誰も足を踏み入れていない一面の雪景色のような、汚れのない清らかな『おわりの雪』の世界。今の季節に読むのがぴったりの、冬が似合いすぎる物語でした。少年の成長物語×鳥×犬という小川さんのお好きなものが満載の小説。主人公の少年に小川さんは「人の心がわかりすぎる優しさ」と「物語を作れる文学的才能」を見出していました。全体的にせつないトーンのお話で、読み終えると少年のこの後の幸せを祈らずにはいられないのですが、「この優しさと文学的センスがあれば、この後彼はきっと幸せになれるのでは」と小川さん。ラストに出てくる長靴が、新しい世界に踏み出していく希望のシンボルに思えるそうです。
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