聴取期限 2020年9月25日(金)PM 22:00 まで
山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを一度閉じなさい。Instagramを開いている人はサカナLOCKS!の[ インスタアカウント]をフォローしなさい。授業が始まりますよ。それでは、今夜の授業内容を黒板に書きたいと思います。」
「SNSをやっている生徒は多いと思う……というか、ほとんどやっているんじゃないかな。SNSというのは、その人がその瞬間何を思っていたのかを残しているアルバムのような役割があると思う。今回は、SNSで最近の山口一郎のことを振り返っていきたいと思います。
SNSっていうのはいろんな使われ方があると思う。見る専用とかね。あと、裏アカウントとかあるんでしょ?今。本アカと裏アカがあるんでしょ?その本アカと裏アカの使い分けとかは、僕は分からないんだけど。そういった使い方をしている人もいると思うけど、私山口一郎は本アカのみです。『サカナクションの山口一郎です!』っていうアカウントだけです
ね。
Twitterは結構序盤に作って、何年経つのかな……分からないけど。Instagramも結構早めに始めたかな。フォロワー数は両方合わせると100万人いないかな……くらい。100万人くらいって、すごくない?Twitterの方が多いけどね。私的には、メインはInstagramをメインに使っていて、Twitterはあくまでも告知系として使っていると。Twitterの方がコミュニケーションツールとして優れているっていうのは分かっているんだけど、どうも……なんかその……コミュニケーションが苦手だから、僕。
あと、辛辣なことを言ってくる人が多いのもTwitterだから、あまりTwitterの方で吐露しないようにはしているかな。一応バランスを取ろうとしております。」
「そんな私が、まず、Instagramの方でどんな投稿をしているのかというのを振り返ることによって、私の心理状態を報告していきたいと思う。心のダイナミクスをInstagram上から読み取ろう!」
「これは、藤原ヒロシさんから送られてきたんです。それを、サバちゃん(マネージャー)といる時にパカっと開けて、すげーなーこれ……発売前だけどインスタに上げてもいいのかな……とか言いながら、上げました。で、すごい嬉しかったなー……っていう……ふふふ(笑)。何にもないよ!掘り用がないんだよ(笑)。心のダイナミクスだから!嬉しかったなー……すげーなー……これ履くのもったいないなー……っていう感じで上げたやつですね。NIKEの靴とかいただいたりして、Instagramに上げてくださいとかは言われないんですけど……そういうPRみたいなのは僕一切ないから。
でも、いただいたし、上げたほうがいいかなって思うんですけど、正直自分が好きじゃないとおすすめできないじゃないですか。しかも、実際に履いてめっちゃいい感じとかじゃないとおすすめできないというか……じゃあ、履いてからインスタに上げようって思うと、なかなか新しい靴を下ろすのって個人的に勇気がいるというか。もったいない症候群があるから。使うのもったいない人だから。そのうちインスタに上げても意味ないなって時期になっていっちゃうんですけど。
この、藤原さんからいただいたfragment × Air Jordan 3は、藤原さんから靴送るねってメールが着て、どんなのだろうって思ってた中で、これが送られてくるって知らなかったので、すごく嬉しかったっていうのでインスタに上げました。……そこだよね(笑)。嬉しかったんです!しかも、誕生日前だったからね。早めの誕生日プレゼントをいただきましたって感じでしたね。」
「じゃあ、次。」
「これはまあ、自分の日記みたいな感じですね。タイアップものの歌詞があって、CMの部分だけの歌詞ができたと。まだ全体の歌詞ができたわけじゃないんですけど、そこの部分の歌詞が出来上がって、朝4時くらいにこれから歌録に行くぞって、マネージャーが迎えに来るのを待っていたところだったんですけど。
結構寝なくて辛かったんですが、精神的にはなんか余裕があって。今までだったら、締め切りやばい、これが書けないとやばいっていう恐怖心があったんですけど、全然その恐怖心がなくて。自分の世界観をちゃんと追求すればいいんだっていうところに、コロナ禍を経て自分でたどり着けていたので、そういったことを書きたかったなって。そういうことをInstagramでアピールしてた。つまり、この写真が物語るのは……
((( 俺、寝ないで頑張ってるよ! )))
……っていう(笑)。それをなんかいい感じの文章でもやっとさせたやつだよ。……分かる?みんな。これが日本語マジックだから。『あー、今日俺寝てねえわー……』っていうのを、『心象スケッチ』って(笑)。そういう言い方してモヤっとさせてるんだよーっていう感じだよ。大人になるとこういう技術も使えるようになるから、みんな頑張ろう(笑)。」
「これはね、僕ずっと釣りを我慢していたんですよ。で、誕生日に釣りに行こうっていうので釣りに行ったんですけど。誕生日当日は雨で行けなくて、翌日に行ったんです。そこでInstagram Liveをしていたんですよ。その最中に72.5cmっていう自分の記録更新する大きいシーバスが釣れたんですよ。すごいなーって思っていて。
で、船に乗るのに久々すぎてライフジャケットを持っていくのを忘れちゃったんですよ。だから船に常備しておいてあるすごいダサいライフジャケットがあって(笑)。それを着ていたんですよね。僕、黄色がラッキーカラーなんですよ。黄色と青とグレーかな。だから、黄色を着ていたから釣れたんだなーっていって、船で盛り上がっていたんですよ。そういうこと。まあ、この写真が物語っているのは……
((( 俺、頑張ったし、釣り行ったんだよ!そしたらすげーデカいのが釣れたんだよ!みんな、見て、見て! )))
……っていうのを、なんかちょっとですます調で素朴にしましたっていうやつ(笑)。ワハハハハ!(笑) 簡単に言えば、誕生日きたし、釣り行ったらデカいのが釣れたから見ろよ!ってやつだから。」
「……がっかりすんなよ、みんな(笑)。」
「じゃあ、次はTwitterを振り返ってみようか?」
誕生日プレゼントにドラゴンズのユニフォーム貰った。#中日ドラゴンズ pic.twitter.com/SPE8GRmR5l
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) September 8, 2020
「9月8日はレコーディングのミックスの作業でスタジオにいたんですよ。誕生日の日にメンバー5人が揃っているってことは最近なかったんですよね。久々に5人揃っていて、誕生日プレゼントとしてHIP LAND MUSICの社長が普段スタジオとか来ないのに、来てくれて。30歳の誕生日の時もドラゴンズのユニフォームをもらったんですよ。40歳だっていうことで、ドラゴンズのユニフォームをわざわざ持ってきてくれて。ありがとうございます!!っていう感じの。
で、メンバーが5人揃ってるし、写真を撮らないわけにはいかないと。だから、ユニフォームを着て写真を撮るんだけど、後ろを向かなきゃいけないじゃない、40番を見せるのに。でも、後ろを向くとドラゴンズのユニフォームかどうかも分からないじゃない。だから、ドラゴンズのユニフォームだって分かるように後ろを見ながら僕だっていうのも分かるようにっていうのですごい難しい撮影だった、あれ。
で、この写真を撮る前に1回撮ってるんですよ。そしたら、ザッキー(岡崎先生)のところにだけ照明がばーんって当たっていて、みんな他は暗くて、ザッキーが主役みたいな感じになっていて(笑)。誕生日で5人揃っていてレアじゃん、思い出じゃん。だから、もう一回撮り直そうって言って撮り直したのがこの写真だったっていう……そういう物語があったんですね。だから、これはテイクツーです。だから、つまりこのTwitterは……
((( 誕生日にユニフォームもらったし写真撮らなきゃ!1回撮ったんだけど、うまく撮れなかったからもう一回撮ろうって言ったテンションの写真! )))
……ふふふ(笑)。っていうことだよ!!おまんら!……今ちょっと『スケバン刑事』が出たんだけど……って、みんな知らないと思うけど。」
「次。」
ジンギスカン食べたい。
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) August 21, 2020
「これは深い理由がある。ジンギスカンが食べたいってつぶやいたのは。オンラインライブで、オンラインライブ、オンラインライブって告知系がバーって続いていたから、あれ?俺のTwitter告知ばっかになってるな……ここら辺でなんか告知じゃないやつつぶやかなきゃなっていうことで、頭の中にあったのが『ジンギスカン食べたい』だったっていう。つまり、このツイートは……
((( やべー、最近のTwitter告知ばっかじゃん。なんか自分の気持ちを吐露しなきゃ……はっ!……"ジンギスカン食べたい" )))
ふふふふ(笑)。っていうツイートだよ!現実はよ!そういう、自分の中でのSNSに慣れずに、ブランディングに踊らされてるんだよ。……ええか?SNSとかで良いことをつぶやいているのとかあるだろ。あれにはみんな自分のブランディングが入ってるんだよ。だから気をつけろよ。何か可愛らしいことをつぶやいている人とか、なんか良いことつぶやいてる人とか……事前に文章を作っていたりして、上げるタイミングとかも考えたりしているんだぞ!
そういう意味ではよ……(♪「北の国から」のBGMが流れてきて……)父さん……(笑)……僕は頑張って東京でつぶやいてます……ははは!(笑) このBGMなんだよ!?(笑) そういうことなんだよ!すげーみんな考えてます。こういうことをこのタイミングでつぶやきましょう、こっち系をこの時にあげましょうとか……すごい考えながらつぶやいているふりしてます……(笑)。みんなやってんだよ、そういうことを!気をつけろよ、誤魔化されるなよ、騙されるなよ!SNSリテラシーつけてこうぜ!そういう部分では、私は自分でやっています(笑)。
ただ、告知系の文章とかは、サバちゃん(マネージャー)とかから『一郎さん、この文章とこの写真で上げてください』っていうのをもらってる。分かりましたーって。でも、"ジンギスカン食べたい"とか、気持ちの吐露は自分がやってる。」
「じゃあ、次行こう。」
知ってから、ゆったりじんわり理解していく感じが、僕は安心できるタイプです。
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) August 5, 2020
オフライン時代は、知るには努力が必要だったと思うけど、今はチョチョイのちょいで検索できるし、「知りたい」から「知った」までが短い分、知った瞬間、直情的になりがちだよね。
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) August 5, 2020
「何か思うことがあったんだよね……情報を知って、それをちゃんと理解する前に、みんな直情的にそれに対してリアクションすることで、本質的に伝えたかったことが伝わらないまま拡散していく状態になっているなっていうのがずっと繰り返し行われているから、インターネットがなかった時代の人間からすると、何か情報を得るとそれに対して直情的に1回なるんだけど、それをもうちょっと深く理解しようとしたり、それに対して自分なりにちゃんと意見を持って、自分の心の中に留めておいてから発進するっていう感じだったから。
そもそもその問題に関する考え方をちゃんと自分ではっきり持っていられたというか。でも、今はみんな、ばーっと一気に知って、一気にぶわーっと言っていくっていう……そういう情報が溢れていて、それを薄く受け取る人達がいてさらに誤解が広がって……っていう風になっているのは、みんながちゃんと1回自分の中に留めるようにしないと、SNSのリテラシーみたいなものが保てないんじゃないかっていうことを感じてつぶやいたんだと思う。たしかね、この"ゆったりじんわり理解していく感じが、僕は安心できるタイプです。"の後に何か言ってるんだよ、僕。」
だけど、フリック入力は覚えたい。
— 山口 一郎 (@SAKANAICHIRO) August 5, 2020
「これ……姑息だよね!!姑息だよねえーー!!!つまり、何が言いたかったかっていうと……
((( 最近のSNSは本当に感情的になりすぎ!1回ちゃんと自分の中で噛み砕いてから言わないと、ちょっとしか興味がない人にも誤解して広がっていっちゃうよね。それを良い感じに僕は言いたいな……うん、こうやってつぶやこう。……あれ、でもちょっとなんか上からな感じになっちゃったから、テクノロジーに弱い部分出そう……"フリック入力は覚えたい"。 )))
……ガハハハハ!!(笑)姑息だろー?こうやって大人になっていくんだよ。うんうん……みんな、分かってきただろ?俺のSNS術(笑)。」
今回の授業も終了の時間になりました。
「SNSが登場した当初は、僕はSNSはある種現代の詩人たちの集まりだと思っていたんですよ。石川啄木は短歌で非常にネガティブなことを中二病的に言っていたけど、そこに芸術性だったり美しさを感じたりしていたと。SNSっていうのはそういう機能性を持っていくのかなって思っていたんですけど、情報に対しての意見の収集をする役割を大きく担っていったりとか、すごくオフィシャルな意見を言う場所として機能し始めていて。
Twitterっていうのはまた新しい価値を見出しているのかなと思うし、それをうまくブランディングだったりプロモーションに利用している人たちが勝っていく時代になっていると思う。僕はSNSっていうもの……特にTwitterに関しては、どんどんまたクローズドなSNSに移行していくんじゃないかなって思っていて。鍵をかけている人もいると思うんですけど、そういったものにどんどん集約されていくような気はする。またオープンなものに移っていくというか。だから、開いたり閉じたりしていきながら、どんどんみんながリテラシーをつけていくと。もうちょっと時間がかかるかなって思いますけど。新しくSNSを始めたばかりの人も多いと思うので、そういう人たちが成熟して当たり前になって、学校の授業とかでもSNSの扱い方を教えたり、法律とかでもいろんなことが整ったりすると思うので。そうなると使われ方が変わってくるんじゃないかと……もうちょっと当たり前のツールになっていくんじゃないかという気はしています。
だけども、フリック入力は覚えたい(笑)。いつまでたってもフリック入力ができない。……ということで、SNSは扱い方によっては素晴らしいものになりますし、人を傷つける武器にもなると思うので、各々にSNSの使い方や、流れてくるSNSの情報にもちゃんとコントロールされたものがあるっていうことを理解していただけると面白いと思います。」
聴取期限 2020年9月25日(金)PM 22:00 まで