あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2016.07.22

Botanist4
写真家、今森光彦さんの「里山」への思い

  • Botanist
自然が大好きだった少年は、自然を扱う写真家に。写真家、今森光彦さんの創作の原点に常にあるのが、子供のころ遊んだ里山の記憶や、その後仕事を通して大自然の中で出会った命の素晴らしさや感動です。琵琶湖にほど近い里山のアトリエで、その「自然」への思いをうかがいました。



植物と素敵に関わる人を紹介する「ボタニスト」。今月は写真家の今森光彦さんが登場。その活動とメッセージをご紹介します。


命を育む林に囲まれたアトリエ
琵琶湖にほど近い山里の深い森を抜けると、突然ひらけた棚田の風景が目に飛びこんできます。そして、その棚田の先に緑の樹々に囲まれて建つのが、写真家、今森光彦さんのアトリエ兼自宅です。周辺には自ら耕す畑や巨大なヒノキの林。まるで自然の森を切り拓いて造られた別荘のようなたたずまいですが、実はこの自然環境は今森さん自身が、30年の歳月をかけて大切に育てたものです。

今森さんは約30年ほど前にこの場所に偶然出会い、即座にここにアトリエを建てて住もうと決心したそうです。もともとあったヒノキの林をほんの少し残し、自ら道を造り、池を造り、なんとクヌギとコナラも数百本、自身の手でひとつひとつ植えていきました。その後、その樹々に鳥があつまり、その鳥が食べ、フンと一緒に落としていった植物の種が育ち、自然の林が出来上がってゆきました。つまり、ここの自然をつくったのは今森さん自身と鳥たちだったのです。

「もともと僕は、この琵琶湖の近くで育ちました。ここの自然や生き物に育ててもらったと言っていいでしょう。だから、あの頃の自然環境をどうしても再現したかった。実は、このアトリエの林に鳥がいっぱい集まってくるのは、虫が豊富にいるからです。どんな小さなものでもこの世に必要とされていない生き物はいません。まず、植物という基本があって、虫がいて、鳥がいて、生命が繋がってゆく。 ここのアトリエの自然も今、やっと自分が作りたかった環境に近づきつつあります」


おいしく食べることも自然を守り育むこと
今森さんがアトリエを包む自然環境を守る上でとても大切な存在と語るのが「薪」です。今の日本が直面する自然破壊の問題の一つが放置林。自然はただそのままにしておけばいいという認識は間違いで、人が生活の中で林に手を入れる事で、そこによりよい自然環境が生まれるそうです。定期的に木を切る事で、林の中に日が差し込み、生き物も喜びます。そして、とれた薪はピザ釜やマキストーブにも使い、また、細い枝は落ち葉と一緒にして腐葉土を作り、無農薬の野菜をつくるときに活用。今森さんのアトリエでは全く無駄なくエネルギーが循環しています。

「僕は美食家ではありませんが、食にはこだわります。おいしいものをおいしく食べないと食材に失礼、自然に申し分けないと感じるからです。食べると言う行為も自然と強く繋がっています。林を守るために切った薪でおいしいピザや肉、魚を焼く事で、ここの環境整備に貢献出来ていると言うわけです。そんな事に気がつけたのも、ここの生活での学びを通してなんです」


里山の本当の意味を知って欲しい
今森さんは「里山」という言葉を、単なる「山」ではなく、そこに人が関わる事で作物を得、エネルギーを得て、また、それを自然に返してゆくという循環がある場所だと考えています。「里山」とは場所の定義ではなく、人の暮らしが入っている自然という意味。ここ半世紀、私達は、開発という名目でこの「里山」の環境を失って来ました。でも、今森さんは復活も可能だと語ります。

「大事なことは、自分が自然に参加している事実を認識することです。自分も常に自然の中で生きていて、自然に生かされているということを意識して欲しい。たとえそれが都会のベランダであっても、近くに街路樹など緑は必ずあり、そこには雨もおちて来ます。自然はどこに行こうと永遠になくなりません。人は常に自然の中で生きている。是非、それに気がついて、喜びを感じて欲しい。都会の小さなベランダ、部屋の中の小さな鉢植えであっても、そこは自然の一部であり、里山と繋がっているんです!」

ベランダで植物や花を育てることからでも、自然に生かされている自分の存在を認識し、そこから自然や里山の存在が復権して欲しいー。これが、今森さんの願いです。今森さんは、それを自身のアトリエを包む環境で自ら実験、実証しているのです。


「子供のころの里山や、その後、大自然の中で出会った命の素晴らしさや感動を伝えたい!」そう願う今森光彦さんが今、最も力を入れている表現方法が「ペーパーカット」。その「実物」を見る事ができる展覧会も開催中です。




今森光彦ペーパーカット展「どうぶつ島たんけん」
ブッシュの中のライオン、アボリジニーの家族と追いかけたカンガルー。熱帯雨林からサバンナまで世界中旅した今森さんの思い出がつまった動物のペーパーカット作品が展示されています。

会期:2016年7月4日(月)〜 9月2日(金)
開催時間:午前 10 時〜午後 6 時(土・日・祝日は午後 5 時まで)
会場:ノエビア銀座ギャラリー(株式会社ノエビア 銀座本社ビル 1F)
入場無料
主催:株式会社ノエビア


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。7月は、女優の浜美枝さんをお迎えしてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。


今森光彦(いまもり・みつひこ)
1954年滋賀県生まれ。写真家。切り紙作家。
大学卒業後、独学で写真技術を学び、1980年よりフリーランスの写真家となる。以後、琵琶湖を望む田園にアトリエを構え、自然と人との関わりを「里山」という概念で追う一方、世界各国を訪ね、熱帯雨林から砂漠まで、生物の生態を取材し続けている。切り絵作品集は『魔法のはさみ』(クレヴィス)、『むしのあいうえお』(童心社)、『どうぶつ島たんけん』(小学館)など多数。

Recent Entries

Archive

  • NOEVIR 「植物の力」のスキンケアはこちら
  • NOEVIR Color of Life EVERY SAT / 09:00~09:30
  • TOKYO FM

TOP