石川直樹さんが今もフィルムカメラを使う理由(2021/01/30 放送)
先週に引き続き、今週も写真家の石川直樹さんをお迎えしました。
世界中を旅しながら写真を撮っている石川さん。今もデジカメではなく、ちょっと大きめの、フィルムを使う中判カメラを愛用していて、北極やヒマラヤといった場所でもすべてフィルムで撮影しているんだとか。
「突き詰めていくと、フィルムじゃなくてもいいのかな?ってちょっと揺らぐ時もあるんですけど。でも、僕の使ってるカメラって1本のフィルムで10枚しか撮れないやつで、その不自由さの中で一期一会のものをきちんと写しとどめよう、みたいな気持ちがやっぱりあって」
「なんでも自由だよ、なんでもできるよ、って言われちゃうと、なんかこう、あんまりできなかったりして。でも、凄い制限があるとその中でこれを飛び越える何かをできるかもしれない…って人間誰しも思うと思うんですけど、僕の場合は、写真だとそういう感じがしてるんですよ」
「フィルムの話で言うと、10枚しか撮れないから、例えば目をつぶっちゃってるかもしれないからもう1回撮って、左からも撮って、右からも撮って…みたいな、念の為もう1回撮っておこう、みたいな撮り方が一切できなくなるので。同じカットで多くても2枚ぐらいしか撮れないので、ホントに一期一会ですよね。間違ったら消すとかそういう感覚もないので、ホントに生きてることと一緒っていうか。失敗したら消しましょう、みたいなことができないっていうかね」
「それが、自分の写真の、自分だけが撮れるものになっていく一つの要素だと思うんです。デジカメで持ち上げて撮っていくことも可能なんですけど、そこにフィルムカメラを持っていくっていうのは世界を見渡してもほとんどいないので、これが石川の写真だぞ、っていうふうになっていけばいいなと」
フィルムカメラには、かさばるというデメリットもあるそうです。
「(デジカメに)SDカードとか凄く容量の大きいのを入れたら、何千枚、何万枚って撮れるんですけど、フィルムはね、数十本持っていくだけでもかさばるしね。特に山なんて、数グラム軽くしていきたいっていうか、ホントにお菓子の包み紙とかも取っていくような世界なのに、わざわざフィルムなんて持っていく人はそれこそちょっと(恵さんが言うように)Mっぽいですよね」
そして、石川さんは山に登る前の荷造りについてこう話してくれました。
「やっぱり重さって苦しさに直結してくるんで。あと、暑い寒いも、寒さとかだって苦しさに直結してくるんで、ちゃんと装備は選ばなきゃいけないし、その辺はきちんと考えて選んでいきます」
「旅する直前にパッキングする時間っていうのが結構つらくて。これを省いてこれを持っていこうとか、でもこれを間違えちゃうと、現地では何も手に入らないから絶対に間違えられないとか、忘れ物はできないとか。そういういろんなプレッシャーの中でパッキングをひたすらしていくっていうのが、実は一番つらい作業かもしれないです」
ちなみに、石川さんがヒマラヤに行く時は、2ヶ月半ぐらいのスケジュールで、パンツは3〜4枚持って行くんだとか。
「もちろんずっと着続けてるわけじゃないですよ(笑)。洗濯をよくしますんで。氷河が解けた水とかでゴシゴシして、テントの外にベチョって置いとくだけですぐ乾くんですよ、ぜんぜん湿度がないから。だから3〜4枚をずっと着ては洗い、着ては洗い…って。でもまぁ、1週間ぐらいは着ちゃうかもしれないですけどね」
「パンツを10枚、20枚持っていくんだったら、その分なにか食べ物を持っていった方がいいですから」
「そう考えると、たしかにフィルムをあんなにいっぱい持っていくのはちょっとおかしい気もしますけど、それがまぁ自分ならでは、でしょうね。他の人はまったく持っていかないですからね」
昨年末に発売となった石川さんの最新著書『地上に星座を作る』。この本にも書かれていますが、石川さんは東日本大震後に何度も岩手県の宮古市に通っていて、高校の写真部の生徒に写真を教えてきたそうです。
「ホントにシャッターを人差し指で切るだけで写真って撮れちゃいますから、撮り方を教えるっていうよりは、写真で何ができるのか?とか、写真っていうのはどういうことなのか?みたいなことを考えるワークショップですね」
ちなみに、「高校三年生が人生の中で最も賢く、世の中を冷静に見ている」というのが石川さんの持論なんだとか。
「なんていうか、まだ社会に揉まれてなくて、純粋な部分があって。そこまで打算的にもなってないし、純粋な部分を残しながら未来のことを考えて、自分はどうなっちゃうんだろう?ってずっと考え続けている、それのピークが17歳とか18歳ぐらいだったなって自分では思っていて。なので、高校生とかに向けてトークイベントとか講演会をする時が、一番緊張するっていうか、一番気合が入りますね」
「大人とかよりも全然、高校生にはきちんと、ちゃんと話さなきゃなっていう気持ちが凄く強いです」
世界中を旅しながら写真を撮っている石川さん。今もデジカメではなく、ちょっと大きめの、フィルムを使う中判カメラを愛用していて、北極やヒマラヤといった場所でもすべてフィルムで撮影しているんだとか。
「突き詰めていくと、フィルムじゃなくてもいいのかな?ってちょっと揺らぐ時もあるんですけど。でも、僕の使ってるカメラって1本のフィルムで10枚しか撮れないやつで、その不自由さの中で一期一会のものをきちんと写しとどめよう、みたいな気持ちがやっぱりあって」
「なんでも自由だよ、なんでもできるよ、って言われちゃうと、なんかこう、あんまりできなかったりして。でも、凄い制限があるとその中でこれを飛び越える何かをできるかもしれない…って人間誰しも思うと思うんですけど、僕の場合は、写真だとそういう感じがしてるんですよ」
「フィルムの話で言うと、10枚しか撮れないから、例えば目をつぶっちゃってるかもしれないからもう1回撮って、左からも撮って、右からも撮って…みたいな、念の為もう1回撮っておこう、みたいな撮り方が一切できなくなるので。同じカットで多くても2枚ぐらいしか撮れないので、ホントに一期一会ですよね。間違ったら消すとかそういう感覚もないので、ホントに生きてることと一緒っていうか。失敗したら消しましょう、みたいなことができないっていうかね」
「それが、自分の写真の、自分だけが撮れるものになっていく一つの要素だと思うんです。デジカメで持ち上げて撮っていくことも可能なんですけど、そこにフィルムカメラを持っていくっていうのは世界を見渡してもほとんどいないので、これが石川の写真だぞ、っていうふうになっていけばいいなと」
フィルムカメラには、かさばるというデメリットもあるそうです。
「(デジカメに)SDカードとか凄く容量の大きいのを入れたら、何千枚、何万枚って撮れるんですけど、フィルムはね、数十本持っていくだけでもかさばるしね。特に山なんて、数グラム軽くしていきたいっていうか、ホントにお菓子の包み紙とかも取っていくような世界なのに、わざわざフィルムなんて持っていく人はそれこそちょっと(恵さんが言うように)Mっぽいですよね」
そして、石川さんは山に登る前の荷造りについてこう話してくれました。
「やっぱり重さって苦しさに直結してくるんで。あと、暑い寒いも、寒さとかだって苦しさに直結してくるんで、ちゃんと装備は選ばなきゃいけないし、その辺はきちんと考えて選んでいきます」
「旅する直前にパッキングする時間っていうのが結構つらくて。これを省いてこれを持っていこうとか、でもこれを間違えちゃうと、現地では何も手に入らないから絶対に間違えられないとか、忘れ物はできないとか。そういういろんなプレッシャーの中でパッキングをひたすらしていくっていうのが、実は一番つらい作業かもしれないです」
ちなみに、石川さんがヒマラヤに行く時は、2ヶ月半ぐらいのスケジュールで、パンツは3〜4枚持って行くんだとか。
「もちろんずっと着続けてるわけじゃないですよ(笑)。洗濯をよくしますんで。氷河が解けた水とかでゴシゴシして、テントの外にベチョって置いとくだけですぐ乾くんですよ、ぜんぜん湿度がないから。だから3〜4枚をずっと着ては洗い、着ては洗い…って。でもまぁ、1週間ぐらいは着ちゃうかもしれないですけどね」
「パンツを10枚、20枚持っていくんだったら、その分なにか食べ物を持っていった方がいいですから」
「そう考えると、たしかにフィルムをあんなにいっぱい持っていくのはちょっとおかしい気もしますけど、それがまぁ自分ならでは、でしょうね。他の人はまったく持っていかないですからね」
昨年末に発売となった石川さんの最新著書『地上に星座を作る』。この本にも書かれていますが、石川さんは東日本大震後に何度も岩手県の宮古市に通っていて、高校の写真部の生徒に写真を教えてきたそうです。
「ホントにシャッターを人差し指で切るだけで写真って撮れちゃいますから、撮り方を教えるっていうよりは、写真で何ができるのか?とか、写真っていうのはどういうことなのか?みたいなことを考えるワークショップですね」
ちなみに、「高校三年生が人生の中で最も賢く、世の中を冷静に見ている」というのが石川さんの持論なんだとか。
「なんていうか、まだ社会に揉まれてなくて、純粋な部分があって。そこまで打算的にもなってないし、純粋な部分を残しながら未来のことを考えて、自分はどうなっちゃうんだろう?ってずっと考え続けている、それのピークが17歳とか18歳ぐらいだったなって自分では思っていて。なので、高校生とかに向けてトークイベントとか講演会をする時が、一番緊張するっていうか、一番気合が入りますね」
「大人とかよりも全然、高校生にはきちんと、ちゃんと話さなきゃなっていう気持ちが凄く強いです」
最近は、コロナ禍でなかなか遠出ができないという石川さん。昨年は渋谷の街に通って、大発生しているネズミを撮影したりしていたそうです。一方、石川さんが何度も通っているヒマラヤでは、コロナによる意外な影響もあったとか。
「ネパールのカトマンズってメチャメチャ排気ガスとかが酷くて。山の近くにありながら、空とかいっつも濁ってるんですよね。で、ネパールっていうのはエベレストを有する国ですけど、カトマンズからエベレストなんて当然見えなかったんですよ」
「でも、コロナ禍で車とかの制限があってから、空気がキレイになって。なんとカトマンズからエベレストが見えちゃったりとか、ヒマラヤ山脈の白い峰々が見えちゃったり…っていうようなことを、ネパールの友人が写真を送ってくれるんですけど、それは凄くビックリしました」
「ホントに写真撮りたくなるし、そんなキレイなカトマンズだったら長くいてもいいな、みたいな感じでね。いつも旅への思いをくすぐられますけどね」
未知のものに出会うのが旅の醍醐味だという石川さんは、コロナ禍についてこんなこともおっしゃっていました。
「なにも遠い場所に行かなくても身近なところにも未知の世界は広がっているし、いろんな発見があるんじゃないか、っていうふうに、コロナになる前からなんとなくは思ってたんですけど、旅の連続で仕事も忙しかったりすると、そういう身の回りのことに目をもう1回向ける時間がなかったんですよね」
「でも今回、海外に行けなくなって。で、例えば、自分の家の近くの渋谷っていう街に行ってみたり、あるいは自分の家の周りで散歩しながら写真を撮ったりすることは、自分の人生の中でけっこう大切な時期だったんじゃないかな、とは思ってますけどね。ま、まだ続いてますけれども」
最後に、石川さんはご自身にとっての挑戦についてこう話してくれました。
「難しいですね…。やっぱり、自分が知ってる範囲を一歩踏み出して未知のものに出会う、っていうことがすべて挑戦だと思いますね。それはちょっと不安で怖いことでもあるんですけど、そこから何か新しい道が切り開けるんじゃないかと思ってるので、未知の世界に出会うこと、それはすべて挑戦だと思います」
番組では、そんな石川さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「石川直樹さんの色紙希望」と書いてご応募ください!