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文学史の授業でしかお目にかかったことのない徳田秋声でしたが、こんなに味わい深い作品を残した人だったとは!東京から別荘に帰る、その船の中の情景を綴っただけの話なのですが、人間の中にある矛盾、複雑さ、哀しみがひしひしと伝わってくる名短編です。最初はちょっと笑ってしまう存在だった老婆も、その必死さの奥でどんな人生を歩んできたのか想像すると全く違う人物に見えてくるから不思議。自然のまま、ありのままを描くという自然主義ですが、日常のどこにスポットライトを当てて読者に深読みさせるか・・・それが作家の腕の見せどころなのだなぁと感じ入りました。田山花袋の『蒲団』といい、この『夜航船』といい、好きだなぁ自然主義文学っ!!
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!

2021年11月28日
「芭蕉全句集(秋・冬)」
2021年11月21日
E.L.カニグズバーグ「クローディアの秘密」
2021年11月14日
ドストエフスキー「おかしな人間の夢」
2021年11月07日
金井美恵子「兎」

アーカイブ
暗いはしけ/アマリア・ロドリゲス
主人公たちは、霊雁島からはしけに乗り、夜航船に乗り込みます。「暗いはしけ」は、ポルトガル、ファドのアマリア・ロドリゲスの代表曲です。
MOON RIVER/氣志團
房総に向かう夜航船ということで、木更津出身の氣志團の曲を。
 
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