英国5月の美しい田園風景。それを脳裏に映し出す格調高い叙情的な文章にうっとりしたまま最終ページまで行き着いたのですが、「いやいやちょっと待って。今、史上最低なダメ男が登場しなかった?」そうなのです!あまりに素敵な文章なので目眩ましの術をかけられてしまいましたが、主人公は純真素朴な田舎の女の子に恋をし、プロポーズまでして本気にさせたところで「やっぱり俺、上流社会が居場所だわ」とあっさり女の子を捨てるという酷い男。しかもその後四半世紀その女の子のことをキレイさっぱり忘れていたダメ男なのです。そんな酷さも包み隠してしまうゴールズワージーの素晴らしい表現力。ノーベル文学賞受賞者の筆の凄さを味わえます。
(アシスタント:藤丸由華/藤丸のブログはこちら!) |