小曽根真さんがコロナ禍での生配信ライブを振り返る(2021/03/13 放送)
先週に引き続き、今週もピアニストの小曽根真さんをお迎えしました。
今週も自宅のピアノの前からリモートで話してくれた小曽根さん。昨年は、コロナ禍で非常事態宣言が発令される中、『Welcome to Our Living Room』というネットを通じた演奏会にチャレンジし、4月9日から5月31日まで生配信で音楽を届けてくれました。
「ヨーロッパが最初良くない状態になって…」「今度はアメリカがそういう状態になって。自分の友人も実は(コロナに)かかってしまったとかっていうメールが来たりしてて。で、アメリカの音楽家たちが自宅から配信を、友人のミュージシャンたちが始めたのを見てたんですよ。それで、自分もそろそろ準備しとかないと日本も時間の問題だなと思ってた矢先に、やはりなってしまったっていうことで。そんな中で皆さんに何か日頃の恩返しができないかなって。妻(神野三鈴さん)も実は役者をやってるので、2人とも舞台に立つ人間ですから。何ができないかなぁっていうことで、自宅からの配信を始めたんですね」
「このピアノにマイク2本をつけて。で、簡単なインターフェイスを使って、それをiPhoneに突っ込んで、そのまんま流したんですよ。テスト配信みたいにして。なんにも言わずに突然やったんですよ。そしたら、いきなり800人ぐらいの人が見てらっしゃって。それで、20分ぐらいで終わったんですけど、明日もやろうかなぁ?って僕がチラって言ったら、コメントで、今、明日やろうって言いましたね?って来たんですよね(笑)。それで、じゃあやります、っていうことになって2日目が始まり、最終的にはずっと平均して毎日5000人か6000人ぐらいの方がご覧になって」
「最初に必ず、医療従事者の皆さんとライフラインをキープしてくださってる皆さんにお礼を伝えつつ、挨拶もGood eveningが日本ですけど、Good morningがアメリカで、Good afternoonがヨーロッパで。それでヨーロッパって言ったら、ヨーロッパじゃなくてアフリカにも聞いてる奴いるんだってコメントが来たから、じゃあアフリカの人も、と。ほとんどの地域の名前を言わなきゃいけなくなってですね(笑)。それぐらい皆さんが世界中から聞いてくださってたんです。最初は20分から始まったんですけど、結果、1日1時間ぐらいの…あれはとても貴重なホントにミラクルのような宝物の時間でしたね」
小曽根さんは『Welcome to Our Living Room』についてこんなことも話してくれました。
「まず最初に緊急事態宣言が出た時に、音楽とか芸術が不要不急って言われたのがやっぱり僕らにしたら凄く傷ついたんですね。でも、それをなんかこう、SNSで言葉で返すことじゃなくて、じゃあ音楽を配信してみようかって。これがゼロになったら、やっぱりこれはホントにいらないもんだっていうふうに僕らもちゃんと受け止めなきゃいけないと思ったんですけど」
「あとはもちろん皆さんへの恩返しもあったんですけど、有事の時って、日常が突然すべてなくなってしまうので、必ず9時になったらここに行けば小曽根と三鈴(奥様の神野三鈴さん)がいるよ、っていう皆さんにとっての一つの日常を作りたいって美鈴がずっと言ってたんですね」
「ただね、皆さんのお役に立てればと思ってやったんですけど、結果、皆さんから来るコメントがあまりにも素晴らしくて。もう1万件ぐらいのコメントが来るんですよね、毎日ね。リクエストも含めて。で、10時にストリーミングが終わって、じゃあまた明日!って言うと、そこから2人でコメントを全部読むんですよ。それを読みながら毎日2人で涙流して。その言葉に逆に僕らが励まされて。させて頂いたっていうよりも、皆さんにしてもらったっていうか頂いたものの方が結局大きくて。だから、ホントに宝物のような53日間でしたね」
また、小曽根さんは、日本では芸術という言葉が高尚なものだと思われがちだけど、逆にそうあってはいけない、もっとラーメンを食べるぐらいの感覚で必要とされたい、ということもおっしゃっていました。
そんな小曽根さんの『Welcome to Our Living Room』。最終日は、舞台を渋谷のオーチャードホールに移して、そこから配信されました。
「これはね、うちの妻のアイデアだったんですよ。このリビングルームの最後に皆さんを劇場に連れて帰る、っていうことが僕らの大きな想いだったんですね」
「僕の大好きだった井上ひさし先生が、そこ(劇場)に集まる人間はみんな運命共同体なんです、って言ってたんですよね。誰も知らなかった人たちが、そこにどこからともなく集まってきて、たった2時間、音楽や芝居を見て泣いたり笑ったりして、それぞれの場所に帰っていく、っていう。その奇跡のような2時間」
「で、そのコンサートや芝居のエネルギーを作ってるのは半分以上お客さんの力だから、最終回にオーチャードホールの空の席を映したんですよね、客席を。この席一つ一つが皆さんの場所なんですよっていうこと。で、ここに皆さんがいてくれることでコンサートができるっていう。これがあなたの場所です、っていうことを皆さんに伝えて、しかも皆さんをお迎えするのにオーチャードのスタッフの人全員に出てきてもらったんですけど。この人たちが皆さんの2時間を作るために必死でお迎えする準備をしてますから、ぜひここに帰ってきてください、っていうのを皆さんにお伝えしたくて」
3月3日にクラシックサイドとジャズサイドの2枚からなるソロピアノアルバム『OZONE 60』をリリースした小曽根さん。60歳のお誕生日当日となる3月25日からは、東京のサントリーホールを皮切りに、名古屋、秋田、大阪、水戸、福岡、盛岡、埼玉、熊本、滋賀、福島などを回るソロツアーをスタートします。
「目標はもう全国47都道府県全部。皆さんにホントにこの感謝の気持ちを生でお届けしたいっていうのがあって。1年ぐらいかけてゆっくり日本全国を回っていけたらなっていうふうに思ってます」
「ぜひ生で、聞くっていうよりも感じて頂ければなと思いますね」
最後に、小曽根さんはご自身にとっての挑戦についてこう話してくれました。
「2つ言葉が出てきちゃったんですけど、“必然”っていうのと“感謝”なんです。で、どちらもやっぱり受け入れることだと思うんですね。どっちかって言うと、僕は“必然”っていうふうに思ってて」
「結果を考えると怖い、挑戦って怖いものになるんですけど、ま、無責任な言い方をすると、結果を考えなければこんな楽しいものはないはずなんですよね。自分が成長できる唯一のチャンスなので、僕はこれをあえて“必然”というふうに…今回は。そこにはそれに繋がる“感謝”があるんですけど、“必然”ですね、やっぱり。ひょっとすると失敗するかもしれないですけど、それはいいんですよ、絶対。失敗しても必ずそこに向かっていく時に大きくなるから」
「学生たちに必ず言うことが、できないことは宝物、って。若いうちはできないことだらけでもうゲンナリしますけど…だから僕は絶対、20代には戻りたくないんですよね、タイムマシンがあっても。あんなシンドい時期はなかったから。だけど、安定してくると、できることが増えてくると、成長するチャンスがどんどん少なくなってくるっていうかね。ま、それだけ円熟してくるっていう言い方はあるんですけど、自分が持ってる駒だけで回っていくようになると物凄く危険な気がして。そうすると、できないことが見つかった時にワクワクするんですよね。だから、できないことが出てきたら自分でヘタクソ~!って言いながら笑いながら練習してるんですよね(笑)」
番組では、そんな小曽根さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「小曽根真さんの色紙希望」と書いてご応募ください!
今週も自宅のピアノの前からリモートで話してくれた小曽根さん。昨年は、コロナ禍で非常事態宣言が発令される中、『Welcome to Our Living Room』というネットを通じた演奏会にチャレンジし、4月9日から5月31日まで生配信で音楽を届けてくれました。
「ヨーロッパが最初良くない状態になって…」「今度はアメリカがそういう状態になって。自分の友人も実は(コロナに)かかってしまったとかっていうメールが来たりしてて。で、アメリカの音楽家たちが自宅から配信を、友人のミュージシャンたちが始めたのを見てたんですよ。それで、自分もそろそろ準備しとかないと日本も時間の問題だなと思ってた矢先に、やはりなってしまったっていうことで。そんな中で皆さんに何か日頃の恩返しができないかなって。妻(神野三鈴さん)も実は役者をやってるので、2人とも舞台に立つ人間ですから。何ができないかなぁっていうことで、自宅からの配信を始めたんですね」
「このピアノにマイク2本をつけて。で、簡単なインターフェイスを使って、それをiPhoneに突っ込んで、そのまんま流したんですよ。テスト配信みたいにして。なんにも言わずに突然やったんですよ。そしたら、いきなり800人ぐらいの人が見てらっしゃって。それで、20分ぐらいで終わったんですけど、明日もやろうかなぁ?って僕がチラって言ったら、コメントで、今、明日やろうって言いましたね?って来たんですよね(笑)。それで、じゃあやります、っていうことになって2日目が始まり、最終的にはずっと平均して毎日5000人か6000人ぐらいの方がご覧になって」
「最初に必ず、医療従事者の皆さんとライフラインをキープしてくださってる皆さんにお礼を伝えつつ、挨拶もGood eveningが日本ですけど、Good morningがアメリカで、Good afternoonがヨーロッパで。それでヨーロッパって言ったら、ヨーロッパじゃなくてアフリカにも聞いてる奴いるんだってコメントが来たから、じゃあアフリカの人も、と。ほとんどの地域の名前を言わなきゃいけなくなってですね(笑)。それぐらい皆さんが世界中から聞いてくださってたんです。最初は20分から始まったんですけど、結果、1日1時間ぐらいの…あれはとても貴重なホントにミラクルのような宝物の時間でしたね」
小曽根さんは『Welcome to Our Living Room』についてこんなことも話してくれました。
「まず最初に緊急事態宣言が出た時に、音楽とか芸術が不要不急って言われたのがやっぱり僕らにしたら凄く傷ついたんですね。でも、それをなんかこう、SNSで言葉で返すことじゃなくて、じゃあ音楽を配信してみようかって。これがゼロになったら、やっぱりこれはホントにいらないもんだっていうふうに僕らもちゃんと受け止めなきゃいけないと思ったんですけど」
「あとはもちろん皆さんへの恩返しもあったんですけど、有事の時って、日常が突然すべてなくなってしまうので、必ず9時になったらここに行けば小曽根と三鈴(奥様の神野三鈴さん)がいるよ、っていう皆さんにとっての一つの日常を作りたいって美鈴がずっと言ってたんですね」
「ただね、皆さんのお役に立てればと思ってやったんですけど、結果、皆さんから来るコメントがあまりにも素晴らしくて。もう1万件ぐらいのコメントが来るんですよね、毎日ね。リクエストも含めて。で、10時にストリーミングが終わって、じゃあまた明日!って言うと、そこから2人でコメントを全部読むんですよ。それを読みながら毎日2人で涙流して。その言葉に逆に僕らが励まされて。させて頂いたっていうよりも、皆さんにしてもらったっていうか頂いたものの方が結局大きくて。だから、ホントに宝物のような53日間でしたね」
また、小曽根さんは、日本では芸術という言葉が高尚なものだと思われがちだけど、逆にそうあってはいけない、もっとラーメンを食べるぐらいの感覚で必要とされたい、ということもおっしゃっていました。
そんな小曽根さんの『Welcome to Our Living Room』。最終日は、舞台を渋谷のオーチャードホールに移して、そこから配信されました。
「これはね、うちの妻のアイデアだったんですよ。このリビングルームの最後に皆さんを劇場に連れて帰る、っていうことが僕らの大きな想いだったんですね」
「僕の大好きだった井上ひさし先生が、そこ(劇場)に集まる人間はみんな運命共同体なんです、って言ってたんですよね。誰も知らなかった人たちが、そこにどこからともなく集まってきて、たった2時間、音楽や芝居を見て泣いたり笑ったりして、それぞれの場所に帰っていく、っていう。その奇跡のような2時間」
「で、そのコンサートや芝居のエネルギーを作ってるのは半分以上お客さんの力だから、最終回にオーチャードホールの空の席を映したんですよね、客席を。この席一つ一つが皆さんの場所なんですよっていうこと。で、ここに皆さんがいてくれることでコンサートができるっていう。これがあなたの場所です、っていうことを皆さんに伝えて、しかも皆さんをお迎えするのにオーチャードのスタッフの人全員に出てきてもらったんですけど。この人たちが皆さんの2時間を作るために必死でお迎えする準備をしてますから、ぜひここに帰ってきてください、っていうのを皆さんにお伝えしたくて」
3月3日にクラシックサイドとジャズサイドの2枚からなるソロピアノアルバム『OZONE 60』をリリースした小曽根さん。60歳のお誕生日当日となる3月25日からは、東京のサントリーホールを皮切りに、名古屋、秋田、大阪、水戸、福岡、盛岡、埼玉、熊本、滋賀、福島などを回るソロツアーをスタートします。
「目標はもう全国47都道府県全部。皆さんにホントにこの感謝の気持ちを生でお届けしたいっていうのがあって。1年ぐらいかけてゆっくり日本全国を回っていけたらなっていうふうに思ってます」
「ぜひ生で、聞くっていうよりも感じて頂ければなと思いますね」
最後に、小曽根さんはご自身にとっての挑戦についてこう話してくれました。
「2つ言葉が出てきちゃったんですけど、“必然”っていうのと“感謝”なんです。で、どちらもやっぱり受け入れることだと思うんですね。どっちかって言うと、僕は“必然”っていうふうに思ってて」
「結果を考えると怖い、挑戦って怖いものになるんですけど、ま、無責任な言い方をすると、結果を考えなければこんな楽しいものはないはずなんですよね。自分が成長できる唯一のチャンスなので、僕はこれをあえて“必然”というふうに…今回は。そこにはそれに繋がる“感謝”があるんですけど、“必然”ですね、やっぱり。ひょっとすると失敗するかもしれないですけど、それはいいんですよ、絶対。失敗しても必ずそこに向かっていく時に大きくなるから」
「学生たちに必ず言うことが、できないことは宝物、って。若いうちはできないことだらけでもうゲンナリしますけど…だから僕は絶対、20代には戻りたくないんですよね、タイムマシンがあっても。あんなシンドい時期はなかったから。だけど、安定してくると、できることが増えてくると、成長するチャンスがどんどん少なくなってくるっていうかね。ま、それだけ円熟してくるっていう言い方はあるんですけど、自分が持ってる駒だけで回っていくようになると物凄く危険な気がして。そうすると、できないことが見つかった時にワクワクするんですよね。だから、できないことが出てきたら自分でヘタクソ~!って言いながら笑いながら練習してるんですよね(笑)」
番組では、そんな小曽根さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらを1名様にプレゼントします。このホームページのメッセージフォームから「小曽根真さんの色紙希望」と書いてご応募ください!