元Jリーガーの鈴木啓太さんが腸内細菌を研究する会社を作ったわけ(2020/06/13 放送)
今週は、元プロサッカー選手の鈴木啓太さんにリモート収録でお話を伺いました。
Jリーグの浦和レッズや日本代表で活躍し、2015年にはアスリートの腸内細菌を研究する会社『AuB(オーブ)』を設立した鈴木さん。アスリートの腸内細菌の研究をしようと思ったきっかけについてこう話してくれました。
「まず、誰もやってない、ってことが一つなんですけれども、その前に僕自身が、子供の頃から母親の教育で腸というものに非常に注目していたことがあって。自分の実体験として、選手の時にお腹のコンディションと自分のパフォーマンスみたいなものが結びついてるなっていうことを感じていて、これはもっと色々と調べたら面白いなと」
「技術的な進歩っていうものもあって、ここ最近、簡易的に腸内細菌を調べることができるようになってきたんですね。じゃあ、民間でも自分たちで調べることができるんだったら、アスリートの腸内細菌を調べたら面白いことがわかるんじゃないかな?っていう。やりたい!っていう気持ちで始めたっていう感じですね」
ところが、鈴木さんのこの挑戦はいろんな人から「やめとけ」と言われたそうです。
「研究開発型のベンチャーですし、医学的なところなので、非常に難しいし、非常にお金がかかるって言われたんですよ」
「絶対に無理だからって言われたんですけど、無理って誰が決めたんだろうなって」「あとはアスリートのそういうものだったら僕だったら集められるかもしれないって思ったんですよ」
腸内細菌を調べるために必要なのは、鈴木さんが言うところの“茶色いダイアモンド”、つまりはウンチ。鈴木さんは、第1号となったラグビーの松島幸太朗選手をはじめ、これまでに約700人のアスリートの“茶色いダイアモンド”を集めたそうですが、その思いを理解してもらうのは大変なんだとか。
「選手に欲しいっていうお話をしても、え?何に使うんですか?って言われるわけですよ(笑)。けっこう大変で、まずは選手にしっかり話したり、あとはトレーナーさんにお話させて頂いたり」
「最初はたぶん僕が冗談で言ってると思うわけですよ」「ご飯食べてる時にも言いますし、練習場に行って、ください…って(笑)」
「恥ずかしいとか言いにくいとかはあんまりないですね。だって、必ずこういうふうな未来が待ってるって僕は信じているので、そのために僕が少し変な目で見られてもあんまり問題ないかなと(笑)」
会社を立ち上げる時に、腸内細菌の研究で必ず世の中の人の健康に貢献できると思ったという鈴木さん。AuB(オーブ)では“茶色いダイアモンド”を提供してくれたアスリートに研究結果のフィードバックを行っているそうです。
「(腸内細菌の)全体的なバランスを見ることであったり、アスリート特有の菌を発見したり。生活習慣とか運動とかそういったことで腸内細菌のいろんな変化が起きるので、それをコンディショニングに活かしてもらいたいなと思ってサポートしているという感じですね」
また、鈴木さんは“茶色いダイアモンド”についてこんなこともおっしゃっていました。
「何を食べるとか、それはたしかにいいんですけど、出た結果がどうだったのか?っていうことを僕は見てもらいたいので。いいウンチが出た前日どんな食事をしてたのかな?とか、そこが大事ですから」
「バロメーターなんですよね。一番最初の健康法。だって、(赤ちゃんが)生まれてから母親は絶対に便を見て…でも、いつしか便を見なくなるんですよ。それが問題なんですよね。だから(便は)自分の成績表。便って便り(たより)って書くので、自分からの便りです」
鈴木啓太さんは、1981年7月8日生まれの現在38歳。サッカーが盛んな静岡県 静岡市 清水区(旧清水市)の出身で、幼稚園の頃からプロのサッカー選手になると決めていたとか。
「生まれた時からサッカーボールがベッドの脇に置いてある、みたいな。そんな地域ですよね」
そして、中学時代には東海大一中の一員として全国中学校サッカー大会で優勝します。
「僕は試合に出てたりしましたけど、僕より上手い選手はいっぱいいたので…」「(プロに)なるって決めてただけです」「高校2年生から3年生ぐらいでスカウトの人に声をかけられた時に、もしかしたらホントになれるかもしれないなと思いましたけど…」
ちなみに、東海大翔洋高校では県大会のベスト4止まりだったそうですが、プロになるのを諦めたことはなかったとか。
「例えば、そこでプロになれなかったとしても大学行ってプロになればいいやって思っていたので。諦めるっていうのが僕の中ではわからないというか、やりたいことをやるだけなので」
「世界で一人しかなれない職業だったら、その人がいなくなるまでなれないじゃないですか。でも、サッカー選手って世界にたくさんいると思いますし。例えば、Jリーグに入れなかったとしても、サッカーを続けながらプロサッカー選手を目指すっていうことはできますよね。で、最後まで諦めずにやった結果、ホントに無理だった…ってなった時に、でもそれは凄く楽しい時間を過ごしてると思うので」
「諦めるのは最後の最後かなって思っちゃいますよね」
「例えばですけど、子供って、何も知らなければ母親が台所で包丁持ってトントンやってるとしたらそれをやるじゃないですか。要するに自分ができないって思わないわけですよ。できると思うんですよ。でもそれをできないっていうのは周りなんですよ」
「(できるかできないかを決めるのは自分)だと僕は思ってるので」
高校卒業後の2000年にJリーグの浦和レッズに入団し、16年間レッズ一筋で活躍した鈴木さん。これまでの挑戦を支えてきた考え方についてこう話してくれました。
「頭がいいんですよ、みなさん。頭がいいからいろんな計算をすると思うんですよ。情報もインプットできちゃうし。でも僕はけっこう忘れっぽかったり…。いつも会社の人に怒られるんですけど。だから、忘れられるっていうのはいいのかなって僕は思っていて(笑)。人から言われて、ああ駄目だなって思うこともたくさんありますし、落ち込むことも山ほどありますけど。でも(朝)起きた時に、…やりたい!って思うんですよ」
「足りないって感じるってことは、それを知ればそれを補うことができる、成長できる、頑張れば。僕の中では、できないこととか人に駄目だよって言われたことは、これができるようになったら自分が成長したなって言えると思うので。だからできないことはたくさんあった方がいいんですよ。その方が人生楽しいじゃないですか。できることがたくさんあって」
来週も引き続き、鈴木啓太さんにお話を伺います!