』でどういう事をやるかっていうのはちょっとこれからまた考えていくんだけど、今回11月21日と22日のオンラインライブからスタートする『アダプト』っていうプロジェクトはそういう概要になっています。」
サカナクション Official Web Site [→コチラ!]
「僕らは、コロナ禍でどういうことを感じたのか……音楽システムのこととかもすごい考えたし、今届けるためのツールも増えてるじゃない。僕らは難しくて美しいものを理解してもらうために、どんな活動していったらいいのかっていうことをコンセプトにやってきた部分もあるから。ここ5年ぐらいで、しっかりと実践して形にするっていうことを本格的にやってかなきゃいけないなと。今まで世の中に受け入れられるものを作為的に作るってことと、自分たちの好きなものをひたすら作るっていうことをどう混ぜ合わせるかっていうことをやってきたから、それの集大成をここ5年でやっていく上で、普通のシステムに縛られたまま、リリースしたり、ライブしたり、タイアップやったりとかっていうのはちょっと難しくなるかなと思う。それをこの『アダプト』っていうプロジェクトで感じてもらえたらと思う。」
「今の話を全部要約すると、まずサカナクションは『アダプト』というプロジェクトを行って、オンラインライブでその『アダプト』という作品を初披露します。そしてその後アリーナツアーをやります。そのライブ後に、コンセプトアルバム『アダプト』をリリースします。その後『アプライ』プロジェクトが始まっていきます。その『アプライ』プロジェクトをもって、『アダプト』と『アプライ』……つまりアダプトは"適応"、アプライは"応用"。適応と応用、この2つのプロジェクトが完結すると。で、その先に僕らがまた作りたいものも今考えています。」
「これ、説明が非常に難しいんですよ。だから一生懸命 Web とか作ってこのコンセントの話をしようとしているんだけど、みんな何かわからないことがあったら、こういう時代だし、どんどん Twitter とかInstagramとかに投げてくれれば、それを僕らが解釈して、またアップデートしていくので。どんどん質問してください。そして、まとめた人がいたらまとめサイトとか作ってくれると(笑)。僕、どんどんリツイートするから!」
「僕がコロナで学んだことは、ピンチをチャンスに変えるっていう上で、楽しくないと。自分がワクワクしないと、やっぱり人をワクワクさせられない職業なんだなっていうことも分かった。今まで当たり前だと思ったものが、本当にそれで正解なのかっていうことに疑問を持つチャンスをもらえたなと思ったんですよ。正しいか正しくないか分からないけど、自分がこの方がいいって思ったことを、自分一人だけじゃなく、今まで一緒に戦ってきた仲間と一緒に発明していく作業って、今までの音楽ロック史を振り返ってみると、みんなやっぱり時代に合わせてそうやってアップデートしているんですよ。僕は音楽のアップデートっていうのは、時代……テクノロジーっていうものが大きいと思うんだけど、それによってアップデートされていくべきだと思うから。僕らもこのオンラインライブっていうものの表現をひとつ残したいなと思うし、もし真似する人が出てきたりとか、影響を受けてそういうプロモーションしたりする人が出てきた時に、サカナクションっていうものだけじゃなくて、サカナクションに関わったそのプロモーター、ディレクター、プロデューサー、ヘアメイク、スタイリスト、映像ディレクター……って、全員自分の周りにいる人たちが、音楽をアップデート出来たってことになるなと思う。もちろんこのサカナLOCKS!のチームもそうだし、サカナLOCKS!の生徒のみんなもそうだと思う。みんなでアップデートしていく現象を目撃してもらうっていうこと。この『アダプト』と『アプライ』で、偶然でも触った人に、こんなやり方があるんだって感じてもらえたり、5年後、10年後、20年後に、こんなことやってた人たちがいたんだっていうものにしたいなと。そういうモチベーションでやっていると、ワクワクするんじゃないかなって。自分がワクワクしていないとさ……それが一番だと思うんですよ。やっぱり『わくわく動物ランド』だからさ、我々(笑)。小林亜星さんじゃん。やっぱり、ワクワクして作っていくっていうのを取り戻したい。」
さて、このような感じで、授業終了の時間になってしまいました。
そしてここで、サカナLOCKS!からのお知らせがあります。
「このサカナLOCKS!は、なんとスタートして9年半!ラジオが始まった瞬間に生まれた子供はもう小学校4年生とかです。あじゃぱー。ここらでもっとサカナLOCKS!をパワーアップするために、突然ですが……」
「(孫悟空の口調で) オラ、11月から2ヶ月間修行に出っぞ!」
(♪『ドラゴンボール』のBGMが流れて……)
「オッス!オラ、クリリン!(笑) ……混ざったな(笑)。これは、サカナLOCKS!が、ただ2ヶ月間休校になるということではありません。休むぞってことじゃない。修行に出かける場所……それは、精神と時の部屋こと、AuDee!このAuDeeを、オラ、盛り上げっぞ!このアプリをダウンロードすれば、TOKYO FMとJFN各局のオーディオコンテンツが聴けるというアプリですね。なんと、AuDeeっていうのは……授業時間が自由!時間もいっぱいあるし、いろいろ実験できるぞと。神龍もびっくり!つまり、1日12時間ぐらい収録したのを何回かに分けてもいいわけ。……ヘルツ先生が大変!(笑)。サカナLOCKS!っていうのは非常に時間が限られるわけ。でも、AuDeeにいけば(孫悟空で)……オッス!オラ、一郎!主役になれるっす!何でもしゃべり放題です!(笑) なので、AuDeeで、べしゃり(しゃべり)をNirvanaくらいまで鍛え上げてくるから。しゃべりのNirvanaとしてサカナLOCKS!に2か月後帰ってくるから、楽しみにしててくれ。2ヶ月間AuDeeの方で、自由に、このチームでしゃべってきます。それを楽しみに聴いていてほしいと思う。AuDeeは他にもいろんな番組があるから、サカナLOCKS!と一緒に聴いてほしいと思う。今まで以上にInstagramもいろいろできたらいいなと思っているので、楽しみにしていただけたらと思います。。11月から、『サカナLOCKS!〜修行編〜』をAuDeeでお聴きください。 (孫悟空で)そしてオラ……もっと強くなって、1月にこの場所に戻ってくっぞ!……あ、ちなみに、来週はまだ、この時間帯にいますので!(笑)」
聴取期限 2021年10月29日(金)PM 10:00 まで