キツネ、王様、酒飲み男、ビジネスマンなど、この作品には意味ありげな言葉を口にする、個性豊かな登場人物が数多く登場します。私はキツネが話す『きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ』
。このシンプルながらも真理をついた言葉に、目から鱗!でした。『どんなに気が合わない人でも、その人の本棚で「星の王子さま」を見つけたなら、その人とは仲良くできるような気がする』。この本をそう表現する小川洋子さんですが、たしかにこの話を真ん中に置いて話をしたなら、心が通い合える気がします。不思議な存在の一冊です。(アシスタント:藤丸由華) |