この番組では毎年恒例、戦争文学を読む季節が今年もやってきました。今回は「原爆を爆心地から近い場所で体験」した、まさに当事者が書いた作品。小川さんもその成り立ちを、「なかなかない貴重な文学ですね」と神妙な面持ちで指摘していました。大袈裟な心理描写などが一切ない極めてシンプルな文章。だからこそ原爆の現実が凄惨すぎて、辛く、やるせない気持ちになりました。最後もなんとも言えない不思議な終わり方。恐ろしい出来事が無限ループのように続くようでぞっとします。終戦を迎えたからといって戦争は終わったわけではない。爪痕の深さを原民喜が示しているような、印象深いラストでした。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!)
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