イサムノグチが愛した名店「まいまい亭」でいただく、讃岐の伝統料理「川魚のひらら煮」。
琴電瓦町駅から、商店街をのんびり歩くこと、およそ10分。屋根付きのアーケード商店街も終わり、「まだかな……」とちょっぴり心配になる頃、左手に「まいまい亭」のネオンが現れます。「風土料理」と書かれていますが、その通り、香川県そして瀬戸内の「気候や風土、自然」をいただく日本料理の店です。
ここは、世界的な芸術家、イサムノグチが愛し通った店。入り口のこの石畳も、イサムノグチの手によるもの! 店内奥の炉も、入ってすぐ目に入る大きく美しいカウンターも、イサムノグチが制作したもの。照明はもちろん、イサムノグチの「AKARI」。奥のテーブル席の壁にかけられている絵は、猪熊弦一郎の絵と、川島猛の絵。そのテーブルは、小西清が手がけたもの。
こちらが、今回の「旅めし!」です。
「まいまい亭」名物で、讃岐の伝統的な郷土料理、「川魚のひらら煮」。3日間かけてトロ火で炊かれた、おいしい、そして美しい川魚料理。頭の先から尾の先っぽまで、すべてとろとろ……ぜんぶいただけます。寡黙な店主で料理人、松岡柳士さんが、こう語ります、「イサムノグチ先生の好物で、高松にお帰りになるたびに召し上がっていました。飽きませんか?とお訊ねすると、『これを食べると讃岐に帰ってきたような気がする』とおっしゃってくれました」
こちらも名物料理、そして、香川県民ならみんな知っている伝統料理のひとつ、「しょうゆ豆」。この「しょうゆ豆」は、居酒屋から小料理屋まで、いろんな店で食べることができますが、「まいまい亭」の「しょうゆ豆」は、味わいも、歯ごたえも、違います。
店主、料理人、松岡柳士さん。
15歳で料理の道に入った松岡さん。平安時代に紀元を持つと言われる生間流式包丁の作法を修め、その後、讃岐の伝統料理の店を開きました。「この土地に伝わってきた食文化を後世に伝えたい」という思いが松岡さんにはありました。「海川の幸が287種、山里の恵みは622種。豊かな食材・素材と歴史の中で育まれた数多の料理が、ここ香川県にはあるんです。ところが今は、讃岐と言えば誰もがうどんと思っている。残念です」。松岡柳士さんのような料理人は、もういないのかもしれません。ここで守られてきた讃岐の伝統料理が、受け継がれていくことを願います。
カウンターの中のキッチンで、「ひらら煮」の仕込みをする松岡さん。ひらら煮は、鮎やアマゴなど、川魚を、かまどや囲炉裏の残り火で時間をかけて炊いていたことが始まりだとか。時間をかけることで、味が深く全体に染みいり、骨まで柔らかくなるそうです。とれた魚を無駄なくすべて食べるのは、森羅万象、あらゆるいのちへのリスペクト。冷蔵庫などなかった時代に、先人の知恵が生んだ保存食なのです。
イサムノグチ制作のカウンター。ここで讃岐伝統料理をいただける贅沢と至福。
店内のあちこちに、幾人もの芸術家たちの作品が何気なく飾られています。皆さん、この店の常連さんたちでした。
店主の松岡柳士さん、女将の久二子さんご夫妻。カウンターでいただくとき、久二子さんとのおしゃべりも楽しいです。いろんなことを教えてくれます。日本酒やワインを呑みながら、のんびりしたい、素敵なお店です。ちなみに、「まいまい亭」の「まいまい」とは、「てんてこまい」の方言なんだとか。いつも何かお仕事をされている料理人の松岡さんは「まいまい」されていますが(笑)、訪れた人たちはのんびりくつろげる、豊かな時間が流れるお店です。
ここは、世界的な芸術家、イサムノグチが愛し通った店。入り口のこの石畳も、イサムノグチの手によるもの! 店内奥の炉も、入ってすぐ目に入る大きく美しいカウンターも、イサムノグチが制作したもの。照明はもちろん、イサムノグチの「AKARI」。奥のテーブル席の壁にかけられている絵は、猪熊弦一郎の絵と、川島猛の絵。そのテーブルは、小西清が手がけたもの。
こちらが、今回の「旅めし!」です。
「まいまい亭」名物で、讃岐の伝統的な郷土料理、「川魚のひらら煮」。3日間かけてトロ火で炊かれた、おいしい、そして美しい川魚料理。頭の先から尾の先っぽまで、すべてとろとろ……ぜんぶいただけます。寡黙な店主で料理人、松岡柳士さんが、こう語ります、「イサムノグチ先生の好物で、高松にお帰りになるたびに召し上がっていました。飽きませんか?とお訊ねすると、『これを食べると讃岐に帰ってきたような気がする』とおっしゃってくれました」
こちらも名物料理、そして、香川県民ならみんな知っている伝統料理のひとつ、「しょうゆ豆」。この「しょうゆ豆」は、居酒屋から小料理屋まで、いろんな店で食べることができますが、「まいまい亭」の「しょうゆ豆」は、味わいも、歯ごたえも、違います。
店主、料理人、松岡柳士さん。
15歳で料理の道に入った松岡さん。平安時代に紀元を持つと言われる生間流式包丁の作法を修め、その後、讃岐の伝統料理の店を開きました。「この土地に伝わってきた食文化を後世に伝えたい」という思いが松岡さんにはありました。「海川の幸が287種、山里の恵みは622種。豊かな食材・素材と歴史の中で育まれた数多の料理が、ここ香川県にはあるんです。ところが今は、讃岐と言えば誰もがうどんと思っている。残念です」。松岡柳士さんのような料理人は、もういないのかもしれません。ここで守られてきた讃岐の伝統料理が、受け継がれていくことを願います。
カウンターの中のキッチンで、「ひらら煮」の仕込みをする松岡さん。ひらら煮は、鮎やアマゴなど、川魚を、かまどや囲炉裏の残り火で時間をかけて炊いていたことが始まりだとか。時間をかけることで、味が深く全体に染みいり、骨まで柔らかくなるそうです。とれた魚を無駄なくすべて食べるのは、森羅万象、あらゆるいのちへのリスペクト。冷蔵庫などなかった時代に、先人の知恵が生んだ保存食なのです。
イサムノグチ制作のカウンター。ここで讃岐伝統料理をいただける贅沢と至福。
店内のあちこちに、幾人もの芸術家たちの作品が何気なく飾られています。皆さん、この店の常連さんたちでした。
店主の松岡柳士さん、女将の久二子さんご夫妻。カウンターでいただくとき、久二子さんとのおしゃべりも楽しいです。いろんなことを教えてくれます。日本酒やワインを呑みながら、のんびりしたい、素敵なお店です。ちなみに、「まいまい亭」の「まいまい」とは、「てんてこまい」の方言なんだとか。いつも何かお仕事をされている料理人の松岡さんは「まいまい」されていますが(笑)、訪れた人たちはのんびりくつろげる、豊かな時間が流れるお店です。