最果タヒ × 川上洋平 対談!(後編)

SCOOL OF LOCK!


(カッ、カッ、カッ、チャイム……ガラガラ……)

洋平先生「進路室へようこそ!さあ、連休も終わりましたね。生徒のみなさんはいかがお過ごしでしょうか?
受験生のみなさんの中には、来年だからといって、この連休も“遊んでても、まだ大丈夫っしょ!”って思ってる生徒さんいるかもしれませんが、こういう時に差が付いちゃうんですよね。ウカウカしてられませんよ!進路に纏わる相談などは【アレキサンドロス掲示板】までお寄せください!」

洋平先生「先週、お約束した通り!本日はいち早く、我々[ALEXANDROS]の新曲解禁となります!今月23日(水)発売の『KABUTO』から表題曲となる曲を世界初フルサイズでオンエアします!ライブでもフルサイズはまだやってません!この前ちょっとだけ、ワンコーラスだけ…ってかこれ、ワンコーラスって言っていいのか分かりませんね(笑)そうだから色々謎な曲なんですよ。でも次のアルバムに繋がる1ページだと思って、心して聴いて頂ければと思います!」


M KABUTO / [ALEXANDROS]


洋平先生「いや〜やっと、フルサイズをオンエア出来ましたけど、先日、“サビ前でなんで切るんですか?”って生徒さんの書き込みを見たんですけど、この曲サビがないんです(笑)だからインスト的な感じで、聴いて欲しいなと思います!台本にあるんですけど…この曲、どうだったでしょうか(笑)」

タヒ先生『ハナウタ』の感じと全然違って、これが1枚のCDに入るって凄い…」

洋平先生「そうなんですよ!だから[ALEXANDROS]って何でも好きなんですよね。路線がないんですよ」

タヒ先生「(笑)」

洋平先生「さあ!『ハナウタ』の作詞をしてくださった方の前で『KABUTO』を流す…もう暴挙ですけど(笑)先週に引き続き、この進路室にゲスト講師をお呼びしております!

タヒ先生「生徒のみなさん、こんばんは!最果タヒです!よろしくお願いいたします!」

洋平先生「先週は『ハナウタ』の裏話とかお届けしましたが、今日は最果タヒ先生、詩人について伺っていこうと思います。普段は詩を書いてらっしゃっていますけど、今回は歌詞!歌詞も以前、書いたことがありますよね?」

タヒ先生「そうですね。3、4回あります」

洋平先生「違いとかってあります?」

タヒ先生詩は最初っからバババババって即興で書く感じ。歌詞は、メロディがある場合は凄い複雑な作業になるので、けっこう時間かけて、じっくりじっくりやって、言葉をハメて“変だ”って直して…」

洋平先生「じゃあ実際、口ずさんだりもしますか?」

タヒ先生「はい。でも私、音痴なんで自分で読むとメロディが変になるんですよ。だから初音ミクをパソコンに入れてて…

洋平先生「そうなんですね!」

タヒ先生「初音ミクにメロディを登録して、歌わして“あ、イントネーションがちょっとおかしい”ってなったら直して…」

洋平先生え!?じゃあこの『ハナウタ』も初音ミクVerがあるんですか?

タヒ先生「あるあるある(笑)」

洋平先生「おぉー!それはぜひ今度(笑)」

タヒ先生「いや、何も調教してない棒読みのミクなんで(笑)」

洋平先生「逆に良いですよ!俺より売れちゃったりしてね(笑)」

タヒ先生「(笑)」

洋平先生詩という事に関しては全く違う感じですか?

タヒ先生「詩は…何だろう?言葉自体で“この響き面白いな”と思ったら使って、みたいな感じなんで、けっこう意味を置き去りにしてますね」

洋平先生「なるほどね」

タヒ先生“この文章、カッコイイと思ったからこのまま書きます!”みたいな。そのままバァー!ってやっていくと“出来たぞ”みたいな感じになる事がけっこうあって、最初に“こういうの作ろう”っていうイメージはあんまりせずに…。だから先週のRNゆうさとくんみたいに‘彼女のために書きます’とか出来ないんですよ」

洋平先生「そういう事なんですね」

タヒ先生「書き始めた時と全然違う話を最後にしている、みたいな感じなんで」

洋平先生「詩の終わり方ってどう決めてるんですか?」

タヒ先生「それね…私も分からないんですよ」

洋平先生「始まりは何となく分かるんですよ。何かきっかけとなる文章から始まるみたいな。でもそれがどういう経緯で最後の文に収まるのか…」

タヒ先生「この前”それが詩になったのか、どうやって判断してるの?”って谷川俊太郎さんにも訊かれて(笑)」

洋平先生「そうなんだ!でも気になると思う」

タヒ先生「でも経験なのか何なのか分からないですけど、大体何となく分かるんですよ。“詩になったぞ”って。終わり方が分からないっていうのは、作品が良くないって事なんで全ボツにします!」

洋平先生「なるほど(驚)」

タヒ先生「‘終わらない’っていうのがあるんですよ(笑)それは絶対良くないので…。むしろ短くスパッと終わった方が、良いモノだったりしますね」

洋平先生「もう分かっちゃうんですね?」

タヒ先生「でも私は高校生くらいの時からブログをやってて、ROCKが好きで歌詞がカッコイイ!日本語がカッコイイ!って思い始めて…歌詞って脈絡が無いじゃないですか?その脈絡の無さがカッコイイと思ったんで、脈絡の無い日記をずっと書いてたんですよ。そしたら色んな人に“これは詩だね”って言われて“詩?詩??詩???”ってなって…」

洋平先生「なるほど」

タヒ先生「その後に詩の投稿サイトを見たり、詩の雑誌を見て投稿してみたりして、気付いたら詩人になってたって感じなんですよ。だから“詩とはなんぞや?”とか分からなくて…」

洋平先生「そうなんですね!」

タヒ先生「自分は“これが完成したぞ!詩になったぞ!”って思っているけど、他の詩人から見たら違うかもしれないし、それはみんな違うと思うんですよ。だから直感!

洋平先生「直感なんですね。生徒の中には“詩人になりたいな”とか“タヒ先生みたいになりたいな”って生徒がいっぱいいると思うんですけど?」

タヒ先生「時々”詩人になりたいんですけど”って言われるんですけど、私も何でここにいるのか分からないんです〜って(笑)」

洋平先生「(笑)」

タヒ先生「迷子の人みたいな(笑)私の時はインターネットはあってもSNSは無くて、同じクラスの子も(インターネットの事は)全然知らないという時代だったので、別世界だったんですよ。そこで好きな事を発表すると、みんなの喋り方とか流行りモノとかどうでもよくなってくる。自分が良いと思ったモノに力を注いでいける。それが良かったんだと思うんですよ。10代の頃って、友達と同じ物を好きじゃないといけないとか、同じ事を言ってないといけないとか、そこから逃れた先に私が詩があったけど、別にそこで詩を見つけてなくても、たぶんそこで凄い良いモノを見つけて結果的に将来に関係する鍵みたいなモノを見つけていたかなと思います」

SCOOL OF LOCK!


洋平先生「今のタヒ先生の話が答えになるんじゃないかなと思う書き込みがあって…」



■進路がきまらない!
将来やりたいことととか、すきなことってどうやって見つけるんですか!?
おれんじいろのみどりむし
女性/17歳/熊本県




洋平先生「この進路室に多く届く質問なんですけど…」

タヒ先生「私はね、何も考えてなかったんですよ。何もやりたい事がなくて、“どうせ、その辺で就職すんねやろな〜”と思いながら、10代は勉強したりインターネットしたりしてて…。でもその時に好きな事とか、やりたい事とか見つけなくても良くて。ただ自分の感覚みたいな、感性を捨てない!“何か嫌だ”とか“何かこれ、好き”とかで良いんです。守る術を何か持っていた方が良くて、例えば日記でも良いし。みんなと同じ意見ばっかり言っていると、だんだん自分が無くなっていく感覚ってあるので、その時にたった1つだけでも守っていくモノがあると、結果的にそれが花開いていくと思います。だから“好きなモノがない”とか、“やりたい事がない!”っていうのが悪い事ではないと思います」

洋平先生「そうですよね!本当にそう思います!だから“将来やりたい事とか、進路が決まらない!”っていう悩みはたぶん周りの友達がやりたい事があって“自分も見つけなきゃ”みたいになったりするかもしれないけど、たぶん好きな事って好きなモノから見つけられたりしますからね

タヒ先生「そうそうそう!人との出会いとかでも出来たりするから、焦らなくて全然良いと思うし、好きなモノが無ければ何も決まらないって事は決してない。いつか見つかるまで自分の感覚を凄く大事にするのが良いと思います」


M ハナウタ / [ALEXANDROS]


SCOOL OF LOCK!


洋平先生「先週と今週の2週に渡って、最果タヒ先生に詩の力、そして言葉の力について教わりましたが、最後にタヒ先生から生徒のみなさんにメッセージを頂けないでしょうか?

タヒ先生「言葉ってみんなが使うから意味が決まってるんですけど、全部忘れて自分のためだけに言葉を使うっていうのをやっていくと、“こんな気持ち、持ってちゃいけないんじゃないかな?”とか“こんな事を考えちゃダメなんじゃないか?”みたいなモノを感じるかもしれないけど、1回全部言葉にして書いてみるっていうのは良い事だと思ってて、あってはいなけい感情なんて、ある訳ないんですよ!生きてるんだから!だからみんなが使っている言葉を使うだけじゃなくて、自分だけの言葉を見つけるっていうのをやってみるのって凄い素敵だから、やってみて!」

洋平先生「そうですよね!是非タヒ先生の詩集を読んで欲しい!けっこう…ドキッってする事多いですし」

タヒ先生「そうですね(笑)」

洋平先生「辛辣な言葉もあったりするので(笑)」

タヒ先生「(笑)」

洋平先生「“あ、これ!すっげぇROCKだな!”って思う瞬間もあるのでぜひ読んで欲しい!刺激を受けて欲しいなと思います!」

放送後記

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