福山雅治 福のラジオ

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放送後記

作曲という行為、後に生まれるほど不利になる!?

2022/10/22
日テレ新日曜ドラマ 『霊媒探偵・ 城塚翡翠』の主題歌、福山さんの書き下ろしによる『妖(あやかし)』。オンエア後、たくさんの感想をいただいています。
そんな中、音楽にまつわるこんな疑問のメッセージが届きました。
静岡CREWのまーくん(36歳)
くだらない話かもしれませんが、僕は音楽好きとして思うことがあります。
それは、
作曲をするのって、この世で後に生まれてくればくるほど、不利になるんじゃないかな?
ということです。

先人たちは、何を作曲しても誰にもマネされてない新鮮な曲だと評価されますが、後に生まれるほど、メロディが被ったり、似ている曲を思い付いても「あの曲のパクリじゃない?」ってならないのかが頭をよぎって、作曲に支障が出ないのかな?と思ってしまうのです。
福山さんが作曲する時は、良いメロディーが思い付いても
「このメロディあの曲に似てるからやめよ」となったことはありますか?
上手く伝わるか分かりませんが、福山さんの意見を聞きたいです。


・・・世界の楽曲、数えきれないくらいあるわけですが、という福山さん。昔は似ていると思うこと、よくあったそうです。そしてボツにしてやめていたことも。

「でもある時期から、似たところを通っているなと思っても、ちょっとした変化を加えると、全然違うものになる、というテクニックを身につけました。分析して再構築すれば違うものになるということを身につけたので大丈夫です。」

・・・また、時代が変わって、こうした感覚に変化をもたらしていると言います。

「あえて“似せにいく”ということもみられるようになってきました。オマージュもそうだし、あるフレーズをサンプリングして自分の楽曲にしようしたりするセンスそのものがクリエイティブという評価が得られるようにもなっています。過去の名曲に対するリスペクトである、というような変化もあります。」

・・・とはいえ、守らなければいけないこともあるわけで、こんな言葉をつづけました。

「メロディが同じとか歌詞が同じ、というのはアウトですけど、サウンド的に似ているのは問題なくなっています。ビートルズ風のコード進行が似ていても、ビートルズにならないというところに、オリジナリティが生まれるのではないでしょうか。
僕はSIONさんや浜田省吾さん、九州のロックバンド、THE MODSや、ARBのカバーをやっていましたけど、どうやってもみなさんのようにはなれない・・・どうやっても福山にしかならないんです。」

・・・新曲『妖』オンエア後には、今回の楽曲づくりの体験も振り返り、こう続けました。

「この曲は、自分自身も考えられないけど「どこから出てきたのかわからない」という感覚なんです。番組サイドから、アタマはスローで、そこからバーンという展開で、というリクエストがありました。それに応えつつ自分ならではの変化をつけようと考えたのが、『城塚翡翠』は、サイコホラーのエッセンスがある作品だということ。オマージュではないですが、僕らが子供のころに超怖い作品だった『オーメン』や『エクソシスト』をイメージしたのだそうです。でもやはりそうはならなかったんです。」

“発想と、自分の中のフィルターを通してアウトプットされてくるものは、なんか違う”

「だから自分の中でどういう化学変化が起きるのか、というのはわからない。自分の中で発想が生まれるのに、自分の中を通すのに、できたものは発想の通りにはならない・・・不思議です。」
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福山さんが、どんな発想をもって曲を生み出してきたのか?
そのプロセスを想像しながら新ためて聴いてみるのも楽しいかもしれません。『妖(あやかし)』の感想、引き続きお待ちしています。


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