富士山の麓での暮らしを13年綴った「富士日記」。作者は武田百合子さん・・・ではありますが、日によって夫の武田泰淳さん、娘の花さんも筆を入れていて、武田家の楽しげな日常を伺い知ることができる作品です。中でも百合子さん、泰淳さんのやりとり(喧嘩を含め)はコミカルかつ愛情深く、硝子磨きをしているとついついある話を繰り返ししてしまう百合子さんに『その話は何回も聞いたけど、しゃべりたけりゃしゃべればいいさ』と応じる泰淳さんには、素敵な夫婦愛を見ました。蛇を咥えた猫を見て、『タマの顔はダリそっくり』と表現する百合子さんのお茶目さも最高です。
(アシスタント:藤丸由華) |