映画を彩るフードスタイリスト、飯島奈美さんの魅力と創意工夫
2024/12/21
映画やテレビドラマにおいて、物語に深みを与える大切な要素の一つである料理シーン。その背後には、フードスタイリストの綿密な準備と創意工夫があり、これまで数々の映画などでフードスタイリングを手がけてきた飯島奈美さんに、今日も作品の舞台裏エピソードなど伺いました。
映画『かもめ食堂』をきっかけに、映画のフードスタイリングを多く手掛けるようになり、その後も、『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』や『南極料理人』といった名作に携わり、観客の心に残る食のシーンを数多く生み出してきた飯島さん。
『南極料理人』のアメリカ・ロサンゼルス上映会では、飯島さんが考案した「醤油ラーメン味のポップコーン」や「エビフライのサンドイッチ」といったユニークなメニューが振る舞われたのだとか。実際の作品中の料理だけでなく、こういった遊び心あふれるアイディアが、映画の世界観をさらに広げています。
細部まで徹底するこだわり
撮影現場では、料理の細部にまでこだわり、『南極料理人』では、同じ形のおにぎりを東京から冷凍便で北海道の撮影現場に送るという徹底ぶり。また、見た目は同じでも俳優さんたちが飽きないように、調味料を微妙に変えるなどの工夫をしたりもするのだとか。
時代考証に基づいたスタイリング
2009年公開の映画『ヴィヨンの妻』では、時代考証を重視して当時の料理や食器を再現。「当時はどんなお米を食べていたんだろう・・・」「どんな食卓だったんだろう・・・」と思いを巡らせ、図書館で資料調査をしたり、老舗店へ問い合わせしたりと、徹底した研究のもと、リアルな食卓風景を表現されたんだとか。
フランス映画「真実」での挑戦
飯島さんが特に印象深かったと語る作品の一つが、是枝監督のフランス映画『真実』。カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュといった世界的なスターとの共演が実現したこの作品、撮影ももちろんフランス。飯島さんも現地でその腕を振るったわけですが、特に苦労したのは、撮影直前までどの料理を作るかが決まらなかった点。最終的に、カトリーヌ・ドヌーヴさんの旦那役のキャラクターがイタリア料理に凝っているという設定に基づき、パスタとデザートを作ることになったそうですが、「フランス人にフランス料理を作るのは日本で肉じゃがを振る舞うような緊張感がある」と語る飯島さん、言葉の壁を乗り越えながらも現場で順応し、お仕事されたよう。
ラザニアを作るシーンでは、俳優たちが予想以上にホワイトソースを使い、材料が不足する事態に陥ったこともあったそうですが、急遽スタッフが追加材料を買いに行き、飯島さんは一人で現場を切り盛りしながら対応。その柔軟な対応力は現場スタッフからも高く評価されています。
「孤独のグルメ」劇場版の新たな挑戦
2025年1月公開予定の劇場版『孤独のグルメ』にも参加されている飯島さん。韓国・釜山でのロケでは、地元の市場でスタッフとともに食器を調達するなど、現場の雰囲気を大切にしながら準備を進めたのだとか。物語の中では、松重豊さん演じる主人公が自分で食材を調達して料理する場面があるそうですが、現地での食材の入手が難しく、試行錯誤を重ねたのだとか。そんな努力の甲斐もあり、松重監督が今回の映画での「忘れられない味」として、数々のインタビューで「飯島さんのご飯」をあげるほどとなっています。
CMと映画の違い
飯島さんは映画やドラマだけでなく、多くのCMも手掛けてきました。特に東京ガスのテレビCMシリーズでは、「短い秒数で視覚的にわかりやすく美味しさを伝える」という課題に応え続けてきました。飯島さんはCMを「俳句のように削ぎ落とされた美」と表現。一方で映画では、物語の一部として料理がじっくり映されるため、違った表現の楽しさがあると語ります。
「フードスタイリストに特別な資格は必要ありませんが、料理を通じた表現力が求められます」と語る飯島さん。そのクリエイティビティと情熱は、料理を超えて作品全体に生命を吹き込んでいるようです。
映画『かもめ食堂』をきっかけに、映画のフードスタイリングを多く手掛けるようになり、その後も、『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』や『南極料理人』といった名作に携わり、観客の心に残る食のシーンを数多く生み出してきた飯島さん。
『南極料理人』のアメリカ・ロサンゼルス上映会では、飯島さんが考案した「醤油ラーメン味のポップコーン」や「エビフライのサンドイッチ」といったユニークなメニューが振る舞われたのだとか。実際の作品中の料理だけでなく、こういった遊び心あふれるアイディアが、映画の世界観をさらに広げています。
細部まで徹底するこだわり
撮影現場では、料理の細部にまでこだわり、『南極料理人』では、同じ形のおにぎりを東京から冷凍便で北海道の撮影現場に送るという徹底ぶり。また、見た目は同じでも俳優さんたちが飽きないように、調味料を微妙に変えるなどの工夫をしたりもするのだとか。
時代考証に基づいたスタイリング
2009年公開の映画『ヴィヨンの妻』では、時代考証を重視して当時の料理や食器を再現。「当時はどんなお米を食べていたんだろう・・・」「どんな食卓だったんだろう・・・」と思いを巡らせ、図書館で資料調査をしたり、老舗店へ問い合わせしたりと、徹底した研究のもと、リアルな食卓風景を表現されたんだとか。
フランス映画「真実」での挑戦
飯島さんが特に印象深かったと語る作品の一つが、是枝監督のフランス映画『真実』。カトリーヌ・ドヌーヴやジュリエット・ビノシュといった世界的なスターとの共演が実現したこの作品、撮影ももちろんフランス。飯島さんも現地でその腕を振るったわけですが、特に苦労したのは、撮影直前までどの料理を作るかが決まらなかった点。最終的に、カトリーヌ・ドヌーヴさんの旦那役のキャラクターがイタリア料理に凝っているという設定に基づき、パスタとデザートを作ることになったそうですが、「フランス人にフランス料理を作るのは日本で肉じゃがを振る舞うような緊張感がある」と語る飯島さん、言葉の壁を乗り越えながらも現場で順応し、お仕事されたよう。
ラザニアを作るシーンでは、俳優たちが予想以上にホワイトソースを使い、材料が不足する事態に陥ったこともあったそうですが、急遽スタッフが追加材料を買いに行き、飯島さんは一人で現場を切り盛りしながら対応。その柔軟な対応力は現場スタッフからも高く評価されています。
「孤独のグルメ」劇場版の新たな挑戦
2025年1月公開予定の劇場版『孤独のグルメ』にも参加されている飯島さん。韓国・釜山でのロケでは、地元の市場でスタッフとともに食器を調達するなど、現場の雰囲気を大切にしながら準備を進めたのだとか。物語の中では、松重豊さん演じる主人公が自分で食材を調達して料理する場面があるそうですが、現地での食材の入手が難しく、試行錯誤を重ねたのだとか。そんな努力の甲斐もあり、松重監督が今回の映画での「忘れられない味」として、数々のインタビューで「飯島さんのご飯」をあげるほどとなっています。
CMと映画の違い
飯島さんは映画やドラマだけでなく、多くのCMも手掛けてきました。特に東京ガスのテレビCMシリーズでは、「短い秒数で視覚的にわかりやすく美味しさを伝える」という課題に応え続けてきました。飯島さんはCMを「俳句のように削ぎ落とされた美」と表現。一方で映画では、物語の一部として料理がじっくり映されるため、違った表現の楽しさがあると語ります。
「フードスタイリストに特別な資格は必要ありませんが、料理を通じた表現力が求められます」と語る飯島さん。そのクリエイティビティと情熱は、料理を超えて作品全体に生命を吹き込んでいるようです。