言語学者だったトールキン。下巻ではビルボが竜に乗っ取られた山の底根に足を踏み入れた際、「(ビルボの驚愕を)エルフから教わった言葉を人間が下手に作り変えたせいで言い表せなくなった」と表現するところなどに“言語学者らしさ”が現れていました。しかし竜を退治してめでたしめでたしとならないのがこの物語の深いトコロ。結局この世で一番恐ろしいのは「怪物」でも「闇」でもなく、「欲」であるという哲学的な結末が用意されていました。欲に飲み込まれていく多数の登場人物たちに対して清貧を貫いたビルボ。この結末、読者である子どもたちはどういう風に受け止めるのでしょうか。あ〜、自分が子どもの頃読まなかったことが本当に悔しいですっ!
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