- 2015.03.29
下鴨神社の森のおはなし3
先週・先々週と、世界遺産『古都・京都の文化財』のひとつ、京都下鴨神社の鎮守の森についてお届けしてきました。
そのラストとなる今日は、下鴨神社で21年ぶりに行われる「式年遷宮」のお話です。
おととし伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が話題になりましたが、京都・下鴨神社では、ことし21年に一度の式年遷宮が行われます。
この下鴨神社の式年遷宮、歴史はとても古く、はじまったのは平安時代。西暦でいうと1036年からずっと続けられています。
下鴨神社の神職 京條寛樹さんにお話伺いました。

◆下鴨神社の式年遷宮
こちらが国宝の東西のご本殿です。お屋根を新しく葺きあげているんですが、檜皮葺(ひわだぶき)といいまして、ヒノキの皮をこのように重ねています。今回行われます平成27年4月27日の式年遷宮は、江戸時代までは伊勢神宮と同じように全ての建物を造り変えていたんですね。
ただ、今は国宝になっていて、全部重要文化財になってますので、建て替えができません。ですので、お屋根の葺替えだったり、金具の修理、漆の塗り替えとかそういったことを主にやっています。しかし神様がいる状態で、お屋根とかその周りの調度品とか、そういったものを修理したりすることできませんので、その少し後ろに仮の御殿を建てまして、そちらに神様にお移り頂いてます。お伊勢さんの場合ですと、隣に次のものを建てて移動して頂くんですが、当社の場合は仮の御殿を両脇に建ててそちらにお移り頂きます。
その間にご本殿を修理して、周りの調度品、ご信奉類を整え直しまして、4月27日にお戻り頂くと。それが式年遷宮のいわゆるメインの行事になります。
伊勢神宮の場合は、古いお社の隣に新しいお社を建てて、神様に引っ越していただいて、古いお社は取り壊されます。でも、下鴨神社の場合は昔からの神殿を「補修」するんですね。実は江戸時代までは、本殿を完全に建て替えていたのですが、明治以降は貴重な文化財を壊すわけにいかないということで、「補修」になったと言います
そして、伊勢神宮の場合、式年遷宮といえば20年に一度ですが、下鴨神社はなぜ、「21年」というちょっと中途半端な期間で行われるのでしょうか。
◆「21年」の意味
平安時代なんかの記録を見ますと、20年毎と書いていたりするんですが、遷宮が終わった次の年から20年目にやっているんですね。ですので、今の数え方だと21年ということになります。
「20年」の根拠はお米ですね。昔はお米が税金でしたので、そのお米の保存の期限が20年と定まっていたんですね。それで20年毎にそれを消化していくっていう意味があるんじゃないかという説もありますし、古代においては天皇の住まいは必ず一代毎に全て造り替えていたんですね。そういったことに由来があるという人もいますけれども、いろいろな説があります。ただ神社神道、神祇信仰においては、お社は新しいものを尊ぶという思想が昔からあります。常若(とこわか)と言ったりしますけれども、同じものを常に新しく建て替えることによってその神様への敬意、感謝の気持ちを表していたんです。
我々自身の心も改めて原点に戻る、そういった気持ちに人間をさせるっていうのも、ひとつの式年遷宮の大事なことなのかもしれないですね。それは我々神職に限らず、人々の気持ちも原点に戻ってやっていこうという、そういったことの意味もあるんだろうと思います。
20年に一度ではなく21年に一度の理由。つまり満年齢と数え年の違いみたいなことなんですね。そして当時、お金と同じ価値があったお米の保存期間が20年。これを消化するため、国家的大事業として式年遷宮が行われたということなんです。ほかにも20年は、宮大工が一人前になるのにかかる年数だからという説もあります。
とにかく下鴨神社の式年遷宮は、何年も前から準備が進んでいます。例えば、下鴨神社のお社の屋根ひとつとっても、本当に長い年月をかけているんです。

◆10年かけて修理していく
屋根材はヒノキの皮、檜皮という皮です。樹齢100年近く経たないとこの檜皮を取れないそうなんです。荒皮といって、一旦ヒノキの皮を剥いで、7、8年経ってまた皮が生えてくる、その皮を使って葺くそうです。最初に取った皮ではだめなんだそうですね。
今回の式年遷宮は平成18年から始めてます。この境内には、ご本殿以外にも50棟近く建物がありますので、そのほとんどが檜皮葺です。その檜皮葺であるが故に、一気に行うことができないので、10年ぐらいのスパンで徐々に修理をしていくということをやっています。
そして、下鴨神社で森作りを担当している神職の京條寛樹さんは、森づくりと、式年遷宮の間には共通点があると話します。

◆お社を守ることと森を守ること
糺(ただす)の森を守るという活動と式年遷宮は同じ考え方でやっているなという風に感じます。森は何千年という間、そこにあるのかもしれませんが、樹齢何千年の木ってないんですよね。ですけれども、数千年前と同じ形をした森が今残ってる。それと同じで、式年遷宮も、建物を新しく造り変えたり、修理をして現代に残している。そういったことは神社の考え方として、この森が残ったという意味もそこに繋がっていくのかもしれないという風に思っています。
4月29日から一週間、「一番祈祷」といいまして、ご本殿の前までお参りして頂けるという伝統のお参りの行事があります。ここは普段は入れない場所で、21年に一度だけ入ることができます。

3回にわたってお届けしてきた、下鴨神社 糺の森のお話し、いかがだったでしょうか。これからは新緑の季節ですし、ぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか。
今回お届けしたお話しはポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・運命の人 / スピッツ
・桜の木の下で / つじあやの
そのラストとなる今日は、下鴨神社で21年ぶりに行われる「式年遷宮」のお話です。
おととし伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が話題になりましたが、京都・下鴨神社では、ことし21年に一度の式年遷宮が行われます。
この下鴨神社の式年遷宮、歴史はとても古く、はじまったのは平安時代。西暦でいうと1036年からずっと続けられています。
下鴨神社の神職 京條寛樹さんにお話伺いました。

◆下鴨神社の式年遷宮
こちらが国宝の東西のご本殿です。お屋根を新しく葺きあげているんですが、檜皮葺(ひわだぶき)といいまして、ヒノキの皮をこのように重ねています。今回行われます平成27年4月27日の式年遷宮は、江戸時代までは伊勢神宮と同じように全ての建物を造り変えていたんですね。
ただ、今は国宝になっていて、全部重要文化財になってますので、建て替えができません。ですので、お屋根の葺替えだったり、金具の修理、漆の塗り替えとかそういったことを主にやっています。しかし神様がいる状態で、お屋根とかその周りの調度品とか、そういったものを修理したりすることできませんので、その少し後ろに仮の御殿を建てまして、そちらに神様にお移り頂いてます。お伊勢さんの場合ですと、隣に次のものを建てて移動して頂くんですが、当社の場合は仮の御殿を両脇に建ててそちらにお移り頂きます。
その間にご本殿を修理して、周りの調度品、ご信奉類を整え直しまして、4月27日にお戻り頂くと。それが式年遷宮のいわゆるメインの行事になります。
伊勢神宮の場合は、古いお社の隣に新しいお社を建てて、神様に引っ越していただいて、古いお社は取り壊されます。でも、下鴨神社の場合は昔からの神殿を「補修」するんですね。実は江戸時代までは、本殿を完全に建て替えていたのですが、明治以降は貴重な文化財を壊すわけにいかないということで、「補修」になったと言います
そして、伊勢神宮の場合、式年遷宮といえば20年に一度ですが、下鴨神社はなぜ、「21年」というちょっと中途半端な期間で行われるのでしょうか。
◆「21年」の意味
平安時代なんかの記録を見ますと、20年毎と書いていたりするんですが、遷宮が終わった次の年から20年目にやっているんですね。ですので、今の数え方だと21年ということになります。
「20年」の根拠はお米ですね。昔はお米が税金でしたので、そのお米の保存の期限が20年と定まっていたんですね。それで20年毎にそれを消化していくっていう意味があるんじゃないかという説もありますし、古代においては天皇の住まいは必ず一代毎に全て造り替えていたんですね。そういったことに由来があるという人もいますけれども、いろいろな説があります。ただ神社神道、神祇信仰においては、お社は新しいものを尊ぶという思想が昔からあります。常若(とこわか)と言ったりしますけれども、同じものを常に新しく建て替えることによってその神様への敬意、感謝の気持ちを表していたんです。
我々自身の心も改めて原点に戻る、そういった気持ちに人間をさせるっていうのも、ひとつの式年遷宮の大事なことなのかもしれないですね。それは我々神職に限らず、人々の気持ちも原点に戻ってやっていこうという、そういったことの意味もあるんだろうと思います。
20年に一度ではなく21年に一度の理由。つまり満年齢と数え年の違いみたいなことなんですね。そして当時、お金と同じ価値があったお米の保存期間が20年。これを消化するため、国家的大事業として式年遷宮が行われたということなんです。ほかにも20年は、宮大工が一人前になるのにかかる年数だからという説もあります。
とにかく下鴨神社の式年遷宮は、何年も前から準備が進んでいます。例えば、下鴨神社のお社の屋根ひとつとっても、本当に長い年月をかけているんです。

◆10年かけて修理していく
屋根材はヒノキの皮、檜皮という皮です。樹齢100年近く経たないとこの檜皮を取れないそうなんです。荒皮といって、一旦ヒノキの皮を剥いで、7、8年経ってまた皮が生えてくる、その皮を使って葺くそうです。最初に取った皮ではだめなんだそうですね。
今回の式年遷宮は平成18年から始めてます。この境内には、ご本殿以外にも50棟近く建物がありますので、そのほとんどが檜皮葺です。その檜皮葺であるが故に、一気に行うことができないので、10年ぐらいのスパンで徐々に修理をしていくということをやっています。
そして、下鴨神社で森作りを担当している神職の京條寛樹さんは、森づくりと、式年遷宮の間には共通点があると話します。

◆お社を守ることと森を守ること
糺(ただす)の森を守るという活動と式年遷宮は同じ考え方でやっているなという風に感じます。森は何千年という間、そこにあるのかもしれませんが、樹齢何千年の木ってないんですよね。ですけれども、数千年前と同じ形をした森が今残ってる。それと同じで、式年遷宮も、建物を新しく造り変えたり、修理をして現代に残している。そういったことは神社の考え方として、この森が残ったという意味もそこに繋がっていくのかもしれないという風に思っています。
4月29日から一週間、「一番祈祷」といいまして、ご本殿の前までお参りして頂けるという伝統のお参りの行事があります。ここは普段は入れない場所で、21年に一度だけ入ることができます。

3回にわたってお届けしてきた、下鴨神社 糺の森のお話し、いかがだったでしょうか。これからは新緑の季節ですし、ぜひこの機会に訪れてみてはいかがでしょうか。
今回お届けしたお話しはポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・運命の人 / スピッツ
・桜の木の下で / つじあやの