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Creepy Nuts先生が特別講師を務める、ラップの授業、校内放送ラッパーズ
3月いっぱいで一旦、閉講となります。
約1年間、聞いてくれてありがとうございました!
DTラップクルー 『第15回高校生RAP選手権』大阪オーディション レポート
校内放送ラッパーズ 2019年02月15日(金)
2018年 夏。世の中では “平成最後の夏” なんて言葉が飛び交っていた。
みんな ”平成最後の夏なんだから何かやらなきゃ” と、急かされるように不明確な”何か”を探し求めていた。
そんな世の中の流れとは裏腹に、明確な”何か”を持った4人のプロジェクトがはじまったのも、“平成最後の夏” のど真ん中。2018年7月。
「自分を変えたい。」
「殻を破りたい。」
そんな “自分解放宣言” を持って集まった4人の生徒。
「そのモヤモヤをラップに打ち込むことによって乗り越えよう!」と始まったのが、このプロジェクト。
「自分解放宣言!〜DTラップクルー〜」
まだラップをほとんどやったことがない”ラップDT”の4人。
最終目標は、翌年春に開催される『第15回高校生RAP選手権』出場。
ラップを一からはじめ、本番まで約半年しかない中でのチャレンジだった。
特別顧問には、我らがR-指定(Creepy Nuts)先生。
専属講師には『高校生RAP選手権』で活躍された、EINSHTEIN先生、言xTHEANSWER先生という布陣。
DTラップクルーの4人は、毎週出されるラップの”宿題”を通して、この半年間、修行を重ねた。
「この半年間、修行を重ねた。」
文章ではサラッと読めてしまうが、みんなと同じように学校、部活、習い事と、こなしながら、”ラップの修行”が生活のルーティーンとして加わる。それを半年間。決して簡単なことではなかった。(※ 約半年間分の宿題音源、専属講師とのやりとりは全て[コチラ]に記録されている。)
”平成最後”という言葉がリアルになりはじめた、2019年1月26日(土)。ついに本番を迎えた。
『第15回高校生RAP選手権』出場を懸けた、大阪オーディション。DTラップクルーから、この大阪オーディションに出場したのは2名。
まずは、愛媛県 16歳 MC dee jay。
幼少期を中国で過ごし、インターナショナルスクールでインド人の友達にBLACK EYED PEASを勧められたのがラップとの出会い。
そこから海外のラッパーを中心に聴き漁っていたのだが、まだ自分ではラップをやったことがない “ラップDT” だった。
宿題では、ヒール(悪役)キャラ全開なフリースタイルを魅せてくれ、宿題を出したこちら側をディスってくることも…(笑)
そしてもう1人は、高知県 17歳 MC KAKELU a.k.a 翔。
中3の頃、友達にすすめられラップに目覚め、友達同士で少しだけやったことはあったが、まだ人前ではやったことがない“ラップDT” だった。
はじめて見たバトルが、R-指定先生だったこともあり、このプロジェクトへの意気込みは「R-指定先生を超えるラッパーになる」!!
宿題のやりとりの中で、専属講師の言xTHEANSWER先生から、時には厳しい指導を受けながらも折れずに修行を重ねてきた。
そんな2人が挑む、『第15回高校生RAP選手権』大阪オーディション。
会場は、大阪・心斎橋 CLUB CIRCUS。
この日、今季、最も強い寒気の影響で、日本各地に雪が降った。
ここ大阪でも、オーディション前でバチバチの高校生たちの熱気を冷ますかのようにパラパラと雪が降っていた。
2人の受付は、午前11:30。11:00にCLUB CIRCUS前で待ち合わせ。
約半年間、共に修行をしてきた仲間ではあるが、まだお互い顔を合わせたことはない。
我々職員にとっても2人とは初対面。
先に来たのはMC KAKELU a.k.a 翔。その1分後にMC dee jayも現れた。
2人は顔を合わすなり「やっと会えたね!」と、堅い握手を交わした。
手早く受付を済ませ、本番まで少し時間があったのでみんなで喫茶店にでも行こうとすると、MC KAKELU a.k.a 翔が突然、「服買いに行っていいですか?」と言い出した!(笑)
ということで、まずはみんなでお買い物♪
せまいお店だったので僕だけ外で待っていると、5分もしないうちに真新しい白いパーカーを着た
MC KAKELU a.k.a 翔が登場。衣装を現地調達する余裕ぶり(笑)
(※ ここまでの写真で着ている白いパーカーが、それ!)
その後、みんなで喫茶店に入った。
スムージーを飲みながら本番までの気持ちの整理。
MC dee jayは、ヒールとして自分をどう出していくか考えていた。
MC KAKELU a.k.a 翔は、本番前の逆電でも話してくれていたように、押韻スタイル、レゲエスタイルをどう使いこなすかを考えていた。
ギリギリまでお互い意見交換しながら考え、整理し、いよいよ本番の時間を迎える。
再びCLUB CIRCUSに戻り、「本当に高校生か!?」と思うほどイカつく、明らかにヤンチャそうな出場者が並ぶ列に2人も混ざる。
今年のオーディションは、まずエントリー者2名でフリースタイルバトルを行い、そこで審査員の目に止まった人だけが残され、残ったメンバーでもう一度バトルを行うというもの。
つまり、その場で一次審査の結果がすぐ出て、審査員の目に止まらなければ、そこで終わり。
並んでいると、前のブロックで審査員の目に止まった出場者同士のレベルの高いバトルの声が漏れ聴こえてくる。
そしていよいよ2人が出場するBブロックのオーディションがスタート。
このブロックのトップバッターは、MC KAKELU a.k.a 翔。しかもジャンケンの結果、先攻。
「ハッ、ハッ!」
マイクチェックで大きな声を出し、気合いを入れる。
DJがビートをスピン。まずは、MC KAKELU a.k.a 翔 が相手に仕掛けていく。
相手もなかなかの経験者のようだったが、堂々とした声で、詰まることなくフリースタイルを続けた。
8小節2本。時間にしてわずか2分で本番終了。
後は、このブロックが終わった後、審査員に呼ばれることを祈りながら待つのみ。
MC KAKELU a.k.a 翔の直後、続けてこのブロックの2組目にMC dee jayが出場。
MC dee jayは、自分のヒールキャラを引き立たせるため、全身寝巻きという攻めた衣装。
ジャンケンの結果、後攻を選択。
DJがビートをスピン。まずは相手のバース。
グッと睨みつけるように、相手から目を離さない。
相手は最近の流行りのスタイル。MC dee jayにとって格好の的。
相手をしっかりディスりながら、詰まることなくフリースタイルを続けた。
もちろんMC dee jayも8小節2本。半年間の努力をたった2分間で審査される。
本番を終えた2人は、このブロックが終わるのを待機。
全員終わったところで、審査員の目に止まった人だけエントリー番号が呼ばれる。
このブロックの出場者は10名程。
スタッフの女性が現れ、このブロックからは2名だけの番号が呼ばれた。
が、そこには2人の番号はなかった。
みんなでCLUB CIRCUSを足早に出ると雪は止んでいた。
2人はまず、「R-指定先生やEINSHTEIN先生、言xTHEANSWER先生、職員のみなさんに申し訳ない。」
と謝ってきた。
そんなことを考える必要はないよ。
MC KAKELU a.k.a 翔「経験不足で空気に飲まれてしまった。」
MC dee jay「個性が出せなかった。」
それぞれ反省点はあれど、全力で挑んだことをみんなわかっている。
このレポートでも、そこが少しでも伝わればいいなと思って書いている。
2人は声を揃えて「これからもラップを続けます。」と言ってくれた。
2人と別れるとき、CLUB CIRCUSの近くの公園ではちょうどサイファーが行われていた。
何のためらいもなく、2人はその輪の中に入っていった。
ここがゴールだと思って見届けにきたつもりだったが、2人がラッパーとして、あらためてスタートする瞬間を見た。
text by バンズ