野口健さんがエベレストや富士山の清掃に力を入れるわけ(2017/10/07 放送)
先週に引き続き、今週もアルピニストの野口健さんをお迎えしました。
今回は、世界最高峰エベレストへの登頂についても話してくれた野口さん。1度目の挑戦は、遭難して意識を失い、救助されて失敗…。2度目は、残り300メートルのところまで行ったにも関わらず悪天候のために断念したそうですが、行くか行かないか1時間も悩む苦渋の決断だったとか。
「だって、帰ってくるとまた失敗だってみんな言うしね。でも、あれは本当に難しくて。無理しないでね、無理しないでねってみんな言うんですよ、エベレストに行く前に。でも、無理しないでエベレストに登れるならみんな登れちゃうんですよ。ホント思ったのが、無理しなきゃ登れないよなぁって。ただ、無理って“していい無理”と“してはいけない無理”があるじゃないですか」
そして、3度目の挑戦でエベレスト初登頂に成功し、七大陸の最高峰を史上最年少で制覇。「エベレストは3年かかったので、登ったらしばらく余韻に浸れると思うじゃないですか。ところがね、あれ不思議なもので登っちゃうともう終わっちゃうんですよね…」。そんな野口さんの次なる挑戦は、エベレストの清掃でした。
「きっかけはテレビで見てきたエベレストとのギャップが凄くて…。一つはゴミだったんですよ。ホントにゴミがかなり広範囲に散乱してて」「土がないのでバクテリアもないし腐らないし。変な話、遭難者だって、僕が行った時に75年前に遭難した方がまんま発見されるんですよ。すべて残るんですね」
野口さんたちのベースキャンプの近くには日本語が書かれた缶などのゴミが多く、西洋人の登山家に「お前ら日本人がさんざん汚す」というようなことを言われてしまったとか。
「悔しいんですよね。で、エベレストに登って、じゃあどうしようかなと思った時に、僕ら日本の登山家が戻って、過去の日本隊のゴミを下ろしちゃえば、拾っちゃえば文句ないよね、ってことから始まったんですよね」
また、その後の野口さんは富士山の清掃にも力を入れるようになります。
「エベレストで、お前ら日本隊のゴミが多い、って言われた時に、会話の流れの中で、お前ら日本人はヒマラヤをマウントフジのようにするのか?っていうのがきたんですよ。だって富士山ってゴミが多いんだろと。だから世界遺産になれなかったとかね」
それまでは雪と氷に覆われた冬の富士山にしか登ったことがなかったという野口さん。「ホントに汚いのかな?」と思って、初めて夏の富士山に登ったところ、登山者の大渋滞や、山小屋のトイレから垂れ流されたトイレットペーパーが山肌に白い川のようにこびりついている光景を目にしたそうです。
「初めて見た時に、これが(噂に聞いていた)白い川なんだって。それでインターネットで、富士山、ゴミで検索したら富士山クラブっていうNPO
今回は、世界最高峰エベレストへの登頂についても話してくれた野口さん。1度目の挑戦は、遭難して意識を失い、救助されて失敗…。2度目は、残り300メートルのところまで行ったにも関わらず悪天候のために断念したそうですが、行くか行かないか1時間も悩む苦渋の決断だったとか。
「だって、帰ってくるとまた失敗だってみんな言うしね。でも、あれは本当に難しくて。無理しないでね、無理しないでねってみんな言うんですよ、エベレストに行く前に。でも、無理しないでエベレストに登れるならみんな登れちゃうんですよ。ホント思ったのが、無理しなきゃ登れないよなぁって。ただ、無理って“していい無理”と“してはいけない無理”があるじゃないですか」
そして、3度目の挑戦でエベレスト初登頂に成功し、七大陸の最高峰を史上最年少で制覇。「エベレストは3年かかったので、登ったらしばらく余韻に浸れると思うじゃないですか。ところがね、あれ不思議なもので登っちゃうともう終わっちゃうんですよね…」。そんな野口さんの次なる挑戦は、エベレストの清掃でした。
「きっかけはテレビで見てきたエベレストとのギャップが凄くて…。一つはゴミだったんですよ。ホントにゴミがかなり広範囲に散乱してて」「土がないのでバクテリアもないし腐らないし。変な話、遭難者だって、僕が行った時に75年前に遭難した方がまんま発見されるんですよ。すべて残るんですね」
野口さんたちのベースキャンプの近くには日本語が書かれた缶などのゴミが多く、西洋人の登山家に「お前ら日本人がさんざん汚す」というようなことを言われてしまったとか。
「悔しいんですよね。で、エベレストに登って、じゃあどうしようかなと思った時に、僕ら日本の登山家が戻って、過去の日本隊のゴミを下ろしちゃえば、拾っちゃえば文句ないよね、ってことから始まったんですよね」
また、その後の野口さんは富士山の清掃にも力を入れるようになります。
「エベレストで、お前ら日本隊のゴミが多い、って言われた時に、会話の流れの中で、お前ら日本人はヒマラヤをマウントフジのようにするのか?っていうのがきたんですよ。だって富士山ってゴミが多いんだろと。だから世界遺産になれなかったとかね」
それまでは雪と氷に覆われた冬の富士山にしか登ったことがなかったという野口さん。「ホントに汚いのかな?」と思って、初めて夏の富士山に登ったところ、登山者の大渋滞や、山小屋のトイレから垂れ流されたトイレットペーパーが山肌に白い川のようにこびりついている光景を目にしたそうです。
「初めて見た時に、これが(噂に聞いていた)白い川なんだって。それでインターネットで、富士山、ゴミで検索したら富士山クラブっていうNPO
のホームページがあって、彼らは富士山を綺麗にするっていうので、すぐに連絡して…」
元々は環境問題に興味がなく、自分のために山に登っていたという野口さんですが、実際にエベレストや富士山のゴミ問題を目の当たりしたことは大きかったようです。
「富士山だけを綺麗にしようと思ってやってるわけじゃまったくないんですけど、富士山は日本のシンボルなので、ここを徹底的にやれば、こういう活動が広がっていけば、富士山から日本を変えていける…ま、そんなオーバーな話じゃないんですけど」
野口さんが富士山の清掃活動に取り組むようになって17年。最初のうちは清掃キャンペーンに100人も来なかったそうですが、今は7000人近い人が参加してくれるようになったとか。
「17年目にしてやっとですよ。おそらく年内に、山梨県側の富士山は“ゴミがゼロになりました”達成宣言がたぶん出せます。たぶん。で、来年からは残りの静岡側。後10年あればたぶんできると思います」
そして「ダラダラやってるだけなんですけどね。ただ、巻き込むことなんでね。やっぱり自分ひとりじゃムリじゃないですか」と清掃活動について話してくれた野口さん。テレビのバラエティー番組に出るのも、多くの人に富士山の清掃に参加してもらいたいからだそう。
「バラエティーの話が来た時に、ディレクターの方にダメ元で…当時はバラエティと環境問題ってけっこうギャップがあったんで…富士山の話できますか?と。ゴミの話。ま、バラエティー風にしますからって言いながら。ま、何をもって“バラエティー風”かわかんないんですけど(笑)」
「それから、いろんなお笑いの方だったりとか、タレントの方とか、アスリートの方とバラエティーの中で一緒に富士山のゴミを拾うとか、その辺りから参加者がわーっと増えるんですよ」
さらに、ガチャピンとムックが子供達と一緒に樹海でゴミを拾うという企画に参加してからは、清掃に参加してくれる小学生がどーんと増えたとおっしゃっていました。
「アイツはタレント気取りか、って人は言うじゃないですか。でも、言われてもいいやと思ってね」
登山の経験を生かして災害支援活動も行ってきた野口さん。2年前にエベレストへ行った際にはネパールの大地震に遭遇し、寝る場所をなくした人のために大型テントをインドからヒマラヤの村に届けたとか。
「みんな家壊れてるし、仮設住宅なんてネパールにはそもそもないし、避難所もないので。やっぱり人間は寝るっていうのが基本なんですよ。安心して寝るっていうことがないと頑張れっていう言葉も意味がない。で、みんな壊れていくんですよ」
そして、その約1年後に発生したのが熊本の震災。使えない避難所が出たり、車中泊が問題になる中、野口さんたちは体育館のグラウンドを借りて、テント村を作ったそうです。
「エベレストのベースキャンプで心身ともにどう休むか。肉体的、あとは心が大事なんですよ、長期戦になると。そうすると、僕らはベースキャンプに関しては2メートルぐらい高さのあるデカいテントなんです。歩けないと圧迫感があるじゃないですか。背の高いテントだし、ベッド置いてみたりとか、じゅうたん敷いてみたりとか」
ちなみに、今は最大5トンの重量にも耐えられるダンボール製のベッドもあるんだとか。
「テント村に来た方で何が一番良かったかって言うと、自分たちの空間、プライバシーなんですよ。人間はプライバシーを奪われると、ずっと体育館の中で雑魚寝で人の目線に晒されると、だんだん心を閉めちゃうんです」
また、テント村で特に喜ばれたのは、排泄物を密閉して捨てることのできる“ラップポン”というポータブルトイレだったそうです。
最後に、野口さんはご自身にとっての挑戦についてこんなふうに語ってくれました。
「冒険って言うとなんか突拍子もないようなことをイメージするじゃないですか。でも、やってることって凄い細かいことの積み重ねでね、どっかで無理してるなぁとか、背伸びってするじゃないですか。そのちっちゃな背伸びをどれだけ積み重ねていけるかなんですよ。エベレストってあんなデカイ山ですけど、右足を出して、左足を出して、その繰り返しですよ。それを1ヶ月半とか2ヶ月やるんですからね。その細かい、コツコツコツコツを大切にしていくもんだろうなぁと思って。それが挑戦」
番組では、そんな野口健さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらの色紙を1名様にプレゼントします。このホームページ右のメッセージフォームから「野口健さんの色紙希望」と書いてご応募ください!
元々は環境問題に興味がなく、自分のために山に登っていたという野口さんですが、実際にエベレストや富士山のゴミ問題を目の当たりしたことは大きかったようです。
「富士山だけを綺麗にしようと思ってやってるわけじゃまったくないんですけど、富士山は日本のシンボルなので、ここを徹底的にやれば、こういう活動が広がっていけば、富士山から日本を変えていける…ま、そんなオーバーな話じゃないんですけど」
野口さんが富士山の清掃活動に取り組むようになって17年。最初のうちは清掃キャンペーンに100人も来なかったそうですが、今は7000人近い人が参加してくれるようになったとか。
「17年目にしてやっとですよ。おそらく年内に、山梨県側の富士山は“ゴミがゼロになりました”達成宣言がたぶん出せます。たぶん。で、来年からは残りの静岡側。後10年あればたぶんできると思います」
そして「ダラダラやってるだけなんですけどね。ただ、巻き込むことなんでね。やっぱり自分ひとりじゃムリじゃないですか」と清掃活動について話してくれた野口さん。テレビのバラエティー番組に出るのも、多くの人に富士山の清掃に参加してもらいたいからだそう。
「バラエティーの話が来た時に、ディレクターの方にダメ元で…当時はバラエティと環境問題ってけっこうギャップがあったんで…富士山の話できますか?と。ゴミの話。ま、バラエティー風にしますからって言いながら。ま、何をもって“バラエティー風”かわかんないんですけど(笑)」
「それから、いろんなお笑いの方だったりとか、タレントの方とか、アスリートの方とバラエティーの中で一緒に富士山のゴミを拾うとか、その辺りから参加者がわーっと増えるんですよ」
さらに、ガチャピンとムックが子供達と一緒に樹海でゴミを拾うという企画に参加してからは、清掃に参加してくれる小学生がどーんと増えたとおっしゃっていました。
「アイツはタレント気取りか、って人は言うじゃないですか。でも、言われてもいいやと思ってね」
登山の経験を生かして災害支援活動も行ってきた野口さん。2年前にエベレストへ行った際にはネパールの大地震に遭遇し、寝る場所をなくした人のために大型テントをインドからヒマラヤの村に届けたとか。
「みんな家壊れてるし、仮設住宅なんてネパールにはそもそもないし、避難所もないので。やっぱり人間は寝るっていうのが基本なんですよ。安心して寝るっていうことがないと頑張れっていう言葉も意味がない。で、みんな壊れていくんですよ」
そして、その約1年後に発生したのが熊本の震災。使えない避難所が出たり、車中泊が問題になる中、野口さんたちは体育館のグラウンドを借りて、テント村を作ったそうです。
「エベレストのベースキャンプで心身ともにどう休むか。肉体的、あとは心が大事なんですよ、長期戦になると。そうすると、僕らはベースキャンプに関しては2メートルぐらい高さのあるデカいテントなんです。歩けないと圧迫感があるじゃないですか。背の高いテントだし、ベッド置いてみたりとか、じゅうたん敷いてみたりとか」
ちなみに、今は最大5トンの重量にも耐えられるダンボール製のベッドもあるんだとか。
「テント村に来た方で何が一番良かったかって言うと、自分たちの空間、プライバシーなんですよ。人間はプライバシーを奪われると、ずっと体育館の中で雑魚寝で人の目線に晒されると、だんだん心を閉めちゃうんです」
また、テント村で特に喜ばれたのは、排泄物を密閉して捨てることのできる“ラップポン”というポータブルトイレだったそうです。
最後に、野口さんはご自身にとっての挑戦についてこんなふうに語ってくれました。
「冒険って言うとなんか突拍子もないようなことをイメージするじゃないですか。でも、やってることって凄い細かいことの積み重ねでね、どっかで無理してるなぁとか、背伸びってするじゃないですか。そのちっちゃな背伸びをどれだけ積み重ねていけるかなんですよ。エベレストってあんなデカイ山ですけど、右足を出して、左足を出して、その繰り返しですよ。それを1ヶ月半とか2ヶ月やるんですからね。その細かい、コツコツコツコツを大切にしていくもんだろうなぁと思って。それが挑戦」
番組では、そんな野口健さんの挑戦に関するメッセージを色紙に書いて頂きました!こちらの色紙を1名様にプレゼントします。このホームページ右のメッセージフォームから「野口健さんの色紙希望」と書いてご応募ください!