頭がいい、というだけでなく、素晴らしくみずみずしい感性をもった少年・主人公のハンス。努力に努力を重ねて合格した神学校で、彼の人格が壊されていく様子が描かれていますが、最初のうち、彼の目を通して描かれていた美しい自然の風景が、時を追うごとにどんどん色彩を失っていく・・・その様子がいたたまれませんでした。10代でこの作品に接すると『大人はわかってくれない』と、ハンスに自分を重ねてみるのかもしれませんが、親になる年になって読んだ今、子供の個性を無視することの恐ろしさを感じずにはいられません。(アシスタント:藤丸由華) |