文学界の元祖「鉄ちゃん」内田百閒先生が、ひたすら鉄道に乗ることを楽しんだ紀行文学「阿房列車」。旅行好きな私は、執筆された昭和20年代の風景がどのように描写されているのか、楽しみにページをめくったのですが…百閒先生が綴っているのは、線路を走る列車の音が『ちっとやそっとの』という風に聞こえて耳から離れない!!とか、車内販売のバナナに寄せる熱い思いなど、車内で繰り広げられるなんともユニークな出来事ばかり。しかし郷里の岡山を通る章だけは別。風景が実に細やかに描かれています。そんな百閒先生、小川洋子さんの隣町のご出身です。(アシスタント:藤丸由華)
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