古くから日本人の生活に寄り添ってきた竹。すがすがしい竹林の景色は、日本人の原体験に刻まれたもののひとつなのかもしれません。さらに、多湿な日本の気候にあって抗菌性、調湿性に優れた竹は、衣食住すべてに重宝されてきた植物です。
植物に関しての名著や、写真集、そしてグッズなどをご紹介するボタニカルブックス&グッズ。今回は、自然の素材感で夏を涼しげに演出してくれる竹を使ったグッズの魅力をご紹介します。
竹の特性を生かした日用品たち
地下茎から伸びて、成長も早い竹は、古くから日本人の生活になくてはならない植物でした。3年で資源として使える成長の早さはとても有用で、しかも、優れた特性を数多く持っています。抗菌性、調湿性が高く、保存に適しているため、竹のすだれ、竹籠、竹ざるなど日用品の素材として多用されて来ました。 たとえば、竹皮でおにぎりを包むと腐りにくいとされ、通気が良く蒸れないので、かわいい竹籠はお弁当入れとしても人気です。また、「テルペン」と呼ばれる香りの成分はリラックス効果を高める効果も認められており、夏の食材を入れた際の涼しげな風合いも愛されています。実用的で毎日使うのが楽しくなる味わいが竹製品の魅力です。
竹細工と暮らすライフスタイル
木でもなく草でもない独特の素材感、その丈夫さと加工のしやすさで、竹は様々なライフスタイルグッズに取り入れられています。 例えば、身の厚みを生かして、カトラリーやお皿として加工され、その質感はキッチンに彩りを添えてくれます。特にこれからの季節、ちょっとした盛り皿やカトラリーなどを、涼しげで爽やかな竹製のものに模様替えをしてみてはいかがでしょう。
また、日本の代表的な竹の種類のひとつが「真竹」。節間が長いのが特徴で竹細工に向いており、青々とした色合いを生かした青竹細工の品から、油抜きをして落ち着いた風合いの竹籠や花籠に使われています。かつては各村や町に必ず一軒は竹細工の職人がいたと言われ、その歴史の中でさまざまな竹の編み方が生まれました。ゴザ目編み、四つ目編み、六つ目編み、輪口編みなど芸術的な技法で作られた飾り籠は、幾何学的な模様も魅力的です。自然の素材ならではの彩りと涼しさが魅力の竹製品。インテリアとして花器やランプ、風鈴のシェードなども、これからの季節、生活に爽やかな自然の風情を演出してくれます。
ちなみに、竹製品は手入れも簡単で、汚れは濡らした布で水分を与えながら拭くと本来の艶や素材感を取り戻し、経年とともに味わいも深まります。また、中国の風水では「生命力、活力」を与える縁起の良い素材とされており、もちろん、日本でも「松竹梅」というように縁起の良い植物として愛され、祭りなどの催事にも多く使われています。 竹は生命力が強く、成長が早いため竹林を管理することが必要ですが、私たちが竹を多く使うことで里山の保護活動にもつながります。その成長の早さもあって豊富な「天然資源」、「エコな素材」として、改めて熱い視線が注がれている竹。これからの季節、何かひとつ、竹小物を生活に取り入れてみませんか。
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