暮らしの中で花を飾る楽しさを伝えるフラワースタイリストの増田由希子さん。独特の形をしたワイヤー花器を創作したり、インスタグラムやお花の教室などを通じて花と暮らす喜びを多くの人に届けています。
今回のボタニストはフラワースタイリストの増田さんに、オリジナルワイヤー花器の魅力や、四季を通じて花を暮らしに取り入れるヒントを教えていただきます。
手づくりのワイヤー花器で楽しむ花アレンジ
増田由希子さんが手作りで作成し、大人気となっているのがオリジナルのワイヤー花器です。繊細なワイヤーと小さくてシンプルなガラス容器を組み合わせた愛らしい花器は、自由にお花を飾って欲しいという願いから作られています。最初は実験用の細い試験管をワイヤーで繋げた花器を制作。その後、吊るしたり置いたりして楽しめるように工夫を重ね、様々なデザインが生まれています。
現在の定番作品のひとつが、小さなガラスの容器5つをワイヤーで繋げたもので、5PIECES(5個)をもじって「5PEACE(5つの平和)」と名付けられています。そこには花や植物が手を繋いで寄り添うように仲良く並んで欲しい、という増田さんの思いが込められています。
ワイヤー花器 5PEACE
さらに「メリーゴーランド」は、輪の周りに花を吊るして、まるでメリーゴーランドのように楽しむことができます。
ワイヤー花器 メリーゴーランド
花器の上に、ワイヤーの輪を泡のように繋げた「泡々花器」も楽しい作品です。
ワイヤー花器 泡々花器
どの作品も、花の色や植物の緑を邪魔しないシルバーグレイのワイヤーを使い、使用するガラス容器もシンプルで控えめ。飾る花を引き立てるようにトータルでデザインされています。春は野に咲く小さな花を並べたり、夏は緑豊かな葉ものを飾ったり、吊るして楽しんだり、秋は1枚の落ち葉を飾っても季節感が楽しめます。
増田さんがこのワイヤー花器を作り始めて16年。「場所を取らない大きさと自由でシンプルであること」が、長く愛される理由なのかもしれません。テーブルに置いて花の話題で家族に会話が生まれたり、花や植物が生活に寄り添う楽しさを教えてくれます。
1年12ヶ月を彩る花との暮らし方
増田由希子さんが、花に寄り添う日々の暮らしのメッセージとして、毎年制作しているのが「花のある暮らしカレンダー」です。12ヶ月それぞれの月や季節に思いを馳せて、花を選びご自身で写真を撮影して作られています。花が日常にあることで生まれる雰囲気や風景、その一瞬を切り取ることで、1枚のカレンダーが花と暮らす魅力を届けてくれます。
1年のスタートを切る1月の写真は、純白の花と南天の赤い実。紅白の彩りを、白木の升の花器に活けたアレンジは、お正月のしつらえにもぴったりです。誰もが願う、いい年にしたいという思いが伝わります。
花のある暮らしカレンダー二〇二〇 睦月 1月
春が訪れた4月は、少し白みを帯びた吉野桜をいくつもの花器にアレンジ。桜並木の風景をイメージさせてくれます。
花のある暮らしカレンダー二〇二〇 卯月 4月
初夏を感じる6月は、甘い香り溢れるライラックの花をバスケットにアレンジ。さわやかな草原にいるようです。
花のある暮らしカレンダー二〇二〇 水無月 6月
秋が深まる11月は、クラシックココアやフウセンカズラなどの花に果実を加え、秋の恵みに感謝。グリーンの果実はどんな花とも相性が良く、季節感を伝えてくれます。
花のある暮らしカレンダー二〇二〇 霜月 11月
増田由希子さんが「花のある暮らしカレンダー」で伝えたいのは、1年12ヶ月を通じて花と暮らすヒントです。「花のある暮らしとは、花を飾るだけではなく、花で季節を感じること。街の中で見かける樹木や花との出会いで四季の訪れや変化を知り、旬の花や植物のエネルギーで元気をいただき、花と寄り添う暮らしの魅力を感じて欲しい」。そう増田さんは願っています。
TOKYO FM
「ONE MORNING」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
ノエビア「Color of Life」。 11月30日は、ミュージシャンの坂本美雨さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。
増田由希子
フラワースタイリスト/ワイヤー作家
フリーランスのフラワースタイリストとして、雑誌等で「暮らしの花」を提案。花教室を主宰するほか、オリジナルのワイヤー花器、照明の制作など幅広く活動中。プライベートで飾る花の写真をインスタグラムで発信し、世界中に多数のフォロワーを持つ。著書は『暮らしを美しく飾る花図鑑』(家の光協会)、『花1本から素敵に飾る はじめてのフラワーレッスン』(家の光協会)。『まいにちの暮らしに、似合う花』(KADOKAWA) 。『花のある暮らしカレンダー二〇二〇』(翔泳社)。
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