お料理は、見た目や彩りもとても大切。野菜やフルーツの切り方をちょっと工夫するだけで、毎日の食卓やお弁当が華やかになり、美味しさも増しますよ。
「野菜」や「ハーブ」を使ったメニューや楽しみ方を"食のプロ"に教えていただく「ボタニカル・レシピ」。今回は、野菜やフルーツの飾り切りを、料理研究家の上島亜紀先生に教えていただきます。
コツを覚えて、美しく飾り切り
野菜やフルーツの飾り切りは難しいイメージをお持ちの方も多いと思いますが、作ってみると意外に簡単です。ちょっとしたおもてなしの席やお弁当などに大活躍する飾り切りに、まずはチャレンジしてみませんか。
梅にんじん
色がきれいなにんじんはお弁当やお料理を華やかに彩ってくれる野菜。カロチン、カリウム、食物繊維と栄養価も高いのが特長です。冬の寒さで下がった免疫力アップの強い味方です。
<作り方>
1. 人参を1cmの輪切りにして、花型の型抜きで型どりする。
2. 花びらの外側から中心まで、5ヶ所に切り込みを入れる。
3. 花びら1枚1枚の切り込みから切り込みまで、ナイフを斜めに入れて上の一部をそぎ落とす。
4. 3を花びら5枚すべてに行うと、梅の花の形のにんじんの出来上がりです。
きゅうりの花カップ
緑の野菜の中でもおなじみのきゅうり。きゅうりに含まれるカリウムは取り過ぎた塩分を体外に排出する働きを持ち、利尿作用、解毒作用が高いのでむくみ解消に役立ちます。きゅうりは薄切りにしてお弁当に入れると水分が出やすいのですが、花カップにすると時間が経ってもシャキシャキ感が残り、見た目もきれいで美味しくいただけます。
<作り方>
1. きゅうりを5cmの長さに切り、ナイフの手元の角の部分を使って、きゅうりの真ん中あたりに斜めに中心近くまで切り込みを入れ、そのまま山型が連なるよ
うに1周分切り込みを入れる。
2. 切り口を少しずらすようにして、引っ張りながら2つに離すと出来上がりです。
ラディッシュのお花
ラディッシュは、鮮やかな赤い実が可愛く、お料理やお弁当を華やかに彩る野菜です。ビタミンCがたっぷり含まれ、美肌や免疫力アップに役立ちます。赤の彩りはプチトマトに頼りがちですが、ラディッシュのお花はいろいろなシーンで便利に使えますよ。
<作り方>
1. ラディッシュを横に半分に切る。
2. 皮の部分に斜めにナイフを入れ、更に反対側からも斜めに切り込みを入れ、切り取る。
3. 方向を変えて、切り込みを入れる作業を3回行うと、花形の模様に。
4. 出来上がったお花のラデッシュを塩水に浸すと柔らかな食感に。
ハートのいちご
いちごはそのままでも可愛く、子供から大人まで人気の果物。果物の中で最もビタミンCを多く含み、ビタミンCの女王とも呼ばれています。アントシアニンも豊富に含まれているので、眼精疲労の緩和も期待できます。ハートのいちごは、とても簡単に料理に可愛い彩りを添えてくれます。
<作り方>
1. いちごはヘタの部分を切り離し、ヘタの側から斜めに切り込みを入れ、V字型に切り取る。
2. 1を縦半分に切る。
3. 2つのハートのいちごの出来上がり。
りんごの飾り切りアート
りんごにはカリウム、食物繊維、ビタミンCが多く含まれ、酸味のもとであるクエン酸、リンゴ酸が疲労回復を助ける作用もあります。また、水溶性の食物繊維であるペクチンが腸内環境も整えてくれるなど、身体に良い栄養がいっぱいです。
<作り方>
1. りんごを6等分に切り分け、種の部分を切り落とす。
2. りんごの皮側の端から2mmぐらいの所にナイフを当て、中心に向かって切り込みを入れ、反対側からも同じ作業を行い、切り離す。
3. 切り離した部分の内側にも同じ手順で切り込みを入れ、切り離す。
4. この作業を3回繰り返し、順にずらすと完成。変色を防ぐため、塩水に浸ける。
野菜やフルーツの飾り切りは、一度、手順さえ覚えてしまえば思っていたより手軽にできます。まずは、チャレンジしてみてはいかがでしょう。来週は、今回の飾り切りを使用した、お花見シーズンにぴったりのお弁当レシピをご紹介します。どうぞお楽しみに。
TOKYO FM
「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。
また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送している
ノエビア「Color of Life」。3月16日は、翻訳家の松岡佑子さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。
調理監修 上島亜紀
料理家。パン講師、食育アドバイザー、ジュニアアスリートフードマイスター取得。簡単に作れる家庭料理からおもてなし料理まで、幅広く提案。主宰する料理教室「A's Table」では、楽しくて美しいおもてなし料理を、不定期開催の子どもの料理教室「Chanto!Chanto!」では、作ること、食べてもらうことの楽しさを伝えている。著書は、『はじめてでもおいしくできる 梅干し・梅レシピの基本』(朝日新聞出版 共著)など多数。最新刊は、『何度も作りたくなるストウヴレシピ』(ナツメ社)。