角松敏生さんが語るセルフカバーの難しさ(2017/06/10 放送)
今週は、ミュージシャンの角松敏生さんをお迎えしました。
去年でデビュー35周年を迎え、デビューアルバムのリメイク盤『SEA BREEZE 2016』を発表した角松さん。先月5月10日には、30年前に出たアルバム『SEA IS A LADY』をリメイクしたアルバム『SEA IS A LADY 2017』をリリースしました。
アマチュア時代に腕試しでコンテストなどに出ているうちに声がかかり、デビューした角松さんですが、最初の2枚のアルバムはすべて自分の曲ではあったものの、制作のイニシアチブを握れず、セールスも芳しくなかったとか。
しかし、事務所を移籍してセルフ・プロデュースで作った3枚目のアルバムがヒット。最初の所属事務所は「政治やお金を使ってでもとにかく売る」スタイルの“ザ・芸能系”だったそうですが、次に入ったのは「音楽のことはわからないからお前に任せる」と言ってくれる事務所で、そこから角松さんのやりたいことができる環境になったようです。
今回リメイクした『SEA IS A LADY』は87年にリリースした初のインストゥルメンタル・アルバム。当時すでに歌で成功していた角松さんでしたが、ギターを弾くのも好きで、ギターだけのアルバムを作ろうとチャレンジしたのがこの作品だったそう。しかし、今回リメイクしたことからも想像できる通り、角松さん本人はこのアルバムの出来に心残りがあったようです。
「ギタリストとして、自分はすごくスキルがあって自信があって一家言あるからギターのアルバムを作りましたということよりも、ギターが好きだからギターはいいとこ取りで弾きゃあいいと思ったわけですよ。もちろん作曲とかアレンジは自分がやりますけど、それで凄いスタジオ・ミュージシャンたちを呼んできて、僕はそこの上に乗っかってちょこんとギターを弾くのはまぁ適当でいいわ。ある程度美味しいどころ取りでいいか、みたいな」
87年当時、フュージョンと呼ばれるインストゥルメンタル音楽のブームはすでに下火だったそうですが、『SEA IS A LADY』は予想外に(?)ヒットし、角松さんは「マズイ」と思ったそうです。
「ギターでずっと飯を食ってきた人とそうじゃない美味しいどころ取りには大きな違いがあるわけです。だからそういった意味で、これじゃいかん!とその2年後にもう1枚インスト・アルバムを出して。1枚目でゴメン申し訳ないって思ったところを全部自分の中で修正して…」
そして、そんな気持ちが今回の『SEA IS A LADY 2017』に繋がるわけですが、角松さんは一度世に出した作品を作り直すことの難しさをこんなふうに語ってくれました。
去年でデビュー35周年を迎え、デビューアルバムのリメイク盤『SEA BREEZE 2016』を発表した角松さん。先月5月10日には、30年前に出たアルバム『SEA IS A LADY』をリメイクしたアルバム『SEA IS A LADY 2017』をリリースしました。
アマチュア時代に腕試しでコンテストなどに出ているうちに声がかかり、デビューした角松さんですが、最初の2枚のアルバムはすべて自分の曲ではあったものの、制作のイニシアチブを握れず、セールスも芳しくなかったとか。
しかし、事務所を移籍してセルフ・プロデュースで作った3枚目のアルバムがヒット。最初の所属事務所は「政治やお金を使ってでもとにかく売る」スタイルの“ザ・芸能系”だったそうですが、次に入ったのは「音楽のことはわからないからお前に任せる」と言ってくれる事務所で、そこから角松さんのやりたいことができる環境になったようです。
今回リメイクした『SEA IS A LADY』は87年にリリースした初のインストゥルメンタル・アルバム。当時すでに歌で成功していた角松さんでしたが、ギターを弾くのも好きで、ギターだけのアルバムを作ろうとチャレンジしたのがこの作品だったそう。しかし、今回リメイクしたことからも想像できる通り、角松さん本人はこのアルバムの出来に心残りがあったようです。
「ギタリストとして、自分はすごくスキルがあって自信があって一家言あるからギターのアルバムを作りましたということよりも、ギターが好きだからギターはいいとこ取りで弾きゃあいいと思ったわけですよ。もちろん作曲とかアレンジは自分がやりますけど、それで凄いスタジオ・ミュージシャンたちを呼んできて、僕はそこの上に乗っかってちょこんとギターを弾くのはまぁ適当でいいわ。ある程度美味しいどころ取りでいいか、みたいな」
87年当時、フュージョンと呼ばれるインストゥルメンタル音楽のブームはすでに下火だったそうですが、『SEA IS A LADY』は予想外に(?)ヒットし、角松さんは「マズイ」と思ったそうです。
「ギターでずっと飯を食ってきた人とそうじゃない美味しいどころ取りには大きな違いがあるわけです。だからそういった意味で、これじゃいかん!とその2年後にもう1枚インスト・アルバムを出して。1枚目でゴメン申し訳ないって思ったところを全部自分の中で修正して…」
そして、そんな気持ちが今回の『SEA IS A LADY 2017』に繋がるわけですが、角松さんは一度世に出した作品を作り直すことの難しさをこんなふうに語ってくれました。
「“おふくろの味”って、思い出っていうマジックスパイスがかかってるからどんな有名シェフがやっても超えられない、なんてよく言うじゃないですか。音楽もそうなんです。その時、隣に彼女がいたとか、年齢がどうだったとか、夏だったとか冬だったとか、そういうバイブレーションが全部揃ってその曲を好きになってるから、その当時の思い出の音楽ってキラキラしてるんですよ、その人にとって。これもそうなんです」
「そういう人たちに対して、ゴメンこれあんまり良くなかったんでやり直させてくれ、つったらムッとするじゃないですか、きっと。だから、それを超えるっていうのはなまじっかな所作じゃないんですよ。だから、僕はこういったセルフカバーものっていうのは伊達や酔狂ではやらないんです。やっぱり昔の方が良かったって言われるとイヤじゃないですか。今の自分を否定されてるみたいな」
そんな覚悟を持ってチャレンジした『SEA IS A LADY 2017』。昔からのファンもおおむね気に入ってくれているそうで、「カバーというより新譜を聴くような気持ちです」と言ってくれる方も多いとおっしゃっていました。
「これはある意味、その時代に対しての愛情もあって。で、50才になった自分が今この作品を聴いて、その人たちも聴いて良いと思えるのはその人たちがまだイケてるってことだよって」
グループサウンズ世代でずっと音楽をやっていた8才年上のお兄さんの影響で音楽を始めたという角松さん。デビューしてからも音楽で食べていこうという気持ちはあまりなかったそうで、こんなことをおっしゃっていました。
「楽しかったですけど、自分の中では懐疑的でしたね。“アマチュア・レベルで音楽のことをよく知ってるうるさ型のファン”みたいになりたかったんですよ、僕。今、僕から見たら一番イヤなタイプのファンになりたかったんです(笑)。外側からガーガーガーガー言ってくるだけの人が良かったですけどね。自分が言われる立場になるとは思わなかった」
ちなみに、かなりモテそうな角松さんですが、少なくとも大学時代はそうではなかったとか。
「高校時代がわりと校則が厳しくて、髪の毛を伸ばせない。音楽やってますから長髪に憧れるじゃないですか。大学に入ったら校則がなくなるんで、大学に入った瞬間に何をしたかというと髪を伸ばしてちょっと染めたいっていうのがあったですね」
「で、髪の毛をバーンと伸ばして、カミソリのイヤリングかなんかしてロンドンブーツはいて学校行ってましたけど、当時はもうサーファー、JJの時代ですから、そんなファッションしてたら馬鹿じゃないの?っていう。でも、僕は高校時代のウサをそこで晴らしてるわけですよ。音楽はわりとお洒落なAORだとかジャズだとかフュージョンとかを聴いてるんですけど、いでたちはそれなんですよ。だから、時代的にまったくウケなかったです。プライベートは物凄く垢抜けない人でした」
「ファンの人たちとかが、角松さん絶対にポルシェに乗ってると思ってた、って言うけど、親父のブルーバードに乗ってましたよ。車を買ったのはいつだろうな。86,7年ぐらいだったかな、自分で買えるようになったのは」
↓こちらがニューアルバム『SEA IS A LADY 2017』
来週も引き続き、角松敏生さんをお迎えしておおくりします。お楽しみに!