父からは仕事を言い訳に無視、義母からは彼女の存在意義のためだけに厳しい躾を押し付けられ、先生である山口からは父親とのパイプくらいにしか思われていない孤独な少年・太郎。それに比べて語り手である画塾の講師は、太郎の心をなんとか開こうと必死で向き合い、誠実で、「こんな先生に美術を習いたかった」と思うほど理想的な教育者に思えます。しかししかし!最後の最後に画壇に対する怒りの武器として太郎の絵を使ったところで私は一気にドッ白け。結局主人公も美術という世界で、相手より自分の方が賢いとマウンティングしているだけのように思えました。裸の王様なのは太郎の父、山口、そして主人公も…。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!)
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